小田急1000形電車
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沿革
- 1988年(昭和63年)3月22日:営業運転開始[1]。
- 1989年(平成元年):営団地下鉄(現在の東京地下鉄)千代田線への乗り入れ開始。
- 1991年(平成3年)4月1日:ワイドドア車営業運転開始[1]。
- 2004年(平成16年):4両編成(計6編成)のワイドドア車すべてを6両編成(計4編成)に改造。
- 2007年(平成19年):4000形の千代田線への乗り入れ開始により、4+6両編成6本 (1061×4+1251×6 - 1066×4+1256×6) が通常ダイヤでの千代田線乗入れから撤退[6]。
- 2009年(平成21年)3月14日:車体塗色変更が行われた4両編成3本 (1059×4 - 1061×4) が運行を開始[7]。
- 2010年(平成22年):4000形の増備により、10両固定編成 (1091×10 - 1094×10) が千代田線乗り入れから撤退[6]。これにより、地上線のみの運用となった。
- 2014年(平成26年):本形式のリニューアルが発表[8]。
- 2015年(平成27年)1月9日:リニューアル車1本目となる1066×4が運用を開始した[9]。
- 2016年(平成28年)8月2日:6両編成と4両編成の6号車と7号車を中間車改造して10両化された1本目、1095×10が運用開始[10]。
- 2019年(平成31年)3月:新宿発着の各駅停車の一部に10両固定編成および6+4両編成の充当開始。
- 2020年(令和2年)
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千代田線での運用
2007年以降、小田急持ちの千代田線直通列車には本形式と4000形が使用されていたが、4000形の増備が進んだことと本形式へのD-ATS-P設置により2010年に、本形式は直通運用から外れた[13]。
動向
- 2001年(平成13年)ごろから制御装置と制動装置の交換が実施されている。純電気ブレーキ対応となり、起動・停止時の非同期領域磁励音が変化している。2012年8月の1091×10を最後に施工が完了している。また、同時期から座席が赤色モケットからピンク系バケットシートに交換され、2008年には全編成への施工が完了している。
- 6両編成の小田原寄り先頭車の電気連結器は使用しないため、撤去されている。
- 4両固定編成は、新製導入時から本形式の4両編成を2本連結した8両編成による新宿口での各停中心の運用に多く充当されてきたが、2000形や3000形8両固定編成の新製と旧4000形・9000形、5000形4両固定編成の廃車で、本形式の4両編成を2本連結した8両編成による運用は少なくなり、4両編成車は6両編成の各形式と併結し、快速急行や急行などの優等運用と4両単独で新松田駅以西の箱根登山線直通各停運用に就くことが多い。
- また、千代田線直通対応車(主に6+4両編成)も4000形の新製と、優等列車の分割併合運用が大幅に減少したことから地上運用に充当される頻度が増加した。2007年(平成19年)8月7日の江の島海岸での花火大会輸送時には10両固定編成が充当された。
- 2019年現在、8両固定編成は2000形や3000形の8両固定編成同様、各駅停車の主力車両として運用されている。なお、保安装置・編成長の関係から小田原線新松田以西と江ノ島線での定期運用はなく[注 3]、小田原線新宿 - 本厚木間と多摩線での運用、6両単独編成は多摩線や江ノ島線、小田原線成城学園前~小田原間の運用となっている。
- 千代田線直通対応車は、2007年9月から4000形の投入を開始したため、その置き換えで分割可能編成が直通運用から離脱し、5000形・5200形を置き換えた。なお、直通運用から離脱した編成は車両不足の対策が可能になるよう乗り入れ機器は撤去されておらず、千代田線内での貫通扉の使用方法や女性専用車などのステッカーも千代田線に対応したままとなっていた。なお、ブランドマーク導入時に他系列も千代田線に対応したものに交換している。
- 2008年3月15日のダイヤ改正以降、10両固定編成も4000形と共通で小田急線内の急行・快速急行運用に充当されるようになった。
- 2008年3月15日からブランドマークの貼り付けが開始された。
- 2009年3月のダイヤ改正に合わせて、箱根登山鉄道(現・小田急箱根)鉄道線内の折り返し運用および新松田駅 - 箱根湯本駅間の直通運用に使用される4両固定編成3本 (1059×4 - 1061×4) が、車体の外装を同社の1000形・2000形に準じた赤色(箱根登山鉄道と姉妹提携を結んでいるスイス・レーティッシュ鉄道をイメージしている)に変更された[14][15]。その後2012年3月に1058×4も同様のレーティッシュカラーに変更された。2012年3月以降、小田原 - 箱根湯本駅間の列車はこれらの車両に統一されている[16][17]。
- 1081×8は2020年6月30日を持って運用を終了した[11]。
牽引車としての役割
- 9000形の運用終了に伴い、旅客運用のほか、新製車やクヤ31形検測車「TECHNO-INSPECTOR」などの牽引や、甲種輸送の牽引に使われていた。このうち、クヤ31形の牽引に対応するのは1051×4・1751×6・1752×6であったが、現在は3編成全てが廃車となっている。そのため、現在は8000形8065×4・8066×4がクヤ31形を牽引している。
注釈
- ^ 専用の鍵を挿入しないと車掌スイッチを使用できなくする安全装置。
- ^ 従来型と同様の押し棒式だが、安全のために開扉の際は棒を ひねり ながら上に押さないと開扉操作をできなくするもの。
- ^ 新松田 - 小田原間と江ノ島線の急行通過駅(一部停車駅を含む)は20 m車6両編成分のホーム有効長しかないため。
- ^ 日本では2013年にえちぜん鉄道MC7000形が日本の鉄道車両としては初のSiC素子を採用し、その後福井鉄道F1000形・名古屋市営地下鉄2000形機器更新車・東京メトロ05系千代田線用改造車へ波及したが、いずれもトランジスタ部にSi-IGBT素子、ダイオード部にSiC-SBD素子とを組み合わせたハイブリッドSiC適用の制御装置であった[21][22]
- ^ 小田急8000形や西武6000系など、試験的なSiC素子の採用の形式を除く。
- ^ 定格容量210 kVA、三相交流200 V、60 Hz。
- ^ 4両固定編成のみ。
- ^ ブレーキ読替装置は非装備のため電磁直通制動である1000形未更新車や8000形界磁チョッパ制御車との併結は不可能である。
- ^ 1081Fのサハ2両を除く6両が廃車された。
- ^ クハ1155は廃車となった。
- ^ クハ1255は廃車となった。
- ^ 1081Fのサハ2両がリニューアル対象となった。
出典
- ^ a b c d 小田急電鉄『小田急75年史』pp.128・146 - 147。
- ^ a b 『鉄道ピクトリアル 2020年8月臨時増刊号【特集】小田急電鉄』第976、電気車研究会、2020年8月10日、290頁。
- ^ 根岸/津田/長谷川/井浦/山口「3.3kVフルSiCパワーモジュール」『三菱電機技報』2018年3月号、三菱電機、2018年3月、175-178頁。
- ^ 『鉄道ダイヤ情報』通巻145号 p.15
- ^ 電気車研究会『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.258
- ^ a b “地下鉄に乗り入れなくなった関東大手私鉄車両 想定しながら乗り入れてない車両まで6選”. 乗りものニュース. (2021年3月20日) 2021年5月5日閲覧。
- ^ “箱根登山カラーの小田急1000形が営業運転を開始”. 鉄道ファン. (2009年3月17日) 2021年5月5日閲覧。
- ^ a b c d 世界初!制御装置にフルSiC適用のVVVFインバーターを採用通勤車両1000形のリニューアルに着手!〜運転電力を従来比約20%から最大36%削減〜 (PDF) 小田急電鉄公式サイトニュースリリース
- ^ “小田急1000形1066編成が営業運転に復帰”. 鉄道ファン. (2015年1月11日) 2021年5月5日閲覧。
- ^ “小田急1000形1095編成が営業運転を開始”. 鉄道ファン. (2016年8月4日) 2021年5月5日閲覧。
- ^ a b 電気車研究会『鉄道ピクトリアル』通巻978号 p.120 小田急1000形の動向
- ^ 『箱根登山電車の全線運転再開を記念して8月 「赤い1000形車両」を小田急全線で運転します~車内では箱根の美しい風景写真やBGMなどをお楽しみいただけます~』(PDF)(プレスリリース)小田急電鉄、2020年7月14日。 オリジナルの2020年7月14日時点におけるアーカイブ 。2021年5月5日閲覧。
- ^ “【小田急】1000形10輌編成に小変化”. 鉄道ホビダス. 2011年2月14日閲覧。
- ^ 「3月14日(土)のダイヤ改正より、箱根登山線内を運行する小田急通勤車両1000形のカラーリングを変更します」 (PDF) 小田急電鉄公式サイトニュースリリース(インターネットアーカイブ)
- ^ railf.jp 箱根登山線専用カラーになった小田急1000形が回送される - 交友社『鉄道ファン』railf.jp鉄道ニュース 2009年3月14日
- ^ 「2012年3月17日(土) ダイヤ改正を実施します」 (PDF) 小田急電鉄公式サイトニュースリリース
- ^ 「2012年3月17日(土) ダイヤ改正を実施します」 (PDF) 箱根登山鉄道公式サイトニュースリリース(インターネットアーカイブ)
- ^ a b c d e f g h 日本鉄道車両機械技術協会「ROLLINGSTOCK&MACHINERY」2015年3月号研究と開発「小田急電鉄1000形リニューアル工事の概要」4-5頁
- ^ a b c d e 日本鉄道車両機械技術協会「ROLLINGSTOCK&MACHINERY」2015年3月号研究と開発「小田急電鉄1000形リニューアル工事の概要」6-7頁
- ^ a b 直流1500V架線対応「フルSiC適用VVVFインバーター装置」採用のお知らせ (PDF) 三菱電機公式サイトニュースリリース
- ^ 日本鉄道車両機械技術協会「ROLLINGSTOCK&MACHINERY」2014年5月号研究と開発「千代田線転籍車改造工事の概要」18-20頁
- ^ https://www.jase-w.eccj.or.jp/technologies-j/pdf/construction_transport/C-16.pdf
- ^ 世界初、営業運転鉄道車両で省エネを実証 主回路システム全体として約40%省エネ 小田急電鉄車両での「フルSiC適用VVVFインバーター装置」実証結果のお知らせ三菱電機公式サイトニュースリリース 2015年6月22日
- ^ 『鉄道ピクトリアル 2020年8月臨時増刊号【特集】小田急電鉄』第976、電気車研究会、2020年8月10日、242頁。
- ^ 小田急電鉄株式会社1000形更新車用補助電源装置 (PDF) 東洋電機技報第131号(インターネットアーカイブ)
- ^ 小田急が通勤車両リニューアルへ 座席幅を最大13ミリ拡大 (PDF) THE PAGE(インターネットアーカイブ)
- ^ a b 『2015年度の鉄道事業設備投資計画』(PDF)(プレスリリース)小田急電鉄 。2015年7月29日閲覧。
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- ^ a b 『2018年度の鉄道事業設備投資計画』(PDF)(プレスリリース)小田急電鉄 。2018年5月26日閲覧。
- ^ a b 『2019年度の鉄道事業設備投資計画』(PDF)(プレスリリース)小田急電鉄 。2019年6月1日閲覧。
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- ^ a b 『2021年度の鉄道事業設備投資計画』(PDF)(プレスリリース)小田急電鉄、2021年4月28日 。2022年4月29日閲覧。
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