工具 代表的な工具

工具

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/30 19:19 UTC 版)

代表的な工具

世の中には膨大な種類の工具が存在し、それらを明確に区分する分類は存在しない。種類の膨大さも相まって、工具を使用する業界(自動車機械配管など)によっても分け方が異なる場合もあり、一義的に分類することは不可能である。材質も多岐にわたるが、十分な強度が必要なので金属が主体となり、なかでも機械構造用鋼もしくは工具鋼が多用される傾向にある。本項では使用形態や使用されるジャンル、取引形態などから分類し、次に示す。

手動工具

手を原動力とした工具である。ハンドツール。作業工具とも呼ぶ。

手動工具にはJIS規格商品が多いが、呼び寸法と実際の商品の全長寸法が異なったり、許容公差が他のJIS規格に比べて大きくなっている(例えばペンチ呼び寸法175は、全長185±4ミリメートル)。これは、規格制定の時にメーカーの立場が強く反映された為、先行していた各社の商品が規格の範囲に合格するように制定された事による。また機械の輸入時に付属工具として入ってきた物を国産化した工具が多く、基本がインチ寸法となっており、それをミリメートル換算の寸法とした事にもよる。

品名についても輸入品名をあいまいに受け継いだり、間違えて呼んだものが一般化してJIS規格の品名となっている物もある(例えばpinch[挟む]がペンチ)。色も同じく海外品を真似て、ペンチは黒染め、プライヤはメッキ、パイプレンチ・ボルトカッタは赤色が主流となったのである。機械工場と自動車関係のユーザーの違いにより、スパナは黒染め品とメッキ仕上げ品がある[2]

動力工具

手工具と同様の働きを、電気、圧縮空気などを動力として行う工具。

空圧工具ではコンプレッサーを、油圧工具は油圧ポンプを電動モーターで動かしていることが多いが、これら動力源は電動工具とは呼ばれない。

電動工具
電動モーターを動力として作動する工具。日本の商用電源には、100 Vと200 Vの2種類がある。200 Vは工作機械用の電源と同じく3相交流と単相交流とがある。100 Vは、単相交流である。キャプタイヤーケーブルを通じて電力を供給するものと、充電式電池を用いることでコードが不要な充電電動工具に分けられる。商用電源の電動工具は、安全の為アースクリップでアースさせる事と電動工具に表示されている消費電力を上回るコンセントを使用する。モーターは、直巻整流子電動機(単相シリースモーター)か誘導電動機である。また整流子電動機のカーボンブラシ(整流子)は摩耗により消耗するのでメーカー指定の範囲まで使った場合は、新品と交換する必要がある。近年カーボンブラシの交換をユーザーに知らせるタイプとして交換を必要とするまで摩耗すると通電しなくなるタイプが普及している[3]。充電電動工具の二次電池は電圧が3.6 Vから36 V、種類もニッカド、ニッケル水素、リチウムイオン電池など、用途・メーカーによって多様である。
空圧工具(エアツール)
空圧コンプレッサーにより圧縮された空気)を動力として作動する工具。電動工具より大きな力が得られ、コンプレッサーの設置に必要な空間の確保も容易なこと、過負荷による故障がない、回転速度の調節が容易で2万回転の高速回転も容易である、逆回転が容易であるため、工場では空圧工具が用いられることが多い。コンプレッサーから工具まではホースで連結する。特別なものを除き6 kg/cm2 の圧力で使用する。インパクト工具としては最適である。回転運動の空圧工具は、ピストン式とロータ式があるが現在[いつ?]はほとんどロータ式である。圧縮空気の膨張力をハンマー効果として利用した工具にはつり機・リベッタ・チゼラ等がある[4]
油圧工具
油圧で作動する工具。電動モーターにより小型で大きな力を得ることが出来る油圧ポンプを駆動源とする。ピストン・シリンダを使用して各機能を作動させる。油圧ポンプは、高圧のプランジャーポンプ方式であることが多い。油圧発生部と機能部が一体式と分離式の2タイプがある。
  • 鉄筋カッター (電動油圧) - 1974年に株式会社IKK(DIAMOND・旧石原機械工業株式会社)が国内企業として初めて電動油圧式の鉄筋の切断機を開発。
  • 油圧トルクレンチ - 大型ボルトを所定のトルクで締め付けるトルク管理工具
  • ボルトテンショナー - 油圧によりボルトを強力に引っ張って伸ばし、ナットの締め付けしろを確保する軸力管理の工具
  • 油圧ナット - ナットに内蔵された油圧の力で、ボルトを強力に引っ張って伸ばし締め付ける軸力管理のナット

専用工具

ある特定の部位、箇所、目的にのみ使用され、一般に使われることの少ない工具。例えば、自動車の特定の部品の脱着のみに使用される工具などが挙げられる。 裏技的に汎用的な使用法も可能なものもある。

計測具

大きさ、長さ、トルクなどを計測するための道具。

大工道具

ほとんどが手で扱うことが可能だが、主に大工仕事に用いるものをここに示す。ホームセンターなどでも先述の工具とは別に陳列されることが多い。

  • (のこぎり)
  • (かんな)
  • (やすり)
  • (のみ)
  • (きり)
  • (ちょうな)
  • 墨壺(すみつぼ)
  • 指矩(さしがね)

切削工具

Grinding tools

研磨工具

その他の工具


  1. ^ a b THOMAS DUTTON 『THE HAND TOOLS MANUAL』p.1-p.6, 2007年発行、TSTC Publishing ISBN 978-1-934302-36-1
  2. ^ 技能士の友編集部『作業工具のツカイカタ』48頁から52頁、2002年8月25日13版発行。株式会社 大河出版。
  3. ^ 技能士の友編集部『作業工具のツカイカタ』134頁135頁、2002年8月25日13版発行、株式会社 大河出版。
  4. ^ 技能士の友編集部『作業工具のツカイカタ』138頁から147頁、2002年8月25日13版発行、株式会社 大河出版。


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