階段
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/03 13:46 UTC 版)
階段を用いた設備
階段の特別なものとしてはエスカレーターと梯子を含むことがある。また、河川の護岸用など、人が常時往来することのない場所に階段状の建造物が設けられることがある。後列ほど机・椅子が高くなっており、演壇が見やすくなっているような構造の教室は階段教室と呼ばれる。
- 階段に類する昇降設備
特筆すべき階段
記録
- 世界最長の階段
- ギネスブックに掲載されている世界最長の階段は、スイスはシュピーツの近郊にあるニーゼン鉄道のケーブルカー(英語名:Niesenbahn funicular railway)の線路に付属する石段 (de:Niesenbahn#Längste Treppe der Welt)であり、11,674段、1,669mの長さを持つ。
- 日本最長の階段
- 熊本県下益城郡美里町の釈迦院にある御坂遊歩道(みさかゆうほどう、釈迦院御坂遊歩道)は3,333段あり、日本最長の階段(石段)である。この石段が1988年(昭和63年)に完成するまでは、山形県の羽黒山にある2,446段が最長であった。
著名な階段
- スペイン階段
- オードリー・ヘプバーン主演の映画『ローマの休日』(1953年)でも登場し、「スペイン階段」「スペイン広場の大階段」の名で知られる、イタリアはローマの、トリニタ・デイ・モンティ教会の石段。
- ポチョムキンの階段
- ウクライナのオデッサにある巨大な階段。エイゼンシュテインの映画『戦艦ポチョムキン』(1925年)で兵士による民衆の虐殺の舞台として象徴的に使用されたことで知られる。
- 階段国道
- 青森県を通る国道339号の竜飛崎付近には362段の階段が国道として認定された区間があり、車両は通行ができない。
- 宝塚歌劇団大階段(おおかいだん)
- 1927年9月の日本最初のレビュー『モン・パリ』で、このときは16段の大階段が導入されたのがはじまりで、現在は舞台全体を使った26段、一段の幅24cmの舞台装置として用いられる。宝塚大劇場・東京宝塚劇場に同じ寸法のものが取りつけられていて、宝塚歌劇団の代名詞ともいえる。博多座劇場公演でも規模はやや小さいが階段を用意する。全国ツアーでも数段程度の階段を必ず用いる。改築・新築を経て、今日では文字・柄を電飾表示することもできる。公演の最後(フィナーレ)は出演者が大階段を降りながらパレードを行うのが通例で、ショーのプロローグなどでセットの一部として用いるケースもある。
階段での事故
階段で転ぶと大変危険である。狭い面がそれぞれ直角に折れ曲がった構造は手や膝で支えるには難しく、落下を止めるのが困難である。それ以外の部分から落ちた場合には、角張った部分があるため、当たる面積が狭くなり、必然的に荷重が大きくなり、けがを引き起こしやすい。頭部や頸などが当たった場合、命の危険すらあり、たとえば1989年には、日本国内で593人が階段からの転落により死亡している[10]。転落し死亡した人物としてはフマーユーン、ナッサウ=ヴァイルブルク侯フリードリヒ・ヴィルヘルム、岩佐寿弥、H・R・ギーガーなどがあげられる。
前述のとおり、一度転ぶと自力で止めることはほぼ不可能であるため、長大かつ直線的な階段になればなるほど落下すれば命の危険が増すこととなる。このため、落下を途中で食い止めやすくする目的で概ね十段~二十段に一カ所は踊り場を設けるのが通常である。
学校施設では階段で遊んだりふざけたりしないことが再三注意されるし、サスペンス作品では事故死の定番となっている。映画『蒲田行進曲』では命がけの演技として「階段落ち」が描かれている。
- ^ a b c d e 十代田三郎ほか『建築構法一般』産業図書、1964年、282頁。
- ^ a b c 十代田三郎ほか『建築構法一般』産業図書、1964年、287頁。
- ^ a b c d e f g 中山繁信・長沖充 2010, p. 26.
- ^ a b c d e 中山繁信・長沖充 2010, p. 28.
- ^ 中山繁信・長沖充 2010, p. 34.
- ^ a b c d e 中山繁信・長沖充 2010, p. 27.
- ^ 中山繁信・長沖充 2010, p. 35.
- ^ a b 中山繁信・長沖充 2010, p. 48.
- ^ a b c 中山繁信・長沖充 2010, p. 49.
- ^ 永田久雄「日本における階段からの転落死亡事故の様相」(PDF)『日本建築学会計画系論文報告集』第431巻、1992年1月、39-46頁、doi:10.3130/aijax.431.0_39。
階段と同じ種類の言葉
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