中国の水供給と衛生状態 中国の水供給と衛生状態の概要

中国の水供給と衛生状態

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/12 05:17 UTC 版)

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その上、水不足水質汚染も水供給の安定性に影響を及ぼしている。特に中国北部は乾燥しており、水が不足している。中国のある地域の地下水は高濃度のフッ化物ヒ素によって汚染されており、健康に影響を及ぼしている。また、バクテリア化学物質による汚染も広がっている。

中国政府は水の供給と衛生設備の改善のため、大規模な投資を行っており、2006年から2010年の5ヵ年計画では年間60億米ドルまで増額されると予想されている。これらの投資の目的は特に地方の下水処理施設を改良するためのものである。しかし、多くの下水処理施設は適切に操作されておらず、水質汚染のレベルは高いままである。

都市部の水の供給と衛生設備の維持管理は4万以上の行政区が責任を負っており、地方部の水の供給の維持管理は共同体に基づく機関が責任を負っている。投資は中央政府と地方政府の両方から交付されている。多くの行政区は商業的公益事業を生み出し、独自の変化を遂げた中国経済の成長により、利用料金収入は増加した。

利用

中国における改善された水の供給と衛生設備の利用は経済成長とともに過去20年において大きく増加した。WHOユニセフの共同監視プログラムによる2004年の世帯あたりの調査の統計では、改善された水の供給の利用者は77%、衛生設備の利用者は44%となっている。にもかかわらず、このことは、中国において未だ3億人が改善された水の供給を利用することができず、7億5千万人が改善された衛生設備を利用することができないことを意味している。

それだけでなく、他の多くの途上国同様、都市と地方の大きな格差がある。例えば、中国の都市部の93%は改善された水の供給を利用できる一方、地方のそれは67%に過ぎない。衛生設備の利用はより深刻で、都市部では69%、地方はわずか28%である。[1]

サービスの質

飲料水による汚染は下痢やウイルス性の肝炎の原因になりうるため、他の途上国と同様、中国において重要な健康問題となっている。最近のユニセフの調査によると、11の省で調査を行い、そのうちの半分以上の飲料水のサンプルが許容範囲を超える高濃度のバクテリアによって汚染されていることが分かった。[2]

2004年の調査では下水処理施設では住宅の排水の46%を処理することができると見られていた。[3]しかし、多くの下水処理施設は適切に機能していない。[4]

水資源への連鎖

地下水の過剰採取とそれによる地下水の減少は中国で(特に北部で)大きな問題になっている。建設部の予備統計によると、中国国内の160ヵ所以上で地下水が過剰に採取され、毎年100億m3の地下水が枯渇している。その結果、50以上の都市で60000m2の土地が深刻な地盤沈下に直面している。[5]

地表の水も枯渇することが多くなり、黄河は長年にわたって過剰採取されてきたため、もはや海に流れ着くことができなくなってしまった。

飲料水に使われる地下水や地表水の品質は中国では大きな問題である。水は簡単に手に入るかもしれないが、人為的あるいは自然の汚染によって飲料水には適していない場合がある。

自然汚染

中国の多くの帯水層における地下水はヒ素によって汚染されている。ヒ素中毒は汚染地下水を長く飲み続けることによって起こる。この現象は1950年代に初めて起こった。産業用及び農業用水の需要の増加により、井戸がより深く掘られ、現在では帯水層の水はしばしばヒ素を大量に含むようになった。その結果、ヒ素中毒の問題が浮上してきた。3万件以上の被害が報告され、約2500万人が高濃度のヒ素を含む飲料水を飲む危険にさらされている。[6]

WHOによると、中国で2600万人以上が飲料水に含まれるフッ化物による歯のフッ素症にかかっているという。加えて、飲料水が原因と考えられる100万件以上の骨のフッ素症にかかっていると見られている。[7] 地下水は高濃度のフッ化物によって汚染され、多くの人が汚染されていない水を入手することが困難な状況にある。

人為的な汚染

河川の水は工場からの排水によって汚染され、地下水は農薬肥料の浸透によってに汚染されている。

中国国家環境保護総局の2006年の調査によると、中国の河川の60%が飲料水に適さないほど汚染されているという。昨年は特に大きな変化はなかった。

主な河川の汚染は以下の通りである。

しかし、国家環境保護総局によると大都市へ供給する飲料水の水質の大部分はよいとしている。[8]

最近、中国では2005年11月に起こり、松花江が汚染された化学工場の爆発事故や2007年の5月に起きた無錫市にある太湖での藻類の大量発生事件を含め、多くの河川汚染事件が起こっている。2007年の世界銀行による報告によると、もし速やかかつ効果的なコントロールがなければ、汚染は省の境界線に関係なく広範囲に広がり、社会不安につながるだけでなく環境と経済にも影響を与えると警告している。もし、事故が発生すれば、環境や人間の健康に与える影響をコントロールすることが難しく、コストもかかるため、世界銀行は適切な政策や厳しい規制による汚染の予防を勧告している。 [9]


  1. ^ WHO/UNICEF JMP Archived 2008年2月16日, at the Wayback Machine., specifically Water Sanitation
  2. ^ UNICEF
  3. ^ Asian Development Bank
  4. ^ World Bank Country Water Assistance Strategy 2002, p. 20
  5. ^ China Development Gateway: Ensuring the Safety of Urban Water Supply, Facilitating the Frugal and Appropriate Consumption of Urban Water, Ministry of Construction, August 22, 2006 MOC Archived 2007年9月26日, at the Wayback Machine.
  6. ^ UNICEF
  7. ^ WHO
  8. ^ "China pays water price for progress", Water 21, Magazine of the International Water Association, August 2007, p. 6
  9. ^ World Bank (2007):Water Pollution Emergencies in China - Prevention and Response accessed on September 4, 2007
  10. ^ World Bank Country Water Resources Assistance Strategy 2002, p. 13
  11. ^ Asian Development Bank
  12. ^ China Dialogue 2007
  13. ^ China Briefing p. 1.3. The law is posted at: Water Law
  14. ^ Ministry of Water Resources
  15. ^ Institute of Development Studies: Livelihoods
  16. ^ Institute of Development Studies: Livelihoods
  17. ^ Asian Development Bank
  18. ^ World Bank Country Water Resources Assistance Strategy 2002, p. 20
  19. ^ China Development Gateway: Ensuring the Safety of Urban Water Supply, Facilitating the Frugal and Appropriate Consumption of Urban Water, Ministry of Construction, August 22, 2006 Ministry of Construction Archived 2007年9月26日, at the Wayback Machine.
  20. ^ Asian Development Bank
  21. ^ Asian Development Bank For a profile of water and sanitation in Chengdu see Asian Development Bank Chengdu Profile 2001
  22. ^ CDM, p. 1-2
  23. ^ "China pays water price for progress", Water 21, Magazine of the International Water Association, August 2007, p. 6
  24. ^ ADB Chengdu Profile 2001
  25. ^ World Bank Country Water Resources Assistance Strategy 2002, p. 13
  26. ^ Ministry of Construction Presentation at Internal Water Association Conference in Beijing in 2006 Archived 2007年9月27日, at the Wayback Machine.
  27. ^ Henan World Bank, Annex 1
  28. ^ Chengdu ADB 2001 andShanghai ADB 2001
  29. ^ World Bank Country Water Resourcese Assistance Strategy 2002, p. 13
  30. ^ China Development Gateway: Ensuring the Safety of Urban Water Supply, Facilitating the Frugal and Appropriate Consumption of Urban Water, Ministry of Construction, August 22, 2006 Ministry of Construction Archived 2007年9月26日, at the Wayback Machine.
  31. ^ Henan World Bank, Annex 1
  32. ^ This working ratio was 0.5Chengdu ADB 2001
  33. ^ Shanghai ADB 2001
  34. ^ World Bank World Bank Country Water Resourcese Assistance Strategy 2002, p. 20
  35. ^ CDM, p. 1
  36. ^ China Development Gateway: Ensuring the Safety of Urban Water Supply, Facilitating the Frugal and Appropriate Consumption of Urban Water, Ministry of Construction, August 22, 2006 Ministry of Construction Archived 2007年9月26日, at the Wayback Machine.


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