情報 生命と情報

情報

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/28 00:27 UTC 版)

生命と情報

多様な意味

冒頭に説明したように、生命に関わる情報としては、神経系のそれ[1]や、内分泌系のホルモン情報[1](身体の中で細胞同士が、神経システムを用いずに、微量物質によっておこなっている、直にやりとりしているそれ)、遺伝子に保持されているそれ、あるいは生命が生きる過程で遺伝子や細胞内に新たに書き加えられたり書きかえられたりするそれ[3]が挙げられる。他にも環境中の、生命に影響を与えうるあらゆるものを「情報」とみなすことができる。DNAやRNAが持っている情報をリボソームなどが翻訳し、タンパク質が合成される。

脳の中で発生する意識も、器官ごとの情報処理が統合されて発生しているものだと考えられている。(意識に相関する脳活動)(統合情報理論)

感覚器への入力だけとする限定的解釈

一部の人は「情報は、生物や有機的システムへの入力」と限定的に解釈する場合がある。さらにDusenberyは入力を2つに分類して考えた。ある種の入力はその生物(例えば、食物)やシステム(例えば、エネルギー)が機能を維持するのに重要な役割を果たす。Dusenberyは著書Sensory Ecology[10](1992)の中でそのような入力を「原因入力 (causal input)」 と称した。他の入力(情報)は原因入力との関連性においてのみ重要であり、将来、いつどこで原因入力が得られるのかを予測する役に立つ。一部の情報は他の情報との関連において重要だが、最終的には原因入力との関連がなければ意味がない、という。実際、情報は通常 弱い刺激として何らかの感覚システムで検出され、エネルギー入力によって増幅されてから生物や装置にとって意味のあるものになる。例えば、植物にとって光は原因入力であることが多いが、動物にとっても情報を提供する。花の反射する特定の色の光は光合成を行うには弱すぎるが、ミツバチの視覚はその光を検出し、花粉という原因入力を見つけるのに使う。植物側から見れば、そのような情報を発信することでミツバチを引き寄せ、受粉を手伝わせるという意味がある。


  1. ^ a b c d e f g h i j k l m デジタル大辞泉
  2. ^ a b c d e f g h i j 安西祐一郎「情報」『岩波 哲学・ 思想事典』1998年。 
  3. ^ a b 関連項目: エピジェネティックス細胞記憶
  4. ^ L. Floridi, Information - A Very Short Introduction (Oxford University Press) provides a short overview.
  5. ^ a b 坂本賢三「情報」『世界大百科事典』平凡社、1988年。 
  6. ^ 酒井清 改訳 (1881年11月15日). “佛國歩兵陣中要務實地演習軌典(再版)”. 国立国会図書館デジタルコレクション. 内外兵事新聞局. 2019年8月14日閲覧。
  7. ^ 小野厚夫: 情報という言葉を尋ねて(1). 情報処理学会誌, Vol.46, No.4, pp.347-351, 2005.
  8. ^ 軍事領域における訳語の変遷と原状は、高井三郎『知っておきたい現代軍事用語--解説と使い方』アリアドネ企画、2006年、42-45ページ、「〔情報、情報資料、諜報〕intelligence, information, espionage」参照。
  9. ^ 情報という言葉を尋ねて(1)同(2)同(3)
  10. ^ David B. Dusenbery (1992), Sensory Ecology: How organisms acquire and respond to information, New York: W.H. Freeman & Co, ISBN 978-0716723332 
  11. ^ Stewart, Thomas, (2001). Wealth of Knowledge. Doubleday, New York, NY, 379 p.
  12. ^ 法令用語と判例における「情報」 - 法政大学 白田秀彰
  13. ^ 野口悠紀雄『情報の経済理論』東洋経済新報社、1986年、[要ページ番号]頁。ISBN 4-492-31075-4 
  14. ^ Beynon-Davies P. (2002). Information Systems: an introduction to informatics in Organisations. Palgrave, Basingstoke, UK. ISBN 0-333-96390-3
  15. ^ Beynon-Davies P. (2009). Business Information Systems. Palgrave, Basingstoke. ISBN 978-0-230-20368-6
  16. ^ Witzany G. (2010) Biocommunication and Natural Genome Editing. Springer: Dordrecht
  17. ^ Sandro Nielsen: 'The Effect of Lexicographical Information Costs on Dictionary Making and Use', Lexikos 18/2008, 170-189.
  18. ^ Shu-Kun Lin (2008). 'Gibbs Paradox and the Concepts of Information, Symmetry, Similarity and Their Relationship', Entropy, 10 (1), 1-5.






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