アラミスとは? わかりやすく解説

アラミス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/23 04:46 UTC 版)

アラミスのポートレート

アラミス: Aramis)は、アレクサンドル・デュマ・ペールの小説『三銃士』を始めとする『ダルタニャン物語』に登場する架空の人物。「アラミス」というのは世を忍ぶ仮の名前であり、作中では本人自身によって本名が明かされることはなかったが、作中で2度だけ「ルネ(René)」という名前で呼ばれる場面がある[1]。また、デルブレー卿(le chevalier d'Herblay)などとも呼ばれる。

概要

Aramis

アトスポルトスとともにパリの三銃士の1人。正確な年齢は不明だが、三銃士の最年少であり、ダルタニャンより3歳ほど年上[2]。『ダルタニャン物語』はダルタニャンの戦死をもって終了するが、その時点でアラミスが死去したという記述はないので、4人の銃士の中では最後に死去したということになる。

軍人でありながら、聖職者として生きることに憧れている。比較的に家族構成などが判明し、身元が明らかなアトスらに対し、アラミスは家族関係などの情報はほとんど語られない。本人が語る話によれば、もともとは神学生だったが、女性関係のトラブルから決闘に発展し、うやむやのうちに銃士となったとのことである。そのような経緯から、『三銃士』では失恋などのたびに僧籍に入ろうとする場面がたびたびある。その一方で、性格はかなり好戦的であり、何度も決闘騒ぎを起こしている。

女性関係はかなり派手。もとを正せば、ダルタニャンと決闘騒ぎを起こしたのも女性関係のトラブルである。『三銃士』の時代はシュヴルーズ公爵夫人と恋仲であり、銃士をやめ僧籍に入った後の『二十年後』でも、ロングヴィル夫人を恋人にしていた。

銃士のなかでも、特に剣や銃の扱いなどにもかなりすぐれており、カルム・デショーでダルタニャンを加えた4人とリシュリューの親衛隊5人が決闘した際には、アラミスは1人で2人を相手にし、そつなく勝利を収め、シャラントンの戦いではシャティヨン公を銃で打ち破る活躍をした。しかし、後年の『ブラジュロンヌ子爵』の時点(1660年頃)では、ポルトスやダルタニャンらは相変わらず優れた武芸の腕を披露しているのに対し、アラミスは痛風などを煩った結果、頭脳労働に終止することになった。

政治的には、若い頃は国王派であった。しかし強い野心を持つ余り、中年期の『二十年後』の頃にはフロンド派に入り、国王派のダルタニャンとの対立が生まれている。そして老年期の『ブラジェロンヌ子爵』では、ヴァンヌの司教となる。さらにイエズス会の管区長となり、財務大臣ニコラ・フーケの懐刀として、ルイ14世およびコルベールと敵対するなど、完全にフランス国王に反旗を翻していた。

1661年、鉄仮面事件の陰謀を画策して国王すり替えを企てるが失敗。スペイン亡命する。しかし、1668年にはアラメダ公爵と名を変え、スペインの使者としてフランスに来訪。ダルタニャンと再会を果たし、かつて煮え湯を飲ませたルイ14世からも手厚い歓待を受けている。

モデル

アラミスには実在のモデルとして、アンリ・ダラミツ(Henri d'Aramitz)という人物がいる。銃士隊長・トレヴィルの甥であったので、コネをたどって銃士隊に入る。ただ、軍人として特に目立つ功績は立てていない。

備考

1987年に放送された日本のテレビアニメ『アニメ三銃士』は『三銃士』の翻案作品であるが、彼について大幅な変更が加えられており、男装の麗人であるという設定にされた。さらにはアラミスを主人公にした外伝までが制作されている。

1964年にデパートで販売された「Aramis」は最初の高級男性用フレグランスです。このブランドは、男性用フレグランスおよびグルーミング分野の業界リーダーとして、エスティ ローダー カンパニーズの決定的な柱であり続けています。

また、メンズカジュアルウェアを扱う「株式会社アラミス」などは、デュマの小説に登場するアラミスからとられている[3]

参考文献

脚注

  1. ^ 『二十年後 我は王軍、友は叛軍』第11章で女性から「ルネ」と、『ブラジュロンヌ子爵 将軍と二つの影』第17章でバザンが「ルネ猊下」と呼んでいる。
  2. ^ ただし、中年期以降はサロンなどでサバを読んでいたらしく、『二十年後』の時点(1648年)で、「もうじき37歳になる」と発言していた。これにはダルタニャンも呆れてしまい、「むかしは僕の方が2つ3つ年下だった。今やその僕が40歳になったんだけどもね」と突っ込みを入れるシーンが存在する『二十年後 我は王軍、友は叛軍』(第10章)
  3. ^ 会社名の語源

アラミス(デルブレー)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/04 21:33 UTC 版)

ブラジュロンヌ子爵」の記事における「アラミス(デルブレー)」の解説

かつて三銃士一人であるが、今は聖職者となり、本名デルブレーと名乗っている。かつては二枚目で、剣術達人であったが、老齢のため結石痛風などに苦しみもっぱら頭脳労働担当する財務長官フーケ何やら陰謀企んでおり、ダルタニャン対立する事もしばしば。鉄仮面事件について重要な鍵となる。

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アラミス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/19 14:55 UTC 版)

レイン (小説)」の記事における「アラミス」の解説

温厚な性格だったザーマイン先王故人。レイグルに殺害され王位奪われた。

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アラミス(声:湯屋敦子)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2010/04/10 06:34 UTC 版)

「B'T X」の記事における「アラミス(声:湯屋敦子)」の解説

太郎拉致した実行犯1人ラファエロもてあまし、元々はその対策のために鋼太郎仲間引き入れようとしていた。当初皇国理想信じていて非常に忠実であったが、皇国メンバー次々食いつく破壊行動激化するラファエロ目の当たりにし、それを止めようとしないミーシャ皇帝疑問抱き自らの間違いを悟る。

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アラミス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/03 22:30 UTC 版)

ベルモンド Le VisiteuR」の記事における「アラミス」の解説

三銃士一人金髪ポニーテールアトス庇ってダルタニアン余名幾ばくもない病に蝕まれる銃創受けたときの戦いで自分置いていけというアトス言葉を“聞こえませんね”と言って笑いながら4人一緒に帰ろう戦ったその戦いの後に銃士隊退役するが、三銃士の中で唯一行方知れない

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アラミス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/10 14:17 UTC 版)

魔界戦記ディスガイア」の記事における「アラミス」の解説

エトナラハール仕事のためにと連れてきた少年ゾンビペット。非常に口が悪くラハールフロン反感を買ったが、エトナのことは「姉さま」と呼び慕っている。ペットゾンビ回収した後は一応ラハール認めたようで、「魔王様」と呼んでいた。

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アラミス(声:江原正士、操演:高橋弘一)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/06 14:18 UTC 版)

連続人形活劇 新・三銃士」の記事における「アラミス(声:江原正士操演高橋弘一)」の解説

三銃士一人色白すらっと長身美青年。剣の使い手で、銃士時代に誰よりも多くの人を殺めたことを悔いており銃士隊解散後聖職に就いていた。銃士隊復帰した後も聖書読んだり朝早くからお祈りをするなど信仰心消えていない。冷静で頭が切れ、三銃士頭脳的な存在困った時に知恵発揮する時に困難に直面したダルタニアン的確な助言をしてくれる。相当な知識持っているが、「私は物知り博士ではない」と言っている。ルイ13世から「ハラミ」と間違って呼ばれたこともある。反乱軍との争いで罪の無い市民の命を自らの剣で奪ってしまったことで深く傷つき、戦争終わってから修道院に引きこもってしまう。

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アラミス (デルブレー神父)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/09 14:28 UTC 版)

二十年後」の記事における「アラミス (デルブレー神父)」の解説

かつての三銃士一人男性43歳。第一部三銃士』のときからの念願叶い僧籍身を置くかつては「アラミス」と偽名名乗っていたが、神父になったため本名名乗っている。『三銃士』では、シュヴルーズ夫人恋人だったが、本作までに破局する。ロングヴィル夫人恋人

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アラミス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 14:29 UTC 版)

三銃士」の記事における「アラミス」の解説

三銃士一人仮名だが、本名本作明らかにされない銃士辞め僧籍に身を置きたがっている。そのため神学者でもあり、ラテン語使った詩も作ったりする。王妃側のシュヴルーズ夫人恋人

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