ユリ・ゲラー ユリ・ゲラーの概要

ユリ・ゲラー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/27 15:28 UTC 版)

ユリ・ゲラー
公衆の面前でスプーン曲げを披露するユリ・ゲラー(2005年2月2日(水曜日))
生誕 (1946-12-20) 1946年12月20日(77歳)
イギリス委任統治領パレスチナ テルアビブ
職業 パフォーマー、奇術師、自称超能力[1][2][3][4]
テンプレートを表示

経歴

ユリ・ゲラー(2009年4月16日)

ハンガリーユダヤ人の移民の家庭に生まれる。父はイツハク・ゲラー、母はマンジー・フロイト、精神分析学の祖ジークムント・フロイトの親類である[5]。両親の離婚と母親の再婚に伴って、キプロスニコシアに転居。そこでカトリックの高校に通い英語を習得する。

1964年イスラエル陸軍に入隊するが、1967年六日戦争で軽傷を負って除隊。その後ファッションモデルやキャンプ・カウンセラーなどの職を転々とする(モサッドで様々なスパイに関する技術を学んだ、という説もあり)。

そのキャンプでシンプソン・シュトラング(通称シピ)という少年と知り合ったユリは、奇術の共同研究を始め、友人のパーティーやナイトクラブでの超能力ショーを始めるようになる。だが、そこでの奇術テレパシー術)があまりに稚拙であったため、ナイトクラブの支配人らから訴えられ、裁判で「今後、イスラエル国内で超能力を冠したショーを行ってはならない」との処分が下される。また同じ頃、女優のソフィア・ローレンと一緒に写っている合成写真を発表し、世間から激しく非難された。

1972年アメリカ超心理学者アンドリア・プハリッチ(プハーリック)が、どん底だったユリとシピ(マネージャー)を救うことになる。プハリッチはユリを本物の超能力者であるとしてアメリカに招聘した(シピも同行した)。

1972年12月12日から、カリフォルニア州SRIインターナショナルで彼の超能力テストが行われた。初歩的な予備試験では一見するとテレパシーや透視に見えるような結果を残したが、より厳密なテストが行われるのを待たず、終了を宣言して退去した。

また1973年からアメリカやイギリスのテレビ番組に登場するようになるが、ベテランの奇術師であるジェームス・ランディが同席する席で彼の超能力が発揮されることはなかった。

1974年を皮切りに、公式・非公式に何度か来日。当時の人気番組『11PM』(1974年2月25日放送分)や『木曜スペシャル』(1974年3月7日放送分)(日本テレビ)に登場。スプーン曲げやテレビの画面を通じて念力を送ることで止まっていた時計を動かすといったパフォーマンスで日本での超能力ブームの火付け役となった。

1980年代後半以降、特に日本テレビの番組などでユリやその能力を取り上げることを度々行ってきたが、その際にユリ自身は、「FBI捜査やCIAの秘密ミッションに携わっていた」「アメリカで広大な土地付きの豪邸に住んでいられるのは、自身の超能力で油田を探り当てたから」などと語っていた。

1991年から1995年にかけて、ゲラー批判を続けていた「サイコップ」に対して、エルドン・バードと共に訴訟を起こす。1995年3月に和解が成立し、ゲラーは「軽薄な告発」の賠償としてサイコップに対し12万ドルの賠償金を支払った。

2000年、ゲーム『ポケットモンスター』のポケモン「ユンゲラー」に自分のイメージを盗用されたとして、任天堂を相手取り6000万ポンド(約101億円)の損害賠償を求める裁判をロサンゼルスの連邦地裁に起こした(ポケットモンスター#関連事件・批判も参照)。

2002年、イギリスのジャーナリストマーティン・バシールマイケル・ジャクソンに紹介した。この時バシールらが製作した番組『マイケルジャクソンの真実』が後にマイケル・ジャクソン裁判に発展。ユリはバシール側よりマイケル・ジャクソンを紹介した謝礼として数千万円(20万$と言われている)を受けとっており非難を浴びた。また、マイケル・ジャクソンと疎遠になっている。バシールの番組放映後、マイケルと疎遠だったことは本人も認め、バシールを紹介したことを悔やんでいると語っている。マイケル・ジャクソンとの交流は復活しないままマイケルは永眠した。

2006年日産自動車CMに出演。CMではコンピュータグラフィックスによる合成ではあるがスプーン曲げや時計動かしを行った。

2011年、日本に緊急来日し同年8月5日放送分の『森田一義アワー 笑っていいとも!』に出演した。

2012年4月29日放送のフジテレビ系バラエティ番組『ほこ×たて』にて「絶対に曲がらないスプーンvs絶対曲げる男ユリ・ゲラー」として山崎金属工業のスプーンコブラと対決。結果は最強スプーンコブラの勝利となり、ユリ・ゲラーが曲げられなかった唯一のスプーンとなった。

2017年1月17日CIA(米国中央情報局)がそれ以前は極秘扱いとなっていた大量の資料をオンライン上で公開したが、この中にはユリ・ゲラーのテレパス能力を試した実験結果が含まれていたことが明らかになった、と報道されたが[6][7]、この実験は1974年に『ネイチャー』でもレター論文として発表されているものであり[8]、このCIAの資料は2000年に機密解除されて公表されていたもののインターネット公開である[9][10]。 この実験は1973年に米国カリフォルニア州スタンフォードで8日間にわたり行われ、科学者らがゲラーを窓のない密室に入れ、隣室にはCIA局員を入れた。辞書からランダムに選ばれた単語からCIA局員が思い浮かべ自由に描いた絵を、隣室にいるゲラーに科学者らが何か尋ねるという形式で行われた。その結果、「ヒューズ」「ぶどう」などをほとんど相違なく描き、45ḿ離れた部屋での実験では「凧」状の絵をほぼ似た形で描いた。「鳥」「ラクダ」の絵に対しては「カモメ」「馬」の絵を描いた。8日間の実験結果に対し、当該付録資料の提出者(署名なし)は「ゲラーは超常的認識能力を明確に、説得力ある形で示した」と評価している[9]

2020年前述の訴訟より20年の時を経て、今後はユンゲラーを使用禁止とはしないことを表明した[11]

2021年 新型コロナウイルスのワクチン接種しながら、久々のスプーン曲げを披露する動画を公開した[12]

作品

1970年代にレコード(アルバム)「ユリ・ゲラー」を発売している。2000年と2005年にCDで再発された。11曲入りだが、全曲歌ではなくユリ自身の語り(日本語)がBGMとともに収録されている。


  1. ^ a b Jones, Simon (2002). “Geller, Uri”. In Shermer, Michael. The Skeptic Encyclopedia of Pseudoscience, Volume 1. Santa Barbara, California: ABC-CLIO. pp. 113–15. ISBN 1-57607-654-7. "Geller maintains that he has never used trickery to achieve his effects. However, conjurors have produced similar feats using sleight-of-hand and misdirection techniques [...] some observers claim to have caught Geller in the act of bending cutlery with his hands" 
  2. ^ a b Nickell, Joe (2005). Camera Clues: A Handbook for Photographic Investigation. Lexington, Kentucky: University Press of Kentucky. pp. 198–200. ISBN 0-8131-1894-8. "Skeptics point out that Geller is a former magician, that magicians can duplicate his effects by clever tricks, and that he refuses to perform when magicians are observing-apparently afraid they might discover his trickery. In fact Geller has actually been caught cheating. In one instance, although he pretended to cover his eyes while a secretary made a simple drawing, Geller actually peeked, thus enabling him to appear to read her mind and produce the drawing. Again, instead of bending a key "by concentration" as he pretended, Geller bent the key against a table when he thought no one was looking." 
  3. ^ a b Samuel, Lawrence (2011). Supernatural America: A Cultural History. Santa Barbara, Calif.: Praeger Publishing. pp. 100–102. ISBN 978-0-313-39899-5. "After meeting Geller in Israel in 1971, Puharich was so taken with the twenty-three-year-old and his powers that he would describe the man in Messianic terms. More than just a particularly gifted psychic, Geller was an ambassador sent by extraterrestrials (from a spaceship called Spectra located some fifty-three thousands light years away) to prepare Earthlings for the conquest of their planet." 
  4. ^ a b Harris, Ben. “Confronting Uri Geller”. In Williams, Barry. The Second Coming: All the Best from The Skeptic, 1986–1990: Psychics. p. 8. オリジナルの19 August 2006時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20060819083928/http://www.skeptics.com.au/journal/2ndcoming/psychics.pdf 
  5. ^ Uri Geller サムシング・ユダヤ、2003年12月2日更新
  6. ^ IROIRO(マッシュメディア) - 45年前にユリ・ゲラーの超能力を実験していたCIAが、その結果を公開
  7. ^ exciteニュース CIAの元機密文書、ネットで公開。ユリ・ゲラーの超能力実験結果なども含まれる 2017年1月20日 16時36分
  8. ^ "Information transmission under conditions of sensory shielding" RUSSELL TARG & HAROLD PUTHOFF. Nature 251, 602-607 (18 October 1974)
  9. ^ a b c APPENDIX I, EXPERIMENTS - URI GELLER AT SRI
  10. ^ 機密解除文書1300万ページ、ネットで公開 米CIA(CNN) “これまでは、こうした文書を閲覧するには、メリーランド州にある国立公文書館を訪れ、4台しかない端末でアクセスするしか方法がなかった。” Web Archive リンク切れ用のweb魚拓
  11. ^ ツイート
  12. ^ 日本テレビ. “ユリ・ゲラー氏 ワクチン接種しながら…”. 日テレNEWS. 2022年8月13日閲覧。
  13. ^ ユリ・ゲラー、プーチン大統領に警告「私のマインドパワーで核攻撃を阻止する」SNSに投稿”. 日刊スポーツ (2022年8月7日). 2022年8月7日閲覧。
  14. ^ 安斎育郎著『科学と非科学の間』
  15. ^ 広末晃敏 「私が起こしたオウム事件――オウム・アーレフ18年間の総括」
  16. ^ ジェームズ・ランディ英語版 "The Truth Abou Uri Geller" Buffalo, NY: Prometheus Books. p. 30. ISBN 0-87975-199-1.
  17. ^ CIA FOIA STARGATE
  18. ^ 緊急検証!THE MOVIE ネッシーvsノストラダムスvsユリ・ゲラー : 作品情報”. 映画.com. 2019年1月11日閲覧。


「ユリ・ゲラー」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ユリ・ゲラー」の関連用語

ユリ・ゲラーのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ユリ・ゲラーのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのユリ・ゲラー (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS