福井鉄道
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鉄軌道事業
鉄軌道事業[注 4]では、福武電気鉄道により開業したたけふ新 - 福井市内間の福武線のほか、鯖浦電気鉄道により開業した鯖浦線や、武岡軽便鉄道(後に武岡鉄道、南越鉄道と改称し福武電気鉄道に合併)により開業した南越線を擁していたが、1973年に鯖浦線、1981年に南越線が廃止されて以降は福武線だけを営業路線としている。
鉄軌道路線
車両
福武線では、2006年(平成18年)4月に運用車両を名古屋鉄道より譲り受けた路面電車形車両に置き換え、従来車(鉄道形車両)の大半を代替したが、さらに2013年(平成25年)3月に、自社発注の低床型(路面電車形)車両「F1000形」を導入した[41][42]。この独自のデザインの車両は、「FUKURAM(フクラム)」という愛称がつけられている。福井鉄道には鉄道線と軌道線が存在するが、FUKURAMはそのどちらの直通運用にも対応した車両である。その特徴が評価され、2014年にはローレル賞[43]を受賞した。
また、F1000形の導入と並行して、注目度向上や鉄道ファンの集客を狙い、元ドイツ・シュトゥットガルト市電の車両で、1990年から2000年まで高知県の土佐電気鉄道(現在のとさでん交通)で導入・運用されていた735形電車[44]を購入・改修して運用する案が具現化、車両購入費200万円と運行に必要な改修費・輸送費7,600万円の計7,800万円について、全額を県が補助することを盛り込んだ予算案が、福井県の2013年度当初予算案に盛り込まれた[45]。福井鉄道での形式名はF10形とし、愛称は「レトラム」とした。2014年3月29日に披露式を行ったが、配電の不具合により数十m走行したところで運行を打ち切った。その後、4月12日に営業運行を開始したが、度重なる故障により6月14日には運行を停止。その後、9月6日に運行を再開したが故障により9月8日から9月30日まで運休した。現在は、春と秋の土休日にのみ運転されている。[46]
F1000形のみ、「フェニックス田原町ライン」として、えちぜん鉄道三国芦原線の田原町駅 - 鷲塚針原駅間と相互直通運転を行っている(概要節も参照)[47]。
現有車両
- F2000形 FUKURAM Liner(フクラムライナー) - 1編成。2023年3月27日運行開始[48][49]
- F1000形 FUKURAM(フクラム) - 4編成(全室低床車)
- 880形 - 5編成、元名古屋鉄道美濃町線・田神線
- 770形 - 4編成、元名古屋鉄道岐阜市内線・揖斐線
- F10形 RETRAM(レトラム) - 1編成、元シュトゥットガルト市電→土佐電気鉄道735形
- 200形 - 1編成、2019年から休車[50]。2023年より保存。
-
F2000形(F2001)
-
F1000形(F1001)
-
F1000形(F1002)
-
F1000形(F1003)
-
F1000形(F1004)
-
880形
-
770形
-
F10形 RETRAM(レトラム)
-
200形
事業用車両
-
デキ1形(デキ3)
-
デキ10形
過去の車両
- 1形
- 10形
- 1925年(大正15年)に日本車両で1形の増結用付随車として、同型の車体で2両が製造された木造車[53]。福武電鉄時代に電装されてデハ6、7となり、福井鉄道成立後にモハ10形となっている。
- モハ11は1948年(昭和23年)の福井地震で焼失。大阪の広瀬車輛の手により3扉の半鋼製車体を新造した[53]。単独で運用されたり、鯖浦線の40形で唯一車体更新されたモハ42と編成を組んで運行[54]されたりしていたが、1981年にモハ42のモハ143-1への転用を受け休車となり、300形の導入に伴い1987年7月に廃車となった[52]。
- 木造車のままだった[55]モハ12は、モハ1と同様の改造を受けて晩年は鯖浦線で運用され、同線全線廃止により1973年10月に廃車[52]となっている。
- 20形
- 1930年(昭和5年)に福武電鉄モハ11形として日本車両で2両製造された。三国芦原電鉄ホデハ11形、越前電気鉄道ホデハ211形、上田温泉電軌デナ200形、琴平電鉄3000形、一畑電気鉄道デハ1形など、当時日車が地方私鉄向けに設計していた戸袋窓が楕円形[56]の15メートル半鋼製両運転台車の一種である。車体寸法はホデハ11と同じで走行装置はホデハ211形と同様の間接非自動制御・主電動機は三菱MB-104Aを2個装備であった[57]。
- 福武線では2両連結、鯖浦線では単行[58]といった形態で使用されていたが、連結運転の恒常化から、1970年(昭和45年)に片運転台化・連結面に貫通路増設の改造を実施、モハ22のモーターもモハ21に移し、2両固定編成のモハ21+クハ21となった[55][59]。300形の導入に伴い1986年7月に廃車となった[52]。
- 30形
- 80形
- 120形
- 140形
- 160形
- 300形
- 500形
- 510形
- 560形
- 600形
- 800形
- デキ2形
車両数の変遷
年 | 10形 | 20形 | 80形 | 120形 | 130形 | 140形 | 160形 | 200形 | 300形 | 560形 | 600形 | 610形 | 770形 | 800形 | 880形 | F1000形 | F10形 | 計(冷房車) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1982- 1985 |
1 | 2 | 4 | 4 | 2 | 6 | 2 | 6 | 27 | |||||||||
1986 | 1 | 2 | 4 | 4 | 6 | 2 | 6 | 2 | 27(2) | |||||||||
1987 | 1 | 4 | 4 | 6 | 2 | 6 | 4 | 27(4) | ||||||||||
1988 | 4 | 3 | 6 | 2 | 6 | 6 | 27(6) | |||||||||||
1989 | 4 | 3 | 6 | 2 | 6 | 6 | 1 | 28(8) | ||||||||||
1990 | 4 | 3 | 6 | 2 | 6 | 6 | 1 | 28(10) | ||||||||||
1991 | 4 | 3 | 6 | 2 | 6 | 6 | 1 | 28(12) | ||||||||||
1992 | 4 | 2 | 6 | 2 | 6 | 6 | 1 | 27(14) | ||||||||||
1993- 1997 |
4 | 2 | 6 | 2 | 6 | 6 | 1 | 27(16) | ||||||||||
1998 | 4 | 2 | 6 | 6 | 6 | 1 | 1 | 26(17) | ||||||||||
1999 | 4 | 2 | 4 | 6 | 6 | 1 | 2 | 25(18) | ||||||||||
2000- 2005 |
4 | 2 | 2 | 6 | 6 | 1 | 2 | 2 | 25(20) | |||||||||
2006 | 4 | 2 | 2 | 6 | 6 | 1 | 2 | 2 | 8 | 2 | 10 | 45(40) | ||||||
2007- 2011 |
6 | 2 | 2 | 8 | 2 | 10 | 30(30) | |||||||||||
2012 | 3 | 2 | 1 | 8 | 2 | 10 | 26(26) | |||||||||||
2013 | 3 | 1 | 1 | 8 | 2 | 10 | 1 | 28(28) | ||||||||||
2014 | 3 | 1 | 1 | 8 | 2 | 10 | 1 | 1 | 27(26) | |||||||||
2015 | 1 | 1 | 1 | 8 | 2 | 10 | 2 | 1 | 26(25) | |||||||||
2016 | 1 | 1 | 1 | 8 | 2 | 10 | 4 | 1 | 28(27) | |||||||||
2017- 2018 |
1 | 1 | 8 | 2 | 10 | 4 | 1 | 27(26) | ||||||||||
2019- 2020 |
1 | 8 | 10 | 4 | 1 | 24(23) |
- 1982・83年は1月1日時点、1984年から2011年までは4月1日時点、2012年以降は12月31日時点
- 『私鉄車両編成表』各年版(ジェー・アール・アール、2011年まで)ならびに『路面電車年鑑』各年版(イカロス出版、2012年以降)
注釈
- ^ 福鉄本社単体の総営業収益が15億2,728万2,000円、うち自動車運送事業部門(バス事業部門)の営業収益は11億4,535万5,000円であるため、約74.99%となる。
- ^ バス事業(旅客自動車運送事業)だけで見れば、福鉄グループ全体の総営業収益が54億6,861万1,000円、うちバス事業部門の営業収益は16億298万2,000円であるため、約29.31%となる。また、バス事業だけでなく子会社の福鉄商事が展開するタクシー事業も含めれば、バス事業・タクシー事業併せた収益は19億1,934万9,000円であり、約35.09%となる。
- ^ 対象区間は「敦賀駅 - 関」間と「白木もんじゅ前 - 白木」間の2区間となるが、美浜町内(「北田口 - 丹生口」間)で乗降せずに「関 - 白木もんじゅ前」間を直通乗車した場合もこの対象となる。
- ^ 営業路線の一部は軌道法に基づく事業である。
出典
- ^ a b 清水 2016, p. 18.
- ^ a b c d e f g h i j k 福井鉄道株式会社『第108期(2022年4月1日 - 2023年3月31日)有価証券報告書』(レポート)2022年6月28日。
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- ^ a b c d e f 朝日 2011, p. 13.
- ^ 福井鉄道、新社長に村田氏就任[リンク切れ] 福井新聞 2008年11月26日
- ^ 『関連会社株式の譲渡に関するお知らせ(平成20年12月15日)』(PDF)(プレスリリース)名古屋鉄道、2008年12月15日 。2021年3月11日閲覧。
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- ^ 名鉄が福井鉄道へ10億円増資、全株譲渡し撤退 福武線存続問題[リンク切れ] 福井新聞 2008年12月29日
- ^ 「福井鉄道の鉄道事業再構築事業の概要 (PDF) 」 国土交通省からの計画認定に関する公式発表に添付された資料の2つ目。
- ^ a b c 「福井鉄道「鉄道事業再構築事業」の現況について (PDF) 」
- ^ 福武線支援策、国が認定 10年間で10億補助[リンク切れ] - 福井新聞 2009年2月24日
- ^ 福井鉄道 2011年度安全報告書(鉄道部門)
- ^ 福井鉄道 2012年度安全報告書(鉄道部門)
- ^ 福井鉄道に新型車両「さくら色フクラム」 旧型「610形」は廃車へ - 福井経済新聞、2016年12月29日
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- ^ 杉山淳一の「週刊鉄道経済」:廃線危機から再生、「フェニックス田原町ライン」はなぜ成功したか - ITMedia。2016年08月19日6時30分発信、2018年9月11日閲覧。
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- ^ 2000年以降は運用を終了し、保管されていた。
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- ^ “福井鉄道新型車「F2000形」営業運転へ デジタルサイネージで観光PRも”. 福井経済新聞 (みんなの経済新聞ネットワーク). (2023年2月25日) 2023年2月26日閲覧. "福井鉄道の新型車両「F2000形」が3月27日、営業運転を始める。"
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- ^ a b 『路面電車年鑑2020』イカロス出版、65頁。ISBN 978-4-8022-0785-0。
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- ^ a b 『鉄道ピクトリアル』No.256 p.62-63
- ^ a b 『鉄道ピクトリアル』No.257 p.57
- ^ a b 『鉄道ピクトリアル』No.626 p.34
- ^ 『鉄道ピクトリアル』No.626 p.52
- ^ 『鉄道ピクトリアル』No.256 p.63
- ^ 『鉄道ピクトリアル』No.256 p.74
- ^ 『鉄道ピクトリアル』No.257 p.57-58
- ^ 『鉄道ピクトリアル』No.214 p.46
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