駄菓子屋
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/19 16:45 UTC 版)
駄菓子屋の現状
駄菓子屋は1980年代から著しい減少傾向が続いている。小学校近辺にある子供を相手にした店などは、特に地方において少子化・過疎化で子供の数が激減したうえ、子供たちの遊びに対する嗜好の変化、あるいは子供らが経済的に豊かになったことの影響を受けた。衛生的で商品も豊富なコンビニエンスストアの増加、またスナック菓子などの人気によって、駄菓子そのものが「程度の低いお菓子」として児童や保護者らに敬遠されたこともある。こうした経営的な苦しさによる後継者不足も加わり、典型的な「お婆さんが住居兼用で営む街中の駄菓子屋さん」はかなり減少している。ただ2000年代においても、駄菓子屋に通って育った世代の一部は思い入れを抱いているほか、駄菓子屋を含めた「昭和レトロ」に新鮮さを感じる若い世代もいる。このため、駄菓子屋を再現した売り場を設けたり、個々の駄菓子を販売したりする企業があるほか、駄菓子関連の展示施設もある。
子供時代に駄菓子屋に慣れ親しんだ大人たちが当時を懐かしみ、懐古趣味も手伝って取り扱いをする店舗も変化している。駄菓子の販路に関しては、インターネットでの通信販売をはじめとして、大型ショッピングセンター、コンビニに至るまで、多様化している。懐古ブームにも乗り、人気定番アイテムとして現在でも入手は可能である。またこの懐古ブームに乗った「駄菓子屋チェーン店」の動きもあり、ビジネスガイド主催「インターナショナル・ギフトショー」にもそういった業者の出品が見られる。
- 菓子屋横丁(駄菓子横丁、駄菓子屋横丁) - 埼玉県川越市元町(末広町との区域境近く)。自営の小規模な製造業者の直売で、軒を連ねている。
- 二木の菓子 - 上野・アメ横の店舗では、駄菓子のまとめ買いにもばら売りにも対応。
- 神戸物産 - 日本各地で「業務スーパー」を展開する小売業。一部店舗で駄菓子のまとめ売りを行っている。
上記以外に駄菓子屋関連の展示や商品販売などを観光や地域活性化に生かしている例としては、「昭和レトロ商品博物館」[1](東京都青梅市)や「駄菓子屋ゲーム博物館」[2](東京都板橋区)、伊香保おもちゃと人形自動車博物館内「昭和レトロテーマパーク駄菓子屋横丁」[3](群馬県吉岡町)などがある。
駄菓子問屋
駄菓子を扱う問屋などが多数営業している地域としては、台東区の蔵前、名古屋市の明道町、大阪市の松屋町などがある。問屋は、小売業者の仕入れ向けにロット(生産単位)での大量一括販売が基本であるが、問屋業者・店舗によっては個人客への小売り(ばら売り)に応じてくれるところもある。
- 東京都台東区蔵前(江戸通り沿いとその近辺) - 玩具の問屋街。玩具に類する品揃えの一環として、おもちゃ花火や駄菓子を取り扱う問屋もある。なお、当地南側の台東区浅草橋には人形の問屋が多い。北側の台東区駒形には、バンダイ、エポック社のそれぞれの本社なども所在する。
- 東京都荒川区西日暮里(日暮里) - 日暮里駅東口を出て西日暮里駅寄り直ぐのところにあった「日暮里菓子玩具問屋街」(日暮里菓子玩具問屋組合)が2004年に立ち退き、「問屋街」としては消滅した。日暮里駅東口では再開発計画による駅ビル建築が進んでいる。なお、個別の問屋自体は、駅周辺や駅から少し離れたところに移転して散在しつつ営業を続けており、駅ビル完成時に入居を計画している問屋もある。
- 愛知県名古屋市西区新道、幅下(明道町) - 中京菓子玩具卸市場が2000年に閉鎖した後も、周辺で問屋が多数営業している。菓子メーカー(製菓会社)も多数所在する。全国の大半の小売店に駄菓子を出荷している、国内最大規模の駄菓子問屋街。
- 大阪府大阪市中央区松屋町
- ^ フィクションではあるが『20世紀少年』では駄菓子屋「ジジババの店」(通称「ジジババ」)が登場するも「同店経営者の片割れであるジジ(爺)はとっくの昔に故人で…」という描写が登場する。
- ^ 様々な味付けでシリーズ化され単価も安いので、好きな味のものをまとめ買いするのも、いろいろな味を試すのもお好み次第。コスト上昇を事業拡大による製造設備の拡充といった量産効果などの経営努力で吸収し、2022年3月まで値段を10円に抑えていた。同4月に12円に値上げしている。
- ^ 付いている玩具の数や一回辺りの代金によってもまちまちだが、派手な当たり景品の影には廉価な外れ景品もあり、くじとして選ぶ貼り合わされた小さな紙片に記載された番号で、台紙に貼り付けられた所定の番号の景品と引き換えるようになっている。
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