小山いと子 小山いと子の概要

小山いと子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/27 23:58 UTC 版)

小山 いと子
誕生 池本 イト
(1901-07-13) 1901年7月13日
日本 高知県長岡郡大篠村(現・南国市)篠原
死没 (1989-07-25) 1989年7月25日(88歳没)
職業 小説家
言語 日本語
最終学歴 九州高等女学校
活動期間 1933年 - 1989年
ジャンル 中間小説大衆小説
代表作 『執行猶予』(1950年)
主な受賞歴 直木三十五賞(1950年)
デビュー作 『海門橋』(1933年)
配偶者 離婚2回
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週刊文春』 1959年12月14日号文春歌舞伎『京鹿子娘道成寺』の一場面。右から、加藤芳郎平岩弓枝小山いと子芝木好子五味康祐平林たい子森田たま

人物

九州高等女学校(後の福岡大学附属若葉高等学校)を卒業[2]。在学中に歌人の橋田東聲の門下生となる。1920年(大正9年)、19歳で父親により結婚を強要されるが、相手を好きになれず、男性に対する反逆心を持ち始める[1]。橋田の主宰する短歌雑誌『覇王樹』グループの一人で妻子ある島根県警察特高課の男性と恋愛をし、後年その経験を自伝的小説『海は満つることなし』に書いた[1]。1928年からは『火の鳥』同人となる[2]。1941年(昭和16年)、40歳で離婚[1]。戦争中の従軍をはさんで1945年(昭和20年)に同じ男性と再婚するが、1954年(昭和29年)ふたたび離婚した[2]

処女作は1933年の小説「海門橋」で[1]、『婦人公論』の懸賞に当選した。1950年に「執行猶予」(中央公論2月号)で第23回直木賞を受賞した(受賞時49歳1か月)[1][2]

『執行猶予』ほかいくつかの作品は映画化されている[5]

ハンガリー動乱では「日本ハンガリー救援会」の中心人物として活躍、オーストリアへ趣きハンガリー難民に対しての慰問活動を行った。林光中野重治はこれに対して批判的な文章を書いている。

後半生は東京都杉並区和泉町に自宅を構え、40年ほどを過ごした[1]。88歳没[1]

連載中止

1961年1月号から、雑誌『平凡』に小説「美智子さま」を連載していたが、1963年3月11日に宮内庁は発行元の平凡出版に対してこの小説「美智子さま」に対して「興味本位で、世間に誤った印象を与え、好ましくない」として連載中止を申し入れた[4]。「(1)興味本位の実名小説で私生活に対する侵害である」「(2)事実と小説との間があいまいで、国民に誤解されるおそれがある」「(3)事実に相違することも部分的にある」の3点について問題があるとし、宮内庁の伊藤総務課長より平凡出版の清水専務に対してその旨の要望が伝えられた。

具体的な問題点は秩父宮妃高松宮妃伊勢神宮祭主北白川房子が美智子妃に対し好意的でないと書かれた件、皇太子夫妻の初夜の描写が事実と違いプライバシーに反するという件だったとされる[4]

最終的には平凡出版はこの要望を受け入れて連載を中止したが、その後美智子妃がストレスとは無関係ながら流産し長期静養に追い込まれたため、この件と関連付けて全国紙からのバッシングを受けた[4]。小山は実際には皇室尊崇の立場にあって、小説の内容に関しては東宮御所筋に問い合わせて行っており、連載中止に対し悔しい思いをしたと語った[4]。元宮内庁記者板垣恭介は圧力をかけたのは当時の東宮側と対立する宮内庁筋と推察している[4]

受賞・候補歴


  1. ^ a b c d e f g h 時代を駆ける女たち〈小山 いと子〉”. こうち男女共同参画センター・ソーレ. 2008年11月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年1月16日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g 小山いと子-直木賞受賞作家”. 直木賞のすべて. 2020年9月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年9月7日閲覧。
  3. ^ 【作家紹介】小山いと子(こやまいとこ)”. 高知県立文学館. 2023年12月28日閲覧。
  4. ^ a b c d e f 板垣, 恭介『明仁さん、美智子さん、皇族やめませんか 元宮内庁記者から愛をこめて』(初版第1刷)大月書店、2006年1月20日、34-40頁。ISBN 4-272-21086-6 
  5. ^ 小山いと子の映画作品 | 最新の映画ニュース・映画館情報ならMOVIE WALKER PRESS”. Movie Walker. 2020年9月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年9月8日閲覧。


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