福井鉄道 鉄軌道事業

福井鉄道

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/19 09:45 UTC 版)

鉄軌道事業

路線図(クリックで拡大)

鉄軌道事業[注 4]では、福武電気鉄道により開業したたけふ新 - 福井市内間の福武線のほか、鯖浦電気鉄道により開業した鯖浦線や、武岡軽便鉄道(後に武岡鉄道、南越鉄道と改称し福武電気鉄道に合併)により開業した南越線を擁していたが、1973年に鯖浦線、1981年に南越線が廃止されて以降は福武線だけを営業路線としている。

鉄軌道路線

現有路線
廃止路線

車両

鉄道形車両に設置された乗降用ステップ。左が閉じた状態、右がステップが開いた状態である

福武線では、2006年(平成18年)4月に運用車両を名古屋鉄道より譲り受けた路面電車形車両に置き換え、従来車(鉄道形車両)の大半を代替したが、さらに2013年(平成25年)3月に、自社発注の低床型(路面電車形)車両「F1000形」を導入した[41][42]。この独自のデザインの車両は、「FUKURAM(フクラム)」という愛称がつけられている。福井鉄道には鉄道線と軌道線が存在するが、FUKURAMはそのどちらの直通運用にも対応した車両である。その特徴が評価され、2014年にはローレル賞[43]を受賞した。

また、F1000形の導入と並行して、注目度向上や鉄道ファンの集客を狙い、元ドイツシュトゥットガルト市電の車両で、1990年から2000年まで高知県土佐電気鉄道(現在のとさでん交通)で導入・運用されていた735形電車[44]を購入・改修して運用する案が具現化、車両購入費200万円と運行に必要な改修費・輸送費7,600万円の計7,800万円について、全額を県が補助することを盛り込んだ予算案が、福井県の2013年度当初予算案に盛り込まれた[45]。福井鉄道での形式名はF10形とし、愛称は「レトラム」とした。2014年3月29日に披露式を行ったが、配電の不具合により数十m走行したところで運行を打ち切った。その後、4月12日に営業運行を開始したが、度重なる故障により6月14日には運行を停止。その後、9月6日に運行を再開したが故障により9月8日から9月30日まで運休した。現在は、春と秋の土休日にのみ運転されている。[46]

F1000形のみ、「フェニックス田原町ライン」として、えちぜん鉄道三国芦原線田原町駅 - 鷲塚針原駅間と相互直通運転を行っている(概要節も参照)[47]

現有車両

事業用車両

また、このほかにディーゼルモーターカーがある。

過去の車両

  • 1形
    1923年(大正12年)に福武電鉄が開業のために3両を用意した15メートル級2扉の木造車。梅鉢鉄工場[51]。モハ1は車体全周にわたる鋼板補強による簡易半鋼製化、いわゆる「偽スチール車」化と前面窓Hゴム化改造などを受け[51]1968年(昭和43年)12月廃車[52]になるまで福武線と鯖浦線で運用された。
  • 10形
    1925年(大正15年)に日本車両で1形の増結用付随車として、同型の車体で2両が製造された木造車[53]。福武電鉄時代に電装されてデハ6、7となり、福井鉄道成立後にモハ10形となっている。
    モハ11は1948年(昭和23年)の福井地震で焼失。大阪の広瀬車輛の手により3扉の半鋼製車体を新造した[53]。単独で運用されたり、鯖浦線の40形で唯一車体更新されたモハ42と編成を組んで運行[54]されたりしていたが、1981年にモハ42のモハ143-1への転用を受け休車となり、300形の導入に伴い1987年7月に廃車となった[52]
    木造車のままだった[55]モハ12は、モハ1と同様の改造を受けて晩年は鯖浦線で運用され、同線全線廃止により1973年10月に廃車[52]となっている。
  • 20形
    1930年(昭和5年)に福武電鉄モハ11形として日本車両で2両製造された。三国芦原電鉄ホデハ11形、越前電気鉄道ホデハ211形、上田温泉電軌デナ200形琴平電鉄3000形一畑電気鉄道デハ1形など、当時日車が地方私鉄向けに設計していた戸袋窓が楕円形[56]の15メートル半鋼製両運転台車の一種である。車体寸法はホデハ11と同じで走行装置はホデハ211形と同様の間接非自動制御・主電動機は三菱MB-104Aを2個装備であった[57]
    福武線では2両連結、鯖浦線では単行[58]といった形態で使用されていたが、連結運転の恒常化から、1970年(昭和45年)に片運転台化・連結面に貫通路増設の改造を実施、モハ22のモーターもモハ21に移し、2両固定編成のモハ21+クハ21となった[55][59]。300形の導入に伴い1986年7月に廃車となった[52]
  • 30形
    1932年(昭和7年)に鶴見臨港鉄道軌道線用に新造したモハ20形2両を、福武電鉄が1940年と1941年に1両ずつ譲り受けてデハ30形としたもの。モハ31は1965年に踏切事故からの復旧に際して電送解除してサハ31に。
    晩年はサハ31は鯖浦線と南越線で運用され、モハ32は南越線で運用された。両路線の部分廃止と老朽化に伴い廃車。
  • 80形
  • 120形
  • 140形
  • 160形
  • 300形
  • 500形
  • 510形
    1950年広瀬車両製の琴平参宮電鉄デハ80形81、83が、路線廃止後北陸鉄道金沢市内線のモハ2060形となっていたのを、金沢市内線も廃止されたため1967年に授受したもの[54]。500形と同じく田原町 - 福井駅間の軌道区間専用車両[60]となっていたが、わずか2年後の1969年9月に廃車となった[52]
  • 560形
  • 600形
  • 800形
    2編成(部分低床車)、元名古屋鉄道。2018年度をもって運用終了。2019年3月、同一車両を運行している豊橋鉄道へ再譲渡[50]
  • デキ2形

車両数の変遷

10形 20形 80形 120形 130形 140形 160形 200形 300形 560形 600形 610形 770形 800形 880形 F1000形 F10形 計(冷房車)
1982-
1985
1 2 4 4 2 6 2 6 27
1986 1 2 4 4 6 2 6 2 27(2)
1987 1 4 4 6 2 6 4 27(4)
1988 4 3 6 2 6 6 27(6)
1989 4 3 6 2 6 6 1 28(8)
1990 4 3 6 2 6 6 1 28(10)
1991 4 3 6 2 6 6 1 28(12)
1992 4 2 6 2 6 6 1 27(14)
1993-
1997
4 2 6 2 6 6 1 27(16)
1998 4 2 6 6 6 1 1 26(17)
1999 4 2 4 6 6 1 2 25(18)
2000-
2005
4 2 2 6 6 1 2 2 25(20)
2006 4 2 2 6 6 1 2 2 8 2 10 45(40)
2007-
2011
6 2 2 8 2 10 30(30)
2012 3 2 1 8 2 10 26(26)
2013 3 1 1 8 2 10 1 28(28)
2014 3 1 1 8 2 10 1 1 27(26)
2015 1 1 1 8 2 10 2 1 26(25)
2016 1 1 1 8 2 10 4 1 28(27)
2017-
2018
1 1 8 2 10 4 1 27(26)
2019-
2020
1 8 10 4 1 24(23)
  • 1982・83年は1月1日時点、1984年から2011年までは4月1日時点、2012年以降は12月31日時点
  • 『私鉄車両編成表』各年版(ジェー・アール・アール、2011年まで)ならびに『路面電車年鑑』各年版(イカロス出版、2012年以降)

注釈

  1. ^ 福鉄本社単体の総営業収益が15億2,728万2,000円、うち自動車運送事業部門(バス事業部門)の営業収益は11億4,535万5,000円であるため、約74.99%となる。
  2. ^ バス事業(旅客自動車運送事業)だけで見れば、福鉄グループ全体の総営業収益が54億6,861万1,000円、うちバス事業部門の営業収益は16億298万2,000円であるため、約29.31%となる。また、バス事業だけでなく子会社の福鉄商事が展開するタクシー事業も含めれば、バス事業・タクシー事業併せた収益は19億1,934万9,000円であり、約35.09%となる。
  3. ^ 対象区間は「敦賀駅 - 関」間と「白木もんじゅ前 - 白木」間の2区間となるが、美浜町内(「北田口 - 丹生口」間)で乗降せずに「関 - 白木もんじゅ前」間を直通乗車した場合もこの対象となる。
  4. ^ 営業路線の一部は軌道法に基づく事業である。

出典

  1. ^ a b 清水 2016, p. 18.
  2. ^ a b c d e f g h i j k 福井鉄道株式会社『第108期(2022年4月1日 - 2023年3月31日)有価証券報告書』(レポート)2022年6月28日。 
  3. ^ 福井鉄道株式会社『第107期(2021年4月1日 - 2022年3月31日)有価証券報告書 英訳名』(レポート)2022年6月28日。 
  4. ^ a b 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づく鉄道事業再構築実施計画の認定について(第1号認定)〔福井鉄道(株)、福井市、鯖江市、越前市、福井県〕 (PDF) 」 国土交通省からの計画認定に関する公式発表に添付された資料の1つ目。
  5. ^ a b c d e f 朝日 2011, p. 13.
  6. ^ 福井鉄道、新社長に村田氏就任[リンク切れ] 福井新聞 2008年11月26日
  7. ^ 関連会社株式の譲渡に関するお知らせ(平成20年12月15日)』(PDF)(プレスリリース)名古屋鉄道、2008年12月15日https://www.meitetsu.co.jp/profile/ir/reference/disclosure/release081215.pdf2021年3月11日閲覧 
  8. ^ a b 清水 2016, p. 45.
  9. ^ 名鉄が福井鉄道へ10億円増資、全株譲渡し撤退 福武線存続問題[リンク切れ] 福井新聞 2008年12月29日
  10. ^ 福井鉄道の鉄道事業再構築事業の概要 (PDF) 」 国土交通省からの計画認定に関する公式発表に添付された資料の2つ目。
  11. ^ a b c 福井鉄道「鉄道事業再構築事業」の現況について (PDF)
  12. ^ 福武線支援策、国が認定 10年間で10億補助[リンク切れ] - 福井新聞 2009年2月24日
  13. ^ 福井鉄道 2011年度安全報告書(鉄道部門)
  14. ^ 福井鉄道 2012年度安全報告書(鉄道部門)
  15. ^ 福井鉄道に新型車両「さくら色フクラム」 旧型「610形」は廃車へ - 福井経済新聞、2016年12月29日
  16. ^ a b c えちぜん鉄道と相互乗り入れ開始 福井鉄道、路面電車は西口に延伸”. 福井新聞ONLINE. 福井新聞社 (2016年3月28日). 2016年9月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月11日閲覧。
  17. ^ a b c 「フェニックス田原町ライン」開業! 「キーボ」「フクラム」で相互直通運転”. マイナビニュース. マイナビ (2016年3月27日). 2021年3月11日閲覧。
  18. ^ a b “鉄道と路面電車が相互乗り入れ 「全国初」 福井鉄道とえちぜん鉄道”. 産経WEST. (2016年3月27日). https://www.sankei.com/west/news/160327/wst1603270054-n1.html 2019年2月14日閲覧。 
  19. ^ a b 清水 2016, p. 46.
  20. ^ 杉山淳一の「週刊鉄道経済」:廃線危機から再生、「フェニックス田原町ライン」はなぜ成功したか - ITMedia。2016年08月19日6時30分発信、2018年9月11日閲覧。
  21. ^ えち鉄、福鉄との経営統合課題整理 新幹線敦賀開業後の並行在来線”. 福井新聞ONLINE. 福井新聞社 (2018年6月28日). 2019年11月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月11日閲覧。、2018年6月28日
  22. ^ 並行在来線、えち鉄、福鉄の一体化は 福井県知事、北陸新幹線開業10年めどに検討”. 福井新聞ONLINE. 福井新聞社 (2020年9月12日). 2020年10月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月11日閲覧。
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  24. ^ 朝日 2011, p. 12.
  25. ^ 清水 2016, p. 32.
  26. ^ a b 清水 2016, p. 33.
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  30. ^ a b “福井鉄道とヤマト運輸、路線バスで宅配便輸送 池田町-越前市、産物PRも”. 産経ニュース. (2018年8月9日). https://www.sankei.com/article/20180809-NVYHQHSI4RL3VGYLIJL5XLDJOU/ 2019年8月16日閲覧。 
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  44. ^ 2000年以降は運用を終了し、保管されていた。
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  50. ^ a b 『路面電車年鑑2020』イカロス出版、65頁。ISBN 978-4-8022-0785-0 
  51. ^ a b 『鉄道ピクトリアル』No.256 p.62
  52. ^ a b c d e 『鉄道ピクトリアル』No.626 p.55
  53. ^ a b 『鉄道ピクトリアル』No.256 p.62-63
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  56. ^ 『鉄道ピクトリアル』No.626 p.52
  57. ^ 『鉄道ピクトリアル』No.256 p.63
  58. ^ 『鉄道ピクトリアル』No.256 p.74
  59. ^ 『鉄道ピクトリアル』No.257 p.57-58
  60. ^ 『鉄道ピクトリアル』No.214 p.46


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