北井一夫
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/17 01:05 UTC 版)
受賞歴
写真集『抵抗』
写真集『抵抗』には、カラー写真12枚を使いたかったが、経済的理由でモノクロームを使用。1964年11月7日、20歳だった北井はアメリカ原子力潜水艦横須賀寄港に反対する全学連の闘争の様子をカメラで記録する。写真をやめるつもりで1年以上も放置していたモノクロームフィルムの劣化自体をマチエールに見立て撮影をするが、社会に反抗する学生の姿が北井自身の“写真の秩序”への反抗と重ね、写真化するという試みともなった。ピンボケに手ぶれ、劣化したフィルムの粗粒子感が模範的な写真へのアンチテーゼとも映り思わぬ効果を上げた。これを元に写真集を刊行するつもりでさらに、横須賀基地周辺のアメリカ兵相手のバー街をネガカラーで撮影した。学生らのデモと機動隊をモノクロームで、横須賀のバー街にたむろする米兵らをカラーで撮り対比を繰り返すページ構成を想定したものの、制作費の困窮から断念。翌1965年に全ページモノクロームの最初の写真集『抵抗』を自費出版する[2]。
2015年、約半世紀の時を経て。一度もプリントされることのなかった横須賀基地の街を撮ったネガカラーが、写真集『抵抗 カラー補足版』として完成する。出版にあわせて展覧会が2015年6月25日~6月30日に開催された[2]。
主な写真集
- 『抵抗』未來社、1965年 - 1964年、20歳の時に「社会と写真の秩序への反抗を写真に定着させよう」という試みで出版。これが期待の写真の始まりとなる。
- 『三里塚』のら社、1971年
- 『村へ』淡交社、1980年
- 『渡し船』角川書店
- 『浦安1978年 境川の人々』
- 『新世界物語』現代書館
- 『英雄伝説アントニオ猪木』柴田書店、1982年12月
- 『信濃遊行』ぎょうせい、1987年8月
- 『フナバシストーリー』六興出版、1989年
- 『いつか見た風景』蒼穹舎、1990年
- 『おてんき』宝島社、1994年
- 『1970年代 NIPPON』冬青社、2001年6月
- 『1990年代北京』冬青社、2004年3月
- 『80年代フナバシストーリー』冬青社、2006年
- 『Walking with Leica〈1〉』冬青社、2009年1月
- 『Walking with Leica〈2〉』冬青社、2009年10月
- 『Barricade』Harper's Books2012年
- 『道』禅フォトギャラリー2014年
- 『流れ雲旅』(ワイズ出版)2016年5月 - つげ義春が挿絵を、朝日新聞社の大崎紀夫が文章担当した共著『つげ義春流れ雲旅』(朝日ソノラマ)に掲載された写真の一部と、収録されなかった写真を新たに焼き起こした写真で構成。編集にあたりオリジナルプリントで見えにくかった部分にデジタル修正を施し、やや黄色味を帯びた紙を使用した上、写真部分にのみニスを敷くことで温かみを加味し、時間の経過とともに風合いがよりよく変化してゆくことを想定した特殊仕上げになっている[8][9]。
関連人物
- ^ a b c d e f 東京都写真美術館 事業企画課
- ^ a b c d e f g 北井一夫作品集3 カラー補足版 抵抗
- ^ 『アサヒカメラ』1977年6月号 P218
- ^ a b c 産経ニュース『流れ雲旅』北井一夫 つげ義春と失われた風景 2016.6.4 09:44
- ^ Recruit 展覧会・イベント 北井一夫「時代と写真のカタチ」展
- ^ 北井一夫写真展「COLORいつか見た風景」を開催 キヤノンマーケティングジャパン株式会社 2014年1月8日
- ^ “三里塚のイカロス スタッフ”. 2017年8月6日閲覧。
- ^ FRANJA 橋本伊津美 - 今はもう失われた日本の原風景を旅する「写真集 流れ雲旅」2016/5/30
- ^ ワイズ出版公式サイト
固有名詞の分類
- 北井一夫のページへのリンク