アメリカンフットボール
アメリカンフットボール(英: American football)とは、楕円形のボールを使い、陣地を取り合うフットボールの一種。サッカーとラグビーをもとに1870年頃アメリカではじまったことからアメリカンフットボールと呼ばれる。鎧(よろい)のような防具をつけることから、日本では「鎧球(がいきゅう)」とも呼ばれることもある。
アメリカンフットボールは、11人対11人で行われる。野球のように、攻撃の回と守備の回にわかれて試合が進行する。相手陣のエンドゾーンにボールを持ち込めば得点となる。
1試合は4クウォーターに分けて行われる。1クウォーターあたりの時間はリーグによっても異なるが、12分または15分であることが多い。審判が判定をする場合やけが人の処置対応などは時計を止めるため、ハーフタイムも含めると、実際の試合時間は2時間弱に及ぶこともある。ラグビーとルールは似ているが、ラグビーとは試合構成やプレー人数、パスの方向などが異なる。
アメリカンフットボールは、1869年にアメリカで初めてのサッカーの試合がラトガーズ大学とプリンストン大学の間で行われたことが始まりとされている。その後7年の間に、東部の学校ではサッカーよりラグビーを好んでプレイするようになり、フットボールはラグビーから発展する形で全米各地へ広まっていった。
当初は、ラグビーやサッカーの源流であり、ゴールに向かってボールを押し込むことだけが決まりとされる「原始フットボール」のルールで行われていたが、1874年ごろから、ボールの所有権の曖昧さなどが問題となり、アメリカ独自のフットボール開発の気運が高まった。1876年、ラグビー選手として活躍していた、のちに「アメリカンフットボールの父」と呼ばれるウォルター・キャンプの呼びかけによりマサソイト会議が開かれ、基礎的なルールが決められていった。
アメリカで最も人気を誇るプロアメリカンフットボールリーグのことを、NFL(National Football League)という。NFLは32チームにより編成されており、「アメリカン・フットボール・カンファレンス」と「ナショナル・フットボール・カンファレンス」のふたつのカンファレンスに、それぞれ16チームずつが所属している。
NFLでは、9月から12月もしくは1月にかけて行われるレギュラーシーズンで各チームが16試合を戦い、各カンファレンスの上位6チームがプレーオフに進出する。プレーオフではトーナメント方式で優勝を争い、各カンファレンスの優勝チームが優勝決定戦のスーパーボウルに出場する。その試合の勝利チームが、NFLの年間王者となる。
2018年、日本大学と関西学院大学の定期戦で、日本大学の選手が関西学院大学の選手に悪質なタックルをして負傷させる事件が起きた。タックルに及んだ経緯について、監督から命じられていたことを選手が明らかにし、問題となった。
アメリカン‐フットボール【American football】
アメリカンフットボール
歴史と沿革
イギリスで、イングランドサッカー協会(1863年)やラグビー・フットボール・ユニオン(1871年)が設立された頃、アメリカの大学でも独自のルールでフットボールが盛んに行われていました。1869年11月3日、プリンストン大学とラトガーズ大学が行った試合を契機に大学間で対抗戦が盛んに行われるようになり、ルールを統一する動きが生まれました。1882年、エール大学の主将であったウォルター・キャンプが、選手数を11名とすること、スクリメージライン(*1)の規定、フィールドの長さを110ヤードとすること、さらにはアメリカンフットボール最大の特徴である「ダウン」のルール導入を提案しました。これは、3回の攻撃(ダウン)で5ヤード前進しないと攻撃権を失う(後に、「4回の攻撃で10ヤード」に変更)というものです。このルール改革でアメリカンフットボールの原型ができあがり、ウォールター・キャンプは「アメリカンフットボールの父」と呼ばれています。
日本におけるアメリカンフットボールの起源は1934年にさかのぼります。10月28日、立教大学、明治大学、早稲田大学にチームが結成され、立教大学教授ポール・ラッシュ氏を中心に東京学生連盟が設立され、11月29日に日本で初めてのアメリカンフットボールの試合が20,000人の観客を集めて行われました。前述の3大学から選抜された日本チームが横浜カントリーアンドアスレッチククラブと対戦し、26対0で日本チームが勝利をおさめました。12月には、日本で最初の大学リーグ戦(東京学生リーグ)が開催され、関西では1935年に関西大学にチームが誕生しました。
第二次世界大戦後、大学を中心にチームが増え、現在では学生と社会人を合わせて約400チームが活動しているほか、プライベートチーム(同好会チームなど)を含めるとフットボール人口は30,000人を超えると言われています。
競技方法
ここでは、アメリカフットボールの競技方法の基本をご紹介します。アメリカンフットボールは、ラグビーと野球を合わせたようなスポーツといえます。
楕円形のボールを使い、2チームが陣取り合戦をしながら試合を進める形式はラグビーに似ていますが、ラグビーでは反則となる、ボールを前方に投げる「フォワードパス」がアメリカンフットボールでは認められています。
また、攻守交替の方法は野球に似ています。つまり、野球の場合は攻撃側に3回の攻撃権(バッティング)が与えられ、3アウトで相手チームに攻撃権が移動しますが、アメリカンフットボールも攻撃側に4回の攻撃権(ダウン)が保証され、4回の攻撃中にボールを10ヤード進めることができないと相手側に攻撃権が移動します。
逆にもし、4回の攻撃中に10ヤード以上前進することができれば、新たに4回の攻撃権が与えられます。これを「ダウンの更新」といいます。このようにして徐々にボールを進め、相手チームのエンドゾーンにボールを持ち込むと「タッチダウン」となり、得点(6点)が与えられます。
一方、守備側はタックルやインターセプト(攻撃側が投げたボールを空中でキャッチする)などによって、攻撃側がボールを前に進めることを阻止します。
ルール
試合時間は4つのクォーターに分かれており、1クォーター15分で合計60分です。ただし、フォワードパス不成功、アウト・オブ・バウンズ(*2)、反則発生などで時計が止まるため、実際の試合時間は2時間半から3時間程度になります。競技大会によっては1クォーター12分で試合をすることもあります。
激しくぶつかっても怪我をしないようにヘルメットなどの防具をつけているので、「誰でもタックルしていい」と誤解されがちですが、タックルしていいのはボールを持っている選手に対してだけで、相手にぶつかる「ブロック」では相手をつかんだりしてはいけません。選手の安全を確保するために多くのルールが設定されており、ルールは毎年変更されます。また、フィールド上では7人の審判が22人の選手の行動を注意深く見守っているのも大きな特徴の一つです。
道具・コートなど
アメリカンフットボール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/13 00:16 UTC 版)
アメリカンフットボール(英語: American football)は、フットボールの一種であり、楕円形のボール(長球)を用いて2つのチームで得点を競い合うスポーツ(球技)。略称はアメフトまたはアメフットとも。
注釈
- ^ ただし、カナダでの場合はカナディアンフットボールを含む。
- ^ 英: American Football
- ^ 通常フットボールは国や地域でもっとの人気があるものを示す言葉である。日本とドイツではサッカーが人気であるが、フットボールは外来語としてアメリカンフットボールを意味する。
- ^ NFL以外ではアカデミー賞授賞式中継番組が唯一トップ10にランクイン。
- ^ 英: Intercollegiate Football Association
- ^ ラグビーに限りなく近かったが、これが事実上、初めてのアメリカン・フットボールの試合だったと言えるのかもしれない。
- ^ 子供の頃から虚弱体質を克服するためボクシングに取り組んでいたが、1904年に左目を打たれて視力が悪化しており、スポーツの危険性には敏感であった。なお回復せずに1908年には失明している。
- ^ ルーズベルトの母校。
- ^ このルール委員会が後のNCAA(全米大学体育協会)に発展し、大学スポーツの管理が始まった[21]。
- ^ プロテクター類。初期のものは薄手で軽いものだったが、時代とともに頑丈になって行った。
- ^ この歴史的ゲームは陸軍士官学校を舞台とした映画「長い灰色の線」の中で、当時最強チームの陸軍士官学校が無名のノートルダム大学に、まさに見たこともない新戦術によって大敗して呆然とするというエピソードで取り上げられている。
- ^ 英: National Football League
- ^ 英: American Proffessional Football Association
- ^ シカゴの地元新聞に顔写真付きの記事がある。
- ^ 英: ball on ○○, △yards
- ^ 英: official
- ^ 英: referee
- ^ 英: umpire
- ^ 英: head linesman
- ^ 英: line judge
- ^ 英: back judge
- ^ 英: field judge
- ^ 英: side judge
- ^ 助走距離を短くして相手選手にぶつかるスピードを下げて、怪我する危険性を下げる狙い
- ^ 英: 1st down
- ^ 英: 2nd down
- ^ 英: 3rd down
- ^ 英: 4th down
- ^ シリーズ更新という現象自体は、この状況であっても守備側が罰則にオートマチック・ファーストダウンを含む反則を犯せば起こり得る。
- ^ 英: chain crew
- ^ 英: previous spot
- ^ 足を滑らせたり地面の凹凸につまづいたりして転ぶなど、ボールキャリアが意図しない形で転倒した場合。タッチバックやイートザボールを企図していることが明らかであるニーダウンやクォーターバックがスクランブルの後安全のために行うスライディングなどは相手との接触が無くても倒れたとみなされプレーは終了する。
- ^ point after touchdown
- ^ チャレンジのインスタント・リプレイ中に副次的に反則の有無に関する証拠が発見された場合は、反則の有無の判定が覆る。たとえば、ライン際のパスの成否に対してチャレンジを行い、ボールをキャッチした選手がボールに触る前にアウト・オブ・バウンズに出ていたことが発見された場合、イリーガル・タッチが適用され5ヤードの罰退でプレイが再開される。逆に言えば、審判が反則を見逃してもそれ自体に対してチャレンジはできないが、関連するプレイに対するチャレンジ(先ほどの例で言えば「パスの成否に対するチャレンジ」)という形でなら、間接的に反則の有無に対してチャレンジすることができる。
- ^ 英: decline
出典
- ^ アメフット:関学監督と選手父コメント 日大選手会見受け - 毎日新聞
- ^ 川淵氏、悪質タックルに嘆き「なんと愚かな日大アメラグ選手の行為か」 - デイリースポーツ
- ^ スポーツ庁が異例の調査へ 日大のアメラグ反則プレー - 教育新聞
- ^ Concussion Watch|FRONTLINE
- ^ Coll, Steve, "Is Chaos a Friend of the N.F.L.?", The New Yorker, December 26, 2012. Citing the Times.
- ^ a b c Football Retains Dominant Position as Favorite U.S. Sport Gallup.com 2024年2月14日閲覧。
- ^ America’s National Sport:Baseball or Football? Move Over, Baseball:Bloomberg Politics Poll Shows 67% of Americans Now Say Football Is National PastimeBloomberg 2015年11月21日閲覧。
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山梨県清里高原 キープ協会|日本アメリカンフットボールの殿堂 |日本アメリカンフットボールの熱き継承[リンク切れ]
関東学生アメリカンフットボール連盟:75周年記念特集[リンク切れ]
川口仁「日本アメリカンフットボール史-フットボールとその時代
スポーツ発展のカギとなった人物 - 牛木素吉郎のビバ!スポーツ時評
歴史が眠る多磨霊園 小川徳治 - ^ NCAA football 2011 and 2012 rules, FR-118, Field Diagrams。NFLでは数字の下端がサイドラインから12ヤード (2012 Official Playing Rules, iv, Plan of the Playing Field)。
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- ^ レイブンズKタッカーがNFL記録となる66ヤードのフィールドゴールに成功
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- ^ シーホークスのフェイクFG、成功の鍵はパッカーズのLBジョーンズ - アメフトNewsJapan・2015年1月20日
- ^ “NFL、スタジアムの観客に審判と同じリプレイ映像提供”. NFL JAPAN (2012年7月6日). 2012年7月14日閲覧。
- 1 アメリカンフットボールとは
- 2 アメリカンフットボールの概要
- 3 歴史
- 4 試合とルール
- 5 安全に対する配慮
- 6 ポジション
- 7 主なリーグ
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アメリカンフットボール
出典:『Wiktionary』 (2021/07/24 07:44 UTC 版)
名詞
- スポーツ、球技の一つ。一チーム11人ずつのチームがヘルメットやプロテクターなどの防具を装着し楕円形のボールを奪い合いながら競技し、敵陣にボールを運ぶ(タッチダウン)、またはY字のポールの間にボールを蹴り入れる(フィールドゴール)ことで得点をし、最終的な得点を競う競技。アメフト、アメフットとも略される。米式蹴球。
翻訳
- ドイツ語: American Football
- 英語: American football
- エスペラント: usona piedpilkado, usona futbalo
- ベトナム語: bóng bầu dục
- 中国語: 美式足球, 美式橄欖球/美式橄榄球
関連語
「アメリカンフットボール」の例文・使い方・用例・文例
- 私はアメリカンフットボールを観ることが好きです。
- アメリカンフットボールに夢中なんだ。
- アメリカンフットボールではディフェンスは特別な仕事だ。
- アメリカンフットボールの得点
- 点がタッチダウンの後で成功したプレースキックに対して授与したアメリカンフットボールにおいて
- ボール・キャリヤがタックルされるよりはむしろ、触れられるアメリカンフットボールのバージョン
- アメリカンフットボールをするのに用いる膨らました細長いボール
- チームが練習した(特にアメリカンフットボール・チーム)試合の解説と図を含んでいるノート
- アメリカンフットボールの、ゴールラインに平行な線で各プレイの始まりにラインズマンが位置に着く所
- フェアプレーを確実にすることが期待されている主たる役員(ボクシングまたはアメリカンフットボールの)
- (アメリカンフットボールで,)アメリカンパスというパス
- アメリカンフットボールにおいて,試合再開のため球の蹴り出しをすること
- セーフティマンという,アメリカンフットボールでの守備の役目
- ウェッジブロッキングという,(アメリカンフットボールの)攻撃法
- アメリカンフットボールで,クリスクロスパスというパス
- アメリカンフットボールにおいて,攻撃側の全選手が1秒以上静止すること
- アメリカンフットボールで,相手の大腿部に肩から当たって前進を阻むこと
- アメリカンフットボールにおいて,後衛というポジション
- アメリカンフットボールやサッカーで,オフサイドという反則行為
- (アメリカンフットボールで)アンバランスTという攻撃陣形
アメリカンフットボールと同じ種類の言葉
ボールに関連する言葉 | ドッジボール フォーボール アメリカンフットボール ビーチドッジボール スーパーボール |
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