中日クラウンズ 概要

中日クラウンズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/05 13:20 UTC 版)

概要

CBCテレビ(2013年までは、2014年3月31日までの認定放送持株会社移行並びに分社化前にあたるため、中部日本放送)・中日新聞社主催で毎年4月末・5月上旬の木曜から日曜にかけての4日間、愛知県愛知郡東郷町にある名古屋ゴルフ倶楽部・和合コースで開催されている[注釈 1]

1960年の第1回[注釈 2]から現在も続いているトーナメントであり、民間ゴルフトーナメントの草分け的存在でもある[注釈 3]

本大会優勝者には、チャンピオンブレザーと王冠トロフィー、副賞としてスポンサートヨタ自動車よりクラウン[注釈 4][注釈 5][注釈 6]が贈呈され、ホールインワンを達成した選手にはやはりトヨタ自動車より「トヨタホールインワン賞」として人気車が贈呈される(アマチュアの場合は車ではなく記念品)[注釈 7][注釈 8][注釈 9][注釈 10]

2024年現在、賞金総額1億1000万円、優勝賞金2200万円[注釈 11]。また2009年に限り「JGTO中部スプリング・ダッシュ賞」が設けられ、当大会と東建ホームメイトカップの成績をポイント化し、2戦合計の最多得点者に1000万円の賞金が贈られた。なお、1984年から1998年大会までの優勝者には、その年の8月にアメリカ・オハイオ州アクロンの ファイアストーン・カントリークラブで行われる、NECワールド・シリーズ・オブ・ゴルフへの出場権が与えられていた。

かつては海外から一流選手を招聘し、ジャック・ニクラスゲーリー・プレーヤーアーノルド・パーマーデビッド・トムズリー・ジャンセンジャスティン・レナードジョン・デーリーコリー・ペイビンフレッド・カプルスなどが出場した。海外のメジャー大会、マスターズ・トーナメントからあまり日を置かずに開催されたこと、また、歴代優勝者を重んじたこと、加えて難攻不落と言われる和合コースでの開催、さらに一時期ではあるが、円建てのトーナメントとしては国内最高の賞金総額・優勝賞金を誇ったことから、「日本のマスターズ」あるいは「東洋のマスターズ」と呼ばれたこともあった。歴代の優勝者には、いずれも2度制覇したピーター・トムソン19691972年)、グラハム・マーシュ19771981年)、スコット・シンプソン19841988年)に加え、グレグ・ノーマンセベ・バレステロスデービス・ラブ3世ダレン・クラークジャスティン・ローズなどが名を連ねている。とりわけラブ3世は、1998年の第39回で完全優勝を達成し、2位に大会新記録の8ストローク差をつけた。

第9回(1968年)には安田春雄鈴村久による9ホールにわたるプレーオフ、第17回(1976年)にはデビッド・グラハムの大逆転優勝、青木功19781980年)、尾崎将司19951997年)の3連覇などが知られている。

第48回(2007年)はハワイ在住の日系人、タッド・フジカワが参加するなど開催前から話題を集めたが、グリーンの改修などで以前のような難度の高いコース設定に選手が苦しめられ予選通過ラインは8オーバーまで下がり、4日間通算でもアンダーパーで上がったのは優勝争いを繰り広げた宮瀬博文谷口徹の2人だけ。この両者が通算2アンダー、278ストロークで並んだため18番ホールにてプレーオフを行い、宮瀬が初優勝を果たした。

第51回(2010年)は、前日まで首位と6打差の18位だった石川遼が、最終日に男子ツアータイ記録となる12バーディーを記録し、通算13アンダーで逆転優勝した。1ラウンド58は男子国内ツアー新記録で世界記録を達成した。

杉原輝雄は第1回大会から51年連続出場を続け、アーノルド・パーマーマスターズ・トーナメントにおける同一大会連続50年出場を破る世界記録を達成したが[注釈 12]2011年の第52回大会は体調不良を理由に欠場。連続出場記録は51回でストップした[注釈 13]

また第52回大会では尾崎将司が64歳3ヵ月で予選を通過し、1976年の第17回大会での中村寅吉の60歳7ヵ月を上回る大会史上最年長予選通過記録を更新した[注釈 14]

2020年は新型コロナの緊急事態宣言発令により中止[2]。2021年は第61回として扱うが、「新型コロナの感染拡大の状況が不透明な状況である」として無観客試合として行い、また賞金総額も1億円(優勝賞金2000万円)に減額して開催する予定だったが[3]、4月29日の第1日が雨のため中止となったため54ホールに短縮。さらに賞金ランキング加算額も75%に減額された[1]


注釈

  1. ^ 当初は和合に加え愛知カンツリー倶楽部三好カントリー倶楽部と3会場での持ち回り開催とされており第7回(1966年)より和合での開催が定着した。
  2. ^ 当時の大会名称は「中部日本招待全日本アマ・プロゴルフ選手権」。第7回(1966年)より現在の名称となった。第10回(1969年)から第50回(2009年)までは正式名称を「国際招待ゴルフ・中日クラウンズ」としていた。
  3. ^ JGTO公式サイトによれば、日本プロ日本オープンに次いで3番目に古い競技という。
  4. ^ 近年の優勝副賞は別のトヨタ車になることがあるが(開催時に販売されているクラウンがモデル末期だった場合など)、第45回(2004年)以降は再びクラウンが副賞になった。余談だが以前クラウンが副賞だった時、当時テレビ中継の実況を担当していた田口豊太郎は「歴代の優勝者には日本を代表する名車、クラウンが贈られて来ました」と言っていたが第43回(2002年)から第53回(2011年)まで担当していた水分貴雅と第54回(2012年)以降、現在担当している高田寛之はクラウンの部分を外して「日本を代表する名車が贈られて来ました」と言っている。第50回(2009年)はクラウンマジェスタが贈られた。
  5. ^ 第52回(2011年)では東日本大震災によるトヨタ車の生産減少の影響により、優勝者に500万円が贈られた。
  6. ^ 第53回(2012年)ではプリウスPHVが贈られた。
  7. ^ 17番ホールのホールインワン賞はトヨタ製のプレジャーボートが副賞になっていた年があった。第50回(2009年)で井上信が2日目の13番ホールで達成。クラウンハイブリッドが贈呈されたが、井上は予選落ちした。この大会では4つすべてのショートホールでホールインワンが達成されたらクラウンが用意されていた。参考までに、4番ホールでも「ハイブリッド」、7番ホールでは「ロイヤルサルーン」、17番ホールでは「アスリート」だった。
  8. ^ 第52回では先述の事情により、300万円が贈られた。
  9. ^ 第53回では7番ホールで賞金300万円(ユピテル提供)、13番ホールでマークX、17番ホールでクラウンアスリートが贈られた。
  10. ^ 第54回は7番ホールでのホールインワン賞を廃止。そのスポンサーのユピテルはパー3を除くホールを対象としたイーグル賞の提供に移行する。
  11. ^ 2009年には50回記念として500万円の記念賞が、2019年には60回記念として600万円が別途用意された。
  12. ^ ただし途中棄権が2回ある。
  13. ^ 杉原はこの後、2011年12月28日に他界している。
  14. ^ 男子ツアー制度施行後では1997年大会での杉原輝雄の59歳10ヵ月。なお日本記録は2006年4月に行われた「つるやオープン」での杉原の68歳10ヵ月。
  15. ^ CBCと同じ中日新聞系列の東海テレビ放送東海ラジオ放送が主催。
  16. ^ 異なる年で両大会での優勝経験のある選手は内田繁、青木功、尾崎将司、グラハム・マーシュ、宮瀬博文、星野英正、石川遼、松村道央、片山晋呉、金亨成、Y・E・ヤンの11名。このうち、内田の当大会優勝は東海クラシックの発足前、また、石川は2009年の東海クラシック優勝の後、2010年の当大会に優勝。
  17. ^ 2日間で4ラウンド実施
  18. ^ 2日間で4ラウンド実施
  19. ^ アメリカオーヴィル・ムーディーとのプレーオフを制す。
  20. ^ 愛知カンツリークラブ東山コース(PAR74)で2日間・4ラウンド実施
  21. ^ 三好カントリー倶楽部(PAR72)で2日間・4ラウンド実施
  22. ^ 三好カントリー倶楽部(PAR72)で2日間・4ラウンド実施
  23. ^ 愛知カンツリークラブ東山コース(PAR74)で2日間・4ラウンド実施
  24. ^ この年から現在の和合に舞台を移して3日間・4ラウンド実施
  25. ^ 鈴村久との9ホールに及ぶプレーオフを制す。
  26. ^ 橘田規とのプレーオフを制す。
  27. ^ 最終日36ホールの決勝ラウンド。首位のミヤ・アエと7打差からスタート。第3ラウンド終了時点での首位アエとの4打差を最終ラウンドで逆転。
  28. ^ 完全優勝(大会史上初)。
  29. ^ 2年連続の完全優勝。(前人未到)
  30. ^ 新井規矩雄アメリカデビッド・イシイとのプレーオフを制す。
  31. ^ 青木功とのプレーオフを制す。
  32. ^ 完全優勝。(史上2人目)
  33. ^ アメリカスティーヴ・ペイトとのプレーオフを制す。
  34. ^ 完全優勝。(史上3人目)
  35. ^ 完全優勝。(史上4人目)
  36. ^ 完全優勝。(史上5人目)2位との8打差は大会記録。
  37. ^ 完全優勝。(史上6人目)
  38. ^ オーストラリアスティーヴン・コンランとのプレーオフを制す。
  39. ^ 完全優勝。(史上7人目)
  40. ^ 谷口徹とのプレーオフを制す。
  41. ^ 藤田寛之とのプレーオフを制す。
  42. ^ 最終日に当時の1ラウンド最小スコアの「58」を叩き出し、これも大会新記録となる6打差を逆転しての優勝。
  43. ^ 韓国I・J・ジャンとのプレーオフを制す。
  44. ^ 片岡大育とのプレーオフを制す。
  45. ^ 4月29日の第1日は雨のため中止となったため、54ホールに短縮すると同時に賞金ランキング加算も75%に減額された[1]
  46. ^ Locipoでは放送後1週間無料見逃し配信。
  47. ^ その後地上波で放送できなかった分を公式ウェブサイト、Locipo、スポーツナビでリレー中継。
  48. ^ 但し、天候の影響で生中継になったこともあり、1998年の39回大会は、最終日が強い雨の為2時間近く中断したことで急遽生中継となった。この時延長対応が無かったため、優勝したデービス・ラブ3世の優勝決定の瞬間を中継できなかった。
  49. ^ 自社制作の情報生番組『ゴゴスマ』は2日間とも制作局であるCBCテレビに限って休止となり、制作局のCBCテレビから当日のネット局各局へ番組全編(制作局での通常時の終了時刻である15時49分まで)もしくは15時40分までの裏送りネットを実施する(2015年度から2018年度までは制作局が放送せず、当日のネット局各局への裏送りネットも実施しなかったため、当時の当日のネット局各局でも休止対応となっていた)。
  50. ^ 最終日の事前番組は午前中に放送されるため、当日の『サンデージャポン』はCBCテレビのみ放送休止。
  51. ^ 初日以外は基本的に翌日未明。
  52. ^ 1999年までは、『住友VISA太平洋マスターズ』、『カシオワールドオープンゴルフトーナメント』など一部の大会に限り当大会同様17時を跨ぐ編成だった。

出典

  1. ^ a b c d “初日中止の中日クラウンズは54ホール短縮競技に/国内男子”. サンケイスポーツ. 産経デジタル. (2021年4月29日). https://www.sanspo.com/article/20210429-WLPL5YMBANI3RG5RENTJBWXN64/ 2021年4月30日閲覧。 
  2. ^ 「第61回中日クラウンズ」開催中止のお知らせ(3月27日発表) (株)CBCテレビ、(株)中日新聞社、(一社)日本ゴルフツアー機構
  3. ^ “男子ゴルフ・中日クラウンズ 無観客で開催、賞金総額は1億円に減額”. Sponichj Annex. スポーツニッポン新聞社. (2021年3月24日). https://www.sponichi.co.jp/sports/news/2021/03/24/kiji/20210323s00043000563000c.html 2021年3月24日閲覧。 
  4. ^ a b 早瀬利之「ゴルフに魅せられた若者が動かした 初の企業名メジャー大会「中日クラウンズ」誕生裏話」『デイリー新潮』2023年4月26日、1-2頁、2023年5月5日閲覧 
  5. ^ “金庚泰が今季2勝目一番乗り 片岡大育はプレーオフで敗れる”. ゴルフダイジェスト・オンライン. (2016年5月1日). http://news.golfdigest.co.jp/jgto/5401/article/62827/5/?car=top_nw_t02 2016年5月1日閲覧。 
  6. ^ “宮里優作ツアー4勝目 最終ホールでVロングパット”. 日刊スポーツ. (2017年4月30日). https://www.nikkansports.com/sports/golf/news/1815825.html 2017年4月30日閲覧。 
  7. ^ “Y・E・ヤンが優勝 ツアー通算5勝目/国内男子”. サンケイスポーツ. 産経デジタル. (2018年4月29日). http://www.sanspo.com/golf/news/20180429/jgt18042915230004-n1.html 2018年4月29日閲覧。 
  8. ^ “宮本勝昌がツアー12勝目 大激戦制し2年ぶり美酒”. nikkansports.com. 日刊スポーツ新聞社. (2019年5月5日). https://www.nikkansports.com/sports/golf/news/201905050000411.html 2019年5月5日閲覧。 
  9. ^ “2128日ぶり勝った!!岩田「ガッツポーズはわざとやりました」/国内男子”. サンケイスポーツ. 産経デジタル: p. 1. (2021年5月2日). https://www.sanspo.com/article/20210502-6C3LGN26MJNM5DGNTAR3MFFSLA/ 2021年5月3日閲覧。 
  10. ^ “稲森佑貴が逆転で中日クラウンズ初優勝 ベストスコア63でツアー通算3勝目”. 中日スポーツ. 中日新聞社: p. 1. (2022年5月1日). https://www.chunichi.co.jp/article/463012 2022年5月1日閲覧。 
  11. ^ “42歳岩田寛が今季初V 星野陸也2位、3日目ホールインワン石川遼は”. 日刊スポーツ. 日刊スポーツ新聞社: p. 1. (2023年4月30日). https://www.nikkansports.com/sports/golf/news/202304300000671.html 2023年4月30日閲覧。 
  12. ^ "米沢蓮が逆転でツアー初優勝「うれしい。最後のパットも震えるような緊張だった」". ニッカンスポーツ・コム. 日刊スポーツ新聞社. 2024年5月5日. 2024年5月5日閲覧
  13. ^ 株式会社CBCテレビにエリア放送を予備免許(平成27年4月20日付)第56回中日クラウンズで観戦者向けサービスの向上”. 総務省. 2015年4月20日閲覧。
  14. ^ 株式会社CBCテレビにエリア放送を予備免許(平成28年4月11日付)第57回中日クラウンズでギャラリー向けサービスの向上”. 総務省. 2016年4月11日閲覧。
  15. ^ 株式会社CBCテレビ エリア放送局の詳細 東海総合通信局(国立国会図書館のアーカイブ:2015年5月3日収集)


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