仮面ライダーW あらすじ

仮面ライダーW

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/29 21:53 UTC 版)

あらすじ

今から1年前(2008年)、私立探偵の鳴海荘吉とその弟子の左 翔太郎は、謎の組織に拘束されていた少年を助け出す。脱出の途中に荘吉が追手の凶弾に倒れ、残る2人も絶体絶命の窮地に陥る中、少年は翔太郎に謎の機械を渡し、こう告げた。「悪魔と相乗りする勇気、あるかな?」

そして2009年秋。あらゆる場所で風車が回る風の街風都において、荘吉の後を継いで探偵業を営む翔太郎と1年前に救出された少年フィリップの元に、荘吉の娘鳴海亜樹子が事務所からの立ち退きを要求しにやってきた。翔太郎に付きまとううちに、亜樹子は風都で怪事件を起こす怪人ドーパントの存在を知る。そして、翔太郎とフィリップが変身する風都を守る戦士仮面ライダーWの戦いに深く関わっていくことになる。

登場人物

仮面ライダー

作品詳細

世界設定・用語

風都ふうと
本作品の舞台となる、日本にある架空の都市。
劇中の描写から湾岸都市であることが判明しているほか、亜樹子が大阪から来た描写があることから少なくとも関西地方ではない。また、Vシネマ『ドライブサーガ 仮面ライダーチェイサー』の描写から、東京都とは隣接している模様。
街の至るところに様々な形状の風車が回る、通称「エコの街」。地名・町名も風にちなんだものが多い。「ふうとくん」[注釈 8]という街のマスコットキャラクターが人気者である。また、この街の自動車のナンバープレートも風都ナンバーとなっている。主な施設に以下のようなものがあるが、これらの他にも毎回様々な場所が物語の舞台となる(基本的に「風都○○」とつくことが多い)[13]
翔太郎をはじめ多くの住民に愛されている一方、治安は良好とはいえず裏ではミュージアム(園咲家)による実験都市としての暗黒的な側面も持っており、組織やその方針に対して敵対の意を見せる者が抹殺されることも多く、ガイアメモリによる犯罪も増加傾向にある。
翔太郎たちの拠点である鳴海探偵事務所は古びた玉屋「かもめビリヤード場」の2階にあり、こちらも看板の上にかもめ型の風見鶏と8ボール型の風車が回る。事務所の住所は風都風花町1丁目2番地3号。外観は川越市連雀町に建っていた閉館された劇場「旧鶴川座」が使用された(2019年に解体)[14]
  • なお、企画の立ち上げ段階では街の名前は風都ではなく水都で、鳴海探偵事務所もかなりの水際にあるという設定であった。しかし、立ち上げに関わった撮影班の田﨑竜太からそれらの設定を拒否されたこと、Wの基本フォームがサイクロンジョーカーでマフラーを持っている、目に見えない風は風車が回っていればどこでも風都に見える[3]、といった理由から風都に変更されている[6]
風都タワー
築30年の街のシンボルで、電波塔と風力発電の機能を併せ持ったタワー。風都そのものを表すように巨大な風車となっている。
劇場版『運命のガイアメモリ』の戦いにより損壊[注釈 9]しており、テレビシリーズでも時系列上同作品以降のエピソードとなる第45話から最終話で再建されるまでの間、これを反映する形で復旧中の姿が描かれている。
風麺
ウォッチャマンらがよく利用する屋台ラーメン屋。風車模様が描かれた具が隠れるほど巨大なナルトが売りのラーメンが風都の名物となっている[注釈 10]
風都博物館
琉兵衛が隠れ蓑にしている博物館。
中にはドーパントのメモリのモデルとなった物品や生物のジオラマが展示されている。従業員全てがミュージアム所属というわけではなく、轟響子のように琉兵衛の本性を知らない者もいた。なお、外観や展示品の一部には国立科学博物館上野本館のものが使われている[16]
WIND WAVE
風都で番組を配信しているFMラジオ局。園咲若菜の「ヒーリング・プリンセス」もここで制作されている。
ガイアタワー
風都付近の孤島に建造されたミュージアムによってガイアメモリが製造されていた工場。翔太郎とフィリップがWに変身したことで破壊された。
地球の本棚ほしのほんだな
地球の記憶の全てが本の形となって収められたアカシックレコードのような脳内空間[17]
果てしなく広がる真っ白な空間に無数の本棚が並んでおり、それら一冊一冊が地球の記憶のデータベースとなっている。使用者が検索をかける(検索ワードを唱える)と自動的に該当する本が絞られていき、任意の事象が記された本を絞り込むことができる。ただし万能ではなく、情報が無ければ本を絞れず、個人に関する本でもその感情に関する情報はない上に、中身が全て破かれたように削除されていたり、何かしらの都合で施錠されて閲覧できないものもある。この世界に入っている人間は一種のトランス状態となっている(会話は可能)。臨死状態などで精神のみ活動する者も、この世界に侵入することが可能である。
本来はフィリップの特殊能力であるが、後に若菜が自身にガイアプログレッサーを融合したことにより、フィリップ同様アクセスできるようになった(度々検索の妨害などの裏工作が行われた)。彼女の本棚とのシンクロ率はフィリップ以上であるためか、立場は彼女の方が上な様子[注釈 11]
なお、ミュージアムを含めた園咲家の情報に関しては意図的に情報操作が施されている形跡があり、フリーズされるか強制撤去されるため、検索できないようになっていた[注釈 12][注釈 13]が、終盤のミュージアムの計画の最終段階への移行に伴い、若菜がセキュリティを解除したことで検索が可能となった。
漫画『風都探偵』では、あくまでも本棚で検索できるのは通常の世界の情報だけで、裏風都のような別世界の情報は入手できないことが言及されている。
ミュージアム
園咲家が中心となり、人間を地球の記憶によって理想的に進化させる名目の下、ガイアメモリを開発・流通させている秘密組織。劇中では翔太郎たちからは「組織」と呼ばれていることもある。シリーズ全編を通して悪の組織として描かれる。
「ディガルコーポレーション」と呼ばれる冴子が取り仕切る組織の傘下の巨大なIT企業を隠れ蓑に使ってガイアメモリの製造や販売を行っている。警察はその存在を認識しているものの、組織の全容は掴めておらず、捜査線上に出てきても途中で消えてしまう。逆に裏では警察側の内通者が報酬目当てで活動を幇助していたケースもある。活動開始の時期は不明だが、10年前のドーパントによる犯罪が確認されており[注釈 14]、少なくとも10年以上前から活動していた模様。
無論、非公式・非合法の組織であるため、主な流通は表社会からのアクセスではなく、闇のセールスマンたちによる裏社会での販売活動によるものである。彼らは老若男女を問わず、欲望を持つ人間たちに大量のガイアメモリを売り込み、ドーパント犯罪を促進しており、その売り上げを組織の資金にしているほか、売られたメモリの行方をリサーチして組織の実験データとしている[18]。また、風都の各所に大小様々な関連企業や製造工場を有し、新開発メモリの人体実験も行っている。
ガイアメモリの利益は組織の資金集めの1つであり、開発・流通はあくまで実験の一環でしかなく、組織の最終的な目的は「地球の記憶」の解明と掌握にある。
頭目の琉兵衛の死により事実上崩壊。加頭は冴子を新たなトップにすることでの組織の継続を図るが、彼の敗北・死亡をきっかけに、最大のスポンサーである財団Xが資金援助を打ち切ったため、完全に壊滅した。
  • 「組織を描く」という原点回帰の意味も含めているが、「事件」を描く本作品では「フーダニット(犯人は誰なのか)」の部分も大切にするため、ミュージアムは「怪人の素」を配る元締めのような存在ということとなっているが、あくまでも事件の裏にいるものとなった[19]
ガイアゲート[13][18]
園咲邸地下深くにある神殿のような場所にある緑色に輝く井戸のような遺跡で、組織の中枢部である。作中での通称は“”。
かつて園咲邸は星降谷と呼ばれる遺跡で園咲琉兵衛はこの地で多くの遺物を発掘し、そのまま周辺の土地を買い占めて自分の邸宅を建てた。この泉は「地球の意思」の接続ポイントで、ミュージアムはここで「地球の記憶」を取得、メモリを生産する。そのため、琉兵衛はこの場所自体を「ミュージアム」と呼んでいる。
他にもCJXの初登場時にはその出現に共鳴して活性化したり、幼少時代にフィリップ(園咲来人)が転落したことが物語の核心になっていたりと、その存在が重要な鍵となっている。
ガイアインパクト
ミュージアムの最終目的であり、「地球の記憶」にアクセスできる人間に「地球の記憶」内の膨大なデータを全て流し込む儀式により地球に変革をもたらす、壮大な救済計画。
これを行われた対象は地球と完全に一体化した究極の存在へと昇華し、地球の記憶を自由に引き出せる、生きたガイアメモリ製造機にもなり得る。ただし、「地球の記憶」の膨大なデータを制御するため、「地球の記憶」そのものを制御できる存在=フィリップの存在が不可欠となる。
琉兵衛はフィリップを「地球の記憶」=若菜の制御装置として組み込むことで、クレイドールエクストリームの力を得て「地球の巫女」たる資格を得た若菜に全人類を地球と一体化する計画を行うことを目論んでいたが、翔太郎がフィリップの意識を呼び覚まさせて救出したことで失敗。しかし、若菜への「地球の記憶」のダウンロードは成功していたため、加頭は若菜を再びエクストリームの力に覚醒させた上でデータに変換し、財団Xの人工衛星にインストールしてメモリ適性のある者以外の全人類を消滅させるという、もう1つのガイアインパクトを行うことを目論んだ。
EXEエグゼ
ミュージアム壊滅から1年後の風都にはびこる、数人の学生によって構成されるストリートギャング
「ミュージアムを継ぐ者」と豪語しているが、実際は金目当てに今まで流通したガイアメモリを掻き集めて、転売しているだけの悪質なチンピラの集団である。
構成員の中にはコックローチやアノマロカリスなど、過去にWがブレイクしたメモリと同型の物を持つ者もいるが、メモリの力を使いこなせている者はほとんどおらず、後述の「エナジー」以外のドーパントはいずれも特殊能力を使わずメモリブレイクされてしまった。
組織の中心となる人物は「エナジー」と呼ばれ、翔太郎は当初、一味のリーダー格を務める少年 遠藤士郎がエナジーの正体と見ていたが、実際はサンタちゃんが店長のペットショップの店員がエナジーの正体だった。
最終的には翔太郎や竜の活躍で遠藤をはじめとする構成員全員が逮捕され、正体を表したエナジーも復活したフィリップと翔太郎が変身したWに倒された。
財団Xざいだんエックス
『仮面ライダーW』物語終盤にミュージアムの背後での存在が確認された、闇の巨大組織にして死の商人[20][21]
トレードマークとなるのは「」を基調とした服装[20]。『仮面ライダーW』や『仮面ライダーフォーゼ』に登場したものは白いスーツ[22]だが、『仮面ライダー平成ジェネレーションズ FINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』の最上魁星は白地の着物のようなものをまとっている[20]
詳しくは財団Xを参照。
『風の左平次 パニックリベンジャー』
作中登場する劇中劇。第29話に登場。
亜樹子がはまりシーズン1のDVD-BOXまで購入し、時代劇が苦手で「(始まって)5秒で寝る」と発言していた翔太郎も寝るために見始めるが、ハマって逆に眠れなくなってしまった[23]。そして、ナイトメア・ドーパントが入った翔太郎の夢の中ではこの時代劇の影響を受け、時代劇調となって岡っ引きの翔太郎(左の親分)と下っ引きのフィリップ(ふぃりっぱち)がW 疾風切札に変身することとなる[23]。第39話では劇場版も公開されている。
劇場版 仮面ライダーオーズ WONDERFUL 将軍と21のコアメダル
『仮面ライダーオーズ』の映画では、江戸時代の実在のキャラクターとして登場[24]。この作品では、『暴れん坊将軍』も、劇中劇(冒頭シーン)と実在のキャラクター(江戸時代のシーン)として登場している。

ガイアメモリ関連

ガイアメモリ
あらゆる「地球の記憶」を収めた[25]、全長10センチメートルほどのUSBメモリ型の生体感応端末。
風都に流通している物は化石のような有機的なフォルムで、中心のモニタガイアディスプレイには内包された「地球の記憶」の内部プログラムを連想するイラストが、そのイニシャルを象って描かれ視覚化されている[注釈 15][注釈 16]
使用者(人間である場合がほとんどであるが、実際には猫などそれ以外の生物も可能)がスイッチを入れることでメモリに封じられた「地球の記憶」を表す地球の声・ガイアウィスパーが発声されると共に起動し、人体に挿入することで使用者を変身させ、本体に収められた地球上で起きた現象・事象を再現するプログラムを人体に注入し、作用させることで人間を超人化させる(その間、メモリは体内に収納される)。
生産はミュージアム傘下の秘密工場で行われ、同組織のセールスマンによって販売されている。基本的には高額であることから値打ちの上下も存在し、一般人でも購入可能なメモリもあるが、購入者の素性はデータベース化されており、組織の意に沿わない使い方をした場合は抹殺対象になることもある。また、後述の副作用の危険性を考慮し、表向きには未成年への販売は禁止されている模様。
元はシュラウド(園咲文音)が完成させたもので、メモリの新開発にはフィリップ(園咲来人)の存在が必要不可欠で、『ビギンズナイト』におけるフィリップの逃亡以降は開発が滞っており、そのために冴子や琉兵衛がフィリップの身柄確保を狙っていた。また、シュラウド(園咲文音)などによる人体を守るためのドライバーを介して挿す仮面ライダー専用のメモリ、『運命のガイアメモリ』のT2ガイアメモリはフィリップ奪還後にミュージアムとは異なる経緯で開発されている。
基本的には変身体でなければメモリの固有能力を引き出せないが、プログラムを改竄することで人間体でもメモリの力を顕現するケースがある。また、ドライバーを介さずにメモリを使用した者は体内に残留したエネルギーから変身体でなくても高い身体能力を発揮することがあり、それを繰り返したウェザー・ドーパントの井坂深紅郎の肉体は「地球の記憶」そのものを取り込めるほどに変質したが、それによる反動も凄まじいものとなっている(詳細は後述)。
使用者はミュージアムのL.C.O.G(Living Connector Setting Operation Gun=生体コネクタ設置手術器)[25][注釈 17][注釈 18]により、対応メモリ挿入用の生体コネクタを体表面のどこかに付ける措置を受け、そのコネクタを介してメモリを挿入する必要がある。設置後はメモリが所有者を認識するため、原則として特定の個人しか使用不可能であるが、特殊な力が加わり変質を起こしたメモリは、複数の人間で使用可能な場合もある。また、同種のメモリが複数存在するために別人が同一のドーパントになることもあり、井坂はメモリの改造・複製の技術を持っている。また生体コネクタは、有馬鈴子のように10年間使用していないとコネクタが消えるが、再起動させると再びコネクタが出現する希有なケースもある。
超常的な能力を手に入れる反面、使用者はメモリの有害毒素に徐々に侵食され、ドライバーと呼ばれるフィルターが無い限り、感情・精神が次第に歪んでいってしまう。この影響で使用者がメモリ自体に依存性を示すようになることもある。メモリの毒素は怒り・憎しみなど強い感情に深い結び付きを持つ性質があり、コネクタは恐怖などの感情で成長する場合がある。メモリブレイク後も、使用者の体に毒素が残っており、雪絵のように記憶喪失になるなど、様々な副作用に侵されるケースがある。コネクタもドライバーほどではないもののフィルターの役割を果たしているようで、それが無い場合は毒素によって即死する危険性すら伴う。
使用者の練度・素質次第ではメモリの力をより強く発揮可能となるうえ、その段階に応じてメモリが進化し、変身体の隠された能力を引き出すケースもある(ナスカメモリのレベル2⇒レベル3など)。メモリによって装着者(ユーザー)との相性が存在し、相性が良すぎてメモリの記憶を通常よりも余計に引き出してしまう「過剰適合者」なる者がいる。適応率の原因はさまざまであるが、一部エピソード・『運命のガイアメモリ』、『エターナル』において、使用者の性格・技能がメモリの性質・モチーフに近いほど適応しやすいことが示唆されている。
使い続けることによって生身の状態にも影響を与え、ある程度ではあるが変身しない状態でも能力の一端を発現させている者もいる。
仮面ライダーが使用するメモリはドライバーに装填することを前提に毒素という毒素を可能な限り排除して純化し、開発された。よりUSBメモリに近いフォルムを持つが、純正型は端子が加工されているためか、ドライバー抜きのコネクタには反応しない。純化により、ドライバーと組み合せることで複数本の強力なメモリを長期間使用したとしても身体への悪影響は発生しない。
ミュージアムの瓦解、財団Xの援助打ち切りによって新たにメモリが製造されることは無くなったが、それでもかなりの数のメモリが未だに街に出回っており、テレビシリーズ終了後も仮面ライダーたちの戦いは続くこととなった。それを描く続編漫画『風都探偵』には、バンダイの「DXサウンド カプセルガイアメモリEXシリーズ」[29]に並ぶトードストールなどのメモリが登場している。
本作品に登場する仮面ライダーが使用するメモリについては、仮面ライダーWの登場仮面ライダーを参照。
  • 「怪人のデータが入ったUSBメモリ」というものを裏打ちする設定として、「一つの町が舞台で事件が起こる」というコンセプトだったため、それにスケール感があるバックボーンとして「地球の記憶」ということとなった[3]
  • プロデューサーの塚田のデヴィッド・クローネンバーグの『裸のランチ』のようなテイストの気持ち悪いメモリにしたいという要望から、前から見たらシンメトリーに見えるが、裏から見たら背骨が曲がったように見えるような奇形のメモリとなっている[15][28]。当初は丸い窓だったが、ガイアメモリと同様の形に変更となった[15][28]。霧彦などのセールスマンが売っていたアタッシュケースの中のガイアメモリは、毎回同じメモリばかりであると1本も売れていないということになることから、全て新規で制作され、最終的に100本以上となった[15][28]
ゴールドメモリ
園咲家の面々が持つ金色の上位ガイアメモリ。
一般のメモリよりも強力な能力を持つ。その力があまりにも強すぎるため、ガイアドライバーを介したとしても使用者の身体に強い影響を及ぼし、ゴールドメモリの力に見合わない者が使用すれば死に至ることもある。メモリの能力の高さとそれに適応できるだけの適性、またクレイドールメモリの「地球の巫女」となる真の役割もあり、このゴールドメモリとガイアドライバーは園咲家にしか使いこなせないメモリとなっている。
園咲家の面々が使用する以外のゴールドメモリは、井坂が琉兵衛のもとから盗み出した「ケツァルコアトルスメモリ」と、スポンサー特権として財団Xの加頭順が所持する「ユートピアメモリ」が存在する。
井坂はゴールドメモリに近い性能を持つシルバーメモリを、コネクタのみで使用している。
ギジメモリ
ガイアメモリを基本にして組み上げたメモリガジェット起動用の疑似ガイアメモリで、『Zを継ぐ者』ではガイアメモリタイプの思考型AIと説明されている。
ガイアメモリと似ているが、中心に描かれているのは使用するメモリガジェットのシルエットになっており、外見・電子音声も機械的である。使用時に起動する必要も無いが、エンジンメモリはギジメモリの一種にして仮面ライダーが使用するメモリと同様の特徴を持っている。
ドーパント
本作品における敵。装着者(ユーザー)が自身の肉体にガイアメモリ内の「地球の記憶」を挿入(ドーピング)し、その記憶を宿した怪人となった者の総称。作中では超人体とも呼称されている。
身体能力の向上などと共に固有の特殊能力を持つ場合が多く、「単純な戦闘能力は低くとも、優れた特殊能力を持っている」という怪人が仮面ライダーシリーズ他作品と比して多い[注釈 19]。身体には核のような球体が必ずあり、主に腰(ベルトのバックル位置)に存在することが多い。また、装着者は生体に取り込まれるような形となる[30]
正常な状態ならば、使用者の怒り・憎しみなどの強烈な感情の精神エネルギーによって本来のメモリ以上の力を発揮するが、その多くはメモリの持つパワーに振り回されることで精神を侵食され、最終的には理性を失い暴走してしまうことが多い。また、メモリによる超常的な力の誘惑に負けて心が歪み、どんどん深みにはまり犯罪を重ねてしまうケースもある。
メモリが肉体でなく精神と融合するケースも確認されているが、本来の状態と比べてメモリの能力が大きく劣る。ただし、その精神の状態が極限な物(怨念など)であれば、弱者ながらも精神に準ずる相当のタフさを持つ。
メモリにはさまざまな「地球の記憶」が封じられているため、ドーパントのモチーフ・能力は非常に幅広い。シリーズの定番である「生物」の他にも人工物や無機物のような無生物、感情や現象や概念といった抽象的なもの、さらには特定の文明や人物までさまざまなモチーフがあり、「生物」においても恐竜など平成ライダーシリーズでは珍しい古生物の怪人が多く登場し、ゾーンのような非人間型などデザインも千差万別である。なお、古生物系統のドーパントはメモリの暴走などの起因により、凶暴な巨大形態に変異することもある(フォルムは人型ではなく、モチーフとなった生物そのもの)。
基本的に1つのメモリには1つの記憶しか存在しないが、その記憶に該当する多岐にわたる能力を持ち、汎用性・応用力が高い。なお、1人で2つ以上のメモリを使用する行為は身体的にも精神的にも危険として忌避されており、ダブルドライバーの開発経緯の1つはこのデメリットを克服するためとされている。井坂はこれを無視し、自身に複数のメモリを使用していた。『超バトルDVD』では1つのメモリに2つの記憶が存在するという例もある。
事件の真犯人(ドーパント)を探ることを目的とするエピソードが多いため、ゲストのドーパントはネタバレを防ぐ意味からも、正体が判明するまではくぐもった声に(場合によってはさらに中性的な声に)音声処理されている場合がある[注釈 20]
  • Wのガイアメモリがサイクロンやジョーカーのため、英単語であればなんでもいいというルールになった[3]。購入者と組織側の違いを出すため、メモリを直挿しした場合は副作用や習慣性が出るという設定となった[19]
  • 全体のデザインのテーマとして、タイツのみを統一にして、あとは決めていないという[31][32]。モチーフのエッセンスが吹き出ることで変形するようになっている[33][32]
ハイドープ
漫画版『風都探偵』から使用。ガイアメモリを使用しドーパントになり続けた者が達するドーパントのもう一段階上の存在。その覚醒者が変身したドーパントは、メモリの限界値を超えた力を出すことが可能。
変身者やメモリにより様々な能力に覚醒する[注釈 21]。万灯雪侍はまずこの域に達したかどうかを『街』の住人の基準としている。
メモリブレイク
仮面ライダーの必殺技を受けて倒されたドーパントのガイアメモリが破壊・排出され、人間に戻る現象。
仮面ライダー以外にも、クレイドールエクストリームがこれを可能とする。メモリブレイクされた際には、対象者のコネクタも消失する。
メモリブレイクの対象者には衰弱や失神などの後遺症が表れることがあるが、死亡することは無い[注釈 22]。ただし、強力なメモリの過剰使用・改造したメモリの使用・複数のメモリの兼用など、正規では無い用法を行った者は生命を脅かされる場合がある。実際、井坂はそれらの命に関わるような用途をすべて繰り返し行っていたため、全身をコネクタの刻印に蝕まれて塵と化すという凄惨な最期を迎えた。インビジブルの場合は、井坂によって使用者が死亡しなければメモリを取り出せないように細工されていた。また、マスカレイドの場合はメモリの仕様が通常とは異なるのか、倒されるとメモリブレイクせずに装着者ごと消滅している[注釈 23]。なお、T2ガイアメモリはメモリブレイクしないように改良されている。
  • 犯罪モノのため、怪人が犯人=人間であることから、殺すということではなく、悪意のみを破壊して犯罪をやっつけるヒーローということとなった[34]
メモリドライバー
ガイアメモリの力を制御するベルト型生体挿入フィルター。
これを通してメモリを使用することで副作用や依存性を無くし、理性を失わずに強大な力を引き出せるが、メモリ直挿しの副作用による暴走にも大きな力があり、井坂によるとメモリの毒性を吸収するドライバーではメモリの力を完全には引き出せないとのことである[注釈 24]
通常、ドライバーを通してメモリを使用したドーパントは、倒されても変身が解除されてメモリは排出されるのみでそれ自体の破壊には至らないが、ドライバー本体を狙われれば確実に破壊される。種類はダブルドライバー(所有するメモリを含めた総称はダブルドライブギア)、アクセルドライバーロストドライバーガイアドライバーの4種類が存在する。いずれのドライバーも変身後に外部から視認可能。ただし、ダブルドライバー、アクセルドライバー、ロストドライバーの3種類は使用中のメモリが露出しているが、ガイアドライバーはメモリの挿入口を守るようにドーパントの特徴である球体(金色)が出現する[注釈 25]。なお、ガイアドライバーはプロトタイプであり、その次世代型がガイアドライバー2G(セカンドジェネレーション)ことダブルドライバーである。
ガイアドライバーrexレクス
漫画版『風都探偵』から登場。『街』の幹部たちが使用するドライバー。左右に挿入口があり、右手側にメインのガイアメモリを挿入することで変身し、左手側に挿入したメモリの能力を短時間だけ上乗せできる。

キャスト

レギュラー・準レギュラー

声の出演

  • ガイアメモリ音声、ナレーション - 立木文彦
  • スミロドン・ドーパント - 高戸靖広 (2,4,7.18,21,36 - 38.45)
  • シュラウド - 幸田直子 (19,20,28,30 - 32,35 - 37,43,44,46,47,49)

ゲスト

ゲストの中には仮面ライダーシリーズの他に塚田プロデューサーが担当したスーパー戦隊シリーズメタルヒーローシリーズなどの過去の特撮番組レギュラー経験者が従来よりも多く起用されており、東映公式サイトにおいて毎回ピックアップされている[要文献特定詳細情報]。また、サブライターの長谷川圭一と関わりのあるウルトラシリーズからのゲストも少なからず起用されている。

スーツアクター

Wのスーツアクターを務めた高岩は、第30話で亜樹子が変身したWも担当しているため、初めて女性キャラの芝居をやったという[出典 2]


注釈

  1. ^ タイトル・ロゴには「仮面ライダー」「ダブル」「W」「KAMEN RIDER DOUBLE」が併記されている。本作品から「仮面ライダー」の英文表記が「MASKED RIDER」から「KAMEN RIDER」に変更された。なお、正確にはダブル(double)の意味をWと表記するのは日本独特の誤表記である。
  2. ^ 各回の次回予告でも使用。最終回の予告ではこれを捩る形で「これで終わりだ」とナレーションされている。
  3. ^ この「相棒」という案が浮かぶまではフィリップという存在は無く、当初は1人で変身する主人公(後の翔太郎に相当するが、当時はこの主人公をフィリップと呼んでいた)と彼の心の支えである荘吉による「2人で1人」という考えであったという[2]
  4. ^ ハードな人生を背負ったフィリップは、クールな存在であるため、主人公がハードボイルドであると物語がうまく進まず、フィリップとの対比にならないため、人間味を出すためにWのデザインから「ハーフボイルド」という造語で表現することとなった[3]
  5. ^ 石森プロ早瀬マサトは、フィリップを『ジュン』のジュン、翔太郎を『多羅尾伴内』の2代目・紙袋順平として描いている[4]
  6. ^ 本作品が放送された2009年は、同作品の放送からちょうど30周年にあたる。
  7. ^ 「主人公の服装やハードボイルドな嗜好」や「肩こり持ちのベテランと探偵に反発する若手の刑事コンビ」など。
  8. ^ デザインモチーフは、石ノ森章太郎の漫画『S・Pハーレー』の頭が彗星になったキャラクター[12]
  9. ^ 仮面ライダーフォーゼ』第2話でこの様子を伝える「風都日報」の記事が登場している。
  10. ^ 巨大なナルトは、石ノ森萬画館がある宮城県石巻市の蒲鉾屋「白謙」製のもの[15]
  11. ^ たとえば、本棚の中でのクレイドール・ドーパントへの変身など。
  12. ^ ただし「園咲若菜」の本には辿り着けたためミュージアムと関係ない「表向きの情報」は入手できる模様。
  13. ^ 本棚の移動が停止、そのまま全ての本棚が砕ける演出がされる。
  14. ^ 『MOVIE大戦CORE』より、1999年11月に最初のドーパント事件が発生したことが判明する。
  15. ^ 劇中に登場した物の大半は大文字であり小文字は僅かだが、関連書籍に収録されている未登場のメモリには小文字の物が多数存在する[26]
  16. ^ バグなどの異常が発生した場合は、ブラックアウトする[27]
  17. ^ 書籍によっては「生体コネクタガン」と記述している[28]
  18. ^ 実際の手術用縫合器を元にデザインされ、元となった手術用縫合器を改造して作られた[15][28]
  19. ^ 戦闘力以上に、より特異性の高い能力・連携によって推理・戦闘の両面で複雑さを高めるケースが多く見られた。こうした性質から、Wの上位フォームであるエクストリームも単純な戦闘能力の強化以上に「敵の能力の解析・無効化」を最大の特徴としている。
  20. ^ そのため、「前半で翔太郎たちがドーパントであると着目していた人物は無実で、正体はその周辺の(特に異性の)別人だった」という演出が少なくない。女性が犯人の場合も多く、逆に声を変えることで裏をかくエピソードが存在し、東映の作品公式サイトでも「風都は悪女が多い」と評されている。
  21. ^ 直接触れずに物を操れる、目から光線を放てるようになる、など。
  22. ^ 『MOVIE大戦CORE』ディレクターズカット版でスパイダーメモリ使用者が死亡するなど異なる描写があるが、これはメモリが初期型だからと明言されている[要出典]
  23. ^ 『Zを継ぐ者』では、組織の中核に近いメモリほど機密保持のために記憶の破壊性が強くプログラムされているらしく、粗末な護身用のメモリには破壊されると自爆する機能が付いているものもあると説明されている。
  24. ^ クレイドールはベルトのフィルター機能を低下させることで、パワーアップしたこともある。
  25. ^ テラー・ドーパントのドライバーのみ、ドーパント本体から伸びる触手のようなものと球体が一体化している。
  26. ^ 第43・44話の老人化した状態の翔太郎も桐山が声を充てている[35]
  27. ^ 第18話オープニングでの表記は「謎の男」。
  28. ^ 第24話でフィリップが若菜の身代わりになったシーンでは、蹴り上げる際に菅田が足が上がらなかったことから、その場面のみ飛鳥が吹き替えを担当している[36]
  29. ^ オープニングのクレジット表記は第3話では「フィリップ・幼少」、第14話では「幼少期の若菜の弟」。
  30. ^ 第14話まではノンクレジット。
  31. ^ 第20話でのクレジット表記は「竜の父」。
  32. ^ 第20話でのクレジット表記は「竜の母」。
  33. ^ 第20話でのクレジット表記は「竜の妹」。
  34. ^ オープニングでは役名未表記。
  35. ^ ノンクレジット。
  36. ^ a b 第29話はノンクレジット。
  37. ^ 井坂深紅郎を演じた檀臣幸は夫であり、夫婦で出演した。ただし、共演シーンはない。
  38. ^ 当初、三条はトイアドバイザーとしての参加だったが、「ハードボイルド探偵」という要素が難しく、何度も何度も暗礁に乗り上げたことから塚田の提案で脚本として参加することとなった[19]
  39. ^ 第9話以降はほぼ三条と二人で交互に脚本を担当している。
  40. ^ a b 劇中でも彼女らはこれらの曲でCDデビューしている(ただしジャケットは異なっている)。
  41. ^ 脚本の三条は、当初は全50話ほどと見込んでいたため、後半に向けての内容の整合とサブタイトルにアルファベットをつけることが難しかったという[3]
  42. ^ 11月1日は第41回全日本大学駅伝中継のため休止。
  43. ^ 2009年12月27日は『小学生クラス対抗30人31脚全国大会 2009年完全版スペシャル』放送のため休止。
  44. ^ a b このエピソードのオープニングでは、劇中の歌番組のスタジオでの上木、TAKUYAによるライブバージョンの映像が用意され、サビを中心に23話では前半、24話では後半がそれに差し換えられた。
  45. ^ 6月13日は『2010 FIFAワールドカップ ハイライト』放送のため休止。
  46. ^ a b ただしDVD・BD、東映チャンネルでの再放送、YouTubeなどのネット配信ではオープニングは通常版に差し替えられ、提供画面は省略されている。
  47. ^ アニメ版ではタイトルロゴに「FUUTO PI」という欧文表記が併記される。
  48. ^ 当初は、フィリップ消滅から復活までの「空白の1年」を描く予定だったが、主人公の翔太郎が精神的に落ちており、テンションが低いままの一定のテンションで描き続けることには読み切りでは可能だが、連載では面白くないため、続編を描くものとなった[72]
  49. ^ 「tに気をつけろ」など。サブタイトルに含まれるアルファベットについては、テレビシリーズと小説版で大文字を用いていたのに対して、同作品では小文字が用いられている。
  50. ^ フィリップの頭髪も、サイクロンメモリを意識した緑色に変更されている。

出典






英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「仮面ライダーW」の関連用語

仮面ライダーWのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



仮面ライダーWのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの仮面ライダーW (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS