5セント硬貨 (アメリカ合衆国) バッファロー・ニッケル(1913年〜1938年)

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5セント硬貨 (アメリカ合衆国)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/06 21:22 UTC 版)

バッファロー・ニッケル(1913年〜1938年)

バッファロー・ニッケル

インディアン・ヘッド・ニッケルとしても知られるバッファロー・ニッケルは、総じて1913年から1938年まで製造され、造幣局のミントマークが、裏側の「Five Cents」と書かれた文字の下、縁の上部に刻まれている。この硬貨の製造にはフィラデルフィア、デンバー、サンフランシスコの造幣局全てが参加した。このうち、サンフランシスコ造幣局は、全般的に他の2つの造幣局よりも製造量が少ない。

アメリカの彫刻家ジェームズ・アール・フレイザーによってデザインされたこのバッファロー・ニッケルは、表側にネイティブ・アメリカンの肖像が、裏側にアメリカバイソン(バッファロー)が描かれている。フレイザーはこの硬貨の肖像に、インディアンの酋長を起用したと述べている。しかし、彼の記憶にはあいまいな点もあり、スー族のアイアン・テイル、シャイアン族ツー・ムーンズ、ビッグ・ツリーとしても知られるアドイーッテ (Adoeette) などが、モデルとなった尤もらしい人物ではないかという指摘もある。また、トゥー・ガンズ・ホワイト・カルフやアイザック・ジョニー・ジョン・ジョン・ビッグ・ツリーなどの人物も、硬貨に描かれた人物のモデルではないかと言われているが、正確なことはわかっていない。一方、バッファローのモデルは、ニューヨークにあるセントラル・パーク動物園の「ブラック・ダイヤモンド」であったとされている。

このフレイザーのデザインは、アメリカの硬貨の中でも最良のものであると考えられている。硬貨は1913年から1917年にかけてフィラデルフィア造幣局で、プルーフ硬貨が収集家向けに特別に打ち抜かれた。

1913年中ごろ、バッファロー・ニッケルは裏側の地面のデザインが、摩耗の問題により盛り土から水平な土地の絵柄に変更となった。こうして、全部で3つの造幣所による6種類の1913年のニッケルが造られた。また、製造された年号が刻まれる位置は当初から変わっていないため、初期のバッファロー・ニッケルの多くは、硬貨に刻まれている製造年がほぼ完全に擦り減って見えなくなっている。年次が進むにつれ、硬貨に表示される年はより大きく太字の数字が徐々に用いられるようになり、問題解決に向けた改良がおこなわれた。

時に、こうした製造年が擦り減って見えないバッファロー・ニッケルは、年の場所を塩化鉄に溶かすことで「復活」することがある。貨幣収集の見地からすれば、これは硬貨の価値を損ねるもので、硬貨の等級が「非常に摩耗」から「非常に摩耗且つ化学的損傷」のレベルとして評価されることになる。また、年次だけでなく、特に1920年代にデンバーとサンフランシスコの造幣局で製造されたバッファロー・ニッケルは、バッファローの角やしっぽの部分、または「LIBERTY」の文字の部分が著しく損傷・及びデザインの詳細を欠いたものが多く見つかる。1926年-D版は、こうした欠陥が多く報告されている。

この硬貨には価値の高い2つの種類がある。1918年、デンバー造幣局で造られた5セント硬貨の中には、年の部分を変更した1917年の打ち型で製造されたものがある。その結果これは「1918/7-D」硬貨として知られることとなり、収集家からは引く手数多の希少な種類となった。また、デンバーで製造された1937年の硬貨の中にも過度に光沢があり、型のエラーで裏側のバッファローの右側前足が無くなったものがある。これは「3本足」の種類として有名である。これらは約2万枚しか発行されなかったとも推定されており、現在残っているもので状態が良ければかなり高価である。しかし、偽物も多く出回っているため、収集家は購入の際に特に注意を払っている。「1936-D」版の「3.5本足」硬貨も存在する。

26年間でこのバッファロー・ニッケルは12億枚が発行されており、その中でサンフランシスコで製造された1926年の硬貨(1926-S)のみ製造量が100万枚よりも少ない。また、1922年、1932年、1933年度はバッファロー・ニッケルが製造されなかった。1922年の製造量の減少は、造幣局がドル銀貨の製造を最優先させていた結果起こったもので、1932年と1933年は世界恐慌のため、他の多くの硬貨と同じくバッファロー・ニッケルが1枚も発行されなかった。

一部の人々からこのバッファロー・ニッケルに描かれているデザインが、アメリカ合衆国の硬貨の中でも最も良いものの一つと考えられていたため、2001年バッファロー・ダラー記念硬貨や2006年アメリカン・バッファロー金貨のデザインとして再び使用された。









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