名張市 概要

名張市

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/16 22:45 UTC 版)

概要

伊賀盆地南部に位置し、周囲を山野や赤目四十八滝香落渓などの渓谷を含めた美しい自然に囲まれ、四季折々の鳥の鳴き声などの自然の音を感じながら暮らすことができる。
名張市は近鉄大阪線の沿線にあり、大阪府諸都市へ約60分の位置に存在する。そのため大阪府ベッドタウンとして発展し、長らく大阪都市圏に包括されていた。また、1980年代前半から名張藤堂家の家紋であった「桔梗」にちなんだ「桔梗が丘」の開発をはじめとした多くの大規模住宅地が造成され人口が急増した。初期に「桔梗が丘」と命名されたことから、その後に開発される住宅地についても「つつじが丘」「梅が丘」「百合が丘」「さつき台」「すずらん台」など、花の名を冠した住宅地が造成されることになった。

しかし、2000年(平成12年)頃以降、より大阪方面へ至近の奈良県香芝市等で住宅開発が進んだほか、都心回帰傾向もあり、世帯・人口ともに減少傾向が継続し、高齢化も進んでいる。その結果、近年の国勢調査では大阪都市圏に含まれなくなっている。

地理

名張市中心部周辺の空中写真(2019年8月撮影)

河川

ダム

歴史

名張市中心部周辺の空中写真。1974年撮影の3枚を合成作成。国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成。

万葉の昔から宿駅として開け、壬申の乱に際して大海人皇子が東国へ逃れる際にも当地を経由した。

墾田永年私財法の施行以降、東大寺荘園として人口の増加が始まり集落として発達しはじめた。その後自治勢力が武装し「黒田の悪党」と呼ばれ荘園支配から逃れようと地主に対抗したことで中世日本史に名を残す地域である。荘園支配に抵抗してはいたが、実際に東大寺との関係は深く、年中行事であるお水取りでは当地で伐採された木材が使用されるなど名残を残す。しかし、宗教文化が実際にこの地に花開いているわけではなく、華々しく飾られた今風の宗教施設のほかは山村地域に枯れた風景を彩る山寺が散見されるのみとなっている。

悪党は独特の戦闘知識や薬学体系を背景に、後に忍者と呼ばれる存在となる。その中でも伊賀忍者の名前はあまりにも有名であるがゆえに、発祥の地は北に隣接する伊賀市であると誤解を受けているが、実際は伊賀地域全体に広く忍者の生活・活動した跡が見られる。伊賀忍者の技・術・道具などの展示は赤目四十八滝入り口付近にある展示施設にて行われている。

1579年(天正7年)から1581年(天正9年)にかけ、忍者による陰謀が発端となり織田信長親子による伊賀忍者殲滅作戦、天正伊賀の乱が二度にわたって展開され、名張の地は文字通り焦土と化した。現在は「天正乱れ太鼓」などの伝承により当時の様子が物語られている。

現在の街は、伊勢参り宿場町が原型。明治以降も1922年に伊賀上野駅からの局地的な地方鉄道が通じただけだったが、1930年に参宮急行電鉄(現在の近鉄大阪線)が開通して、大阪方面との交通の便が向上して、発展の礎となる。1954年(昭和29年)3月31日に市制施行[1]

その後、大阪方面への通勤者のために大規模な団地が形成され、それに呼応するように郊外型の大型商業施設も相次いで開店した。このため、伊賀市(旧上野市)とともに伊賀地方の商業の中心となっている。

歴史

  • 1954年昭和29年)3月31日 - 名賀郡名張町滝川村箕曲村国津村が合併して発足。
  • 1957年(昭和32年)7月1日 - 名賀郡古山村の一部(大字南)を編入(古山村の残部は上野市(現伊賀市)に編入)。
  • 1961年(昭和36年)3月28日 - 当市葛尾地区の公民館で開かれた懇親会で出されたワインに毒物が混入され、参加者17人が中毒を起こしうち5人が死亡する事件が発生。被疑者が逮捕され死刑判決が確定するが冤罪が疑われる(名張毒ぶどう酒事件)。
  • 1964年(昭和39年) - 高北新治郎が名誉市民となる。
  • 1965年(昭和40年) - 桔梗が丘団地の入居開始。
  • 1973年(昭和48年) 7月 - 国道165号開通
  • 1978年(昭和53年)10月 - 美旗古墳群が国の史跡に指定
  • 1990年平成 2年) 9月 - 人口7万人突破
  • 1992年(平成 4年)10月 - 名張藤堂邸が一般公開
  • 1994年(平成 6年)10月 - 人口8万人突破
  • 2003年(平成15年) 2月 - 伊賀6市町村との合併可否を問う住民投票を実施。結果は反対多数で協議会から脱退。

人口

名張市と全国の年齢別人口分布(2005年) 名張市の年齢・男女別人口分布(2005年)
紫色 ― 名張市
緑色 ― 日本全国
青色 ― 男性
赤色 ― 女性

名張市(に相当する地域)の人口の推移
総務省統計局 国勢調査より



注釈

  1. ^ 伊賀市においては2012年(平成24年)7月よりサービス提供しているが、コミュファ光テレビは当初は全域で未提供だった。その後2014年より旧青山町地域を除き提供開始した

出典

  1. ^ 行方一男(2014年3月23日). “名張市:市制60周年祝う 市民800人参加し式典”. 毎日新聞 (毎日新聞社)
  2. ^ 名張市の事務所位置条例(昭和29年3月31日名張市条例第3号)
  3. ^ 名張市役所の位置を変更する条例(昭和59年6月27日名張市条例第31号)
  4. ^ 三重県の区割り地図 (PDF) 三重県選挙管理委員会事務局
  5. ^ 県議会議員の選挙区と定数 三重県選挙管理委員会事務局
  6. ^ “ユニー「アピタ名張」開店”. 日本食糧新聞(日本食糧新聞社). (1998年10月9日)
  7. ^ 上野満男 (2013年7月27日). “「買い物難民」救え 店直結、無料バス快走 名張”. 朝日新聞(朝日新聞社)
  8. ^ a b c 番場哲晴 『中心市街地の活性化に関する研究 大店法問題と大店法以後について』 土地総合研究 第6巻第1号 (土地総合研究所)(1998年)
  9. ^ “スガキコシステムズ、オープン情報”. 日本食糧新聞(日本食糧新聞社). (1996年4月26日)
  10. ^ “中部地区夏期特集 小売流通戦線異状あり、大手量販店より強く”. 日本食糧新聞(日本食糧新聞社). (1996年8月12日)
  11. ^ “ヤマナカ、売上高10%増目標、V80計画示す”. 日本食糧新聞(日本食糧新聞社). (2002年4月26日)
  12. ^ “「流れ」 近商ストア・薗村克彦社長”. 日本食糧新聞(日本食糧新聞社). (1998年7月22日)
  13. ^ “桔梗が丘近鉄百貨店、業態転換で活性化 4年目黒字化目指す”. 日本食糧新聞(日本食糧新聞社). (1998年10月21日)
  14. ^ 伝田賢史(2012年3月4日). “近鉄プラザ桔梗が丘:リニューアルオープン、人の列−−名張”. 毎日新聞 (毎日新聞社)
  15. ^ “マックスバリュ名張店 10月20日オープン 三重県名張市”. タイハン特報 (大量販売新聞社). (2007年11月1日)
  16. ^ “フレックス新夏見橋店来秋10月オープンへ 三重県名張市”. タイハン特報 (大量販売新聞社). (1999年11月15日)
  17. ^ “中部秋季特集:マックスバリュ中部、既存店を「ビッグ」に業態転換”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (2013年9月10日)
  18. ^ “本紙「日食ふれあいクッキング」三重県でもスタート”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1994年3月18日)
  19. ^ “トステムビバが今秋名張市に大型店開店 三重県名張市”. タイハン特報 (大量販売新聞社). (2000年5月8日)
  20. ^ “ギガス ケーズデンキ名張パワフル館 4月30日オープンへ 三重県名張市” タイハン特報 (大量販売新聞社). (2008年9月22日)
  21. ^ a b 植木創太「一貫教育へ交流進む 名張 つつじが丘小と南中」中日新聞2016年4月2日付朝刊、広域三重19ページ
  22. ^ a b 広報なばり2015年(平成27年)4-3号
  23. ^ a b 行方一男(2014年3月19日). “名張・滝之原小:最後の卒業式”. 毎日新聞 (毎日新聞社)
  24. ^ 鶴見泰寿(2014年5月23日). “旧滝之原小:データセンター誘致 松阪の会社、関西拠点に−−名張市”. 毎日新聞 (毎日新聞社)
  25. ^ 行方一男(2014年3月30日). “閉校式:国津小に感謝の別れ 卒業生ら200人−−名張”. 毎日新聞 (毎日新聞社)
  26. ^ 鶴見泰寿(2014年4月8日). “入学式:希望、胸に つつじが丘など公立小中で”. 毎日新聞 (毎日新聞社)
  27. ^ 名張市 旧国津小利用会社、賃料未払いで契約解除 毎日新聞(毎日新聞社)
  28. ^ 旧国津小跡ワイナリー完成 名張市(2018年7月12日)伊賀タウン情報YOU
  29. ^ 単位料金区域別市外局番等一覧表(05X~09X) (PDF)
  30. ^ 【Googleマップの旅】わしらが歩くカントリーロード 名張編【三重県】 (YouTube配信). 9 August 2021. 2023年8月7日閲覧






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