プロダクションカー世界ラリー選手権 プロダクションカー世界ラリー選手権の概要

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プロダクションカー世界ラリー選手権

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 10:50 UTC 版)

概要

元々はグループNカップというカテゴリであったが、さほど評価が高くなくドライバーのモチベーションも上がらなくなっていた為、ジュニアラリー選手権(JRC)と共にFIAが世界選手権として決定しPWRCに移行という形で2002年に始まった。当初はPWRCが世界選手権として成立するかという不安もあったが、初年度のエントリー台数は20台を超える盛況を見せた。

日本人ドライバーは新井敏弘奴田原文雄らがPWRCに参戦した。新井は2005年度と2007年度に年間総合優勝をしており、日本人ドライバーとして初のFIA世界選手権のチャンピオンとなった。また奴田原も2006年度の開幕戦モンテカルロで優勝するなど好成績を残しており、両者はライバル関係にあった。これ以外にスポット参戦ではあるが、2007年ラリージャパングループNクラスで優勝した田口勝彦などもいる。

ゼッケン番号は大体が31 - 60番となっており、その内31 - 58番までが通年エントリーを行ったドライバー及びチームで、59・60番は、開催地域から選出される地元枠である。なお、このゼッケン番号はジュニア世界ラリー選手権でも適用された。

開催地域は、全12 - 16戦程度で行われる世界ラリー選手権のうち、約半数の6 - 8箇所で、その内、1、2のイベントをスキップする(参戦しない)。この数はその年のPWRCの開催数により変動する。ヨーロッパ外イベントが大半を占めていたが、これはジュニア世界ラリー選手権(JWRC)が主にヨーロッパ内で行われるイベントであり、出来るだけそれと重ならないようにするためであった。なお2008年ラリー・フィンランドではJWRCと同時開催となったため、ゼッケン番号が重複しない様に+100番となっていた。

車両について

ラリーに用いる車両は、年間2,500台以上生産された市販車で、FIAの"グループN"公認を取得したものをベースとしており、PWRCでは排気量2,000 cc以上の「N4クラス」で総合優勝が争われる。 このグループNという規定は、市販車をベースとしている点ではWRCのWRカーと同じだが、改造範囲が厳しく制限されている。ロールケージ等の安全対策やサスペンションの交換等、改造を最小限に抑えており、FIAの車両規定で最も市販車に近い。そのためベースとなる市販車のポテンシャルがそのまま影響し、車両そのものの高性能さが要求される。また参戦車両の種類を増やすために、特例として年間1,000台以上生産された市販車でも、FIAの公認を取得してベース車とすることができ、LSDの追加やブレーキの強化も可能となるなど、改造範囲が拡大された。これは後述するスーパー2000との性能差を埋める事と、安全性強化のためである。

グループNは高性能四輪駆動車を数多く売れる市場である日本の三菱スバルが圧倒的に有利で、ほとんどのドライバーが三菱・ランサーエボリューションスバル・インプレッサを用いた。初期は三菱が28連勝を記録するなど圧倒的な戦績を収めていたが、スバルが2003年から本格参戦を開始するとスバルの方が優位となった。また初期には、三菱と資本提携していたマレーシアのプロトンが、ランサーエボリューションⅥをベースとしたパートで参戦し、2002年にチャンピオンを獲得している。

2007年からは、FIAが新しく設定した新カテゴリであるスーパー2000の出場(後にポイント加算も)が認められた。

2010年からは、スーパー2000車両を対象にしたS2000世界ラリー選手権(SWRC)が創設されたため、PWRCは再びグループN車両のみによって戦われることになった。さらに2011年にはR2、R3規定の2WD車も参戦可能となった。

2013年にWRC直下のカテゴリが「WRC2」(R4、R5、スーパー2000、N4)と「WRC3」(R1〜R3)の2カテゴリに再編されたため、PWRCとしての歴史は幕を下ろした。「WRC2」にはN4規定車種のみで対象された「プロダクションカーカップ」が設立されたが、現在は消滅しており年間エントリーも不可になっている。

開催地域

参戦者は8戦中6戦を選んで出場し、残り2戦は休場する。また、第2 - 5戦はJWRCと併催のため、エントリーNo.に+100が付くことがある。

2008年

ラリー名称 開催国 優勝者 車種
1 ウッディホルム・スウェディッシュラリー  スウェーデン ユホ・ハンニネン 三菱・ランサーエボリューションIX
2 ラリーアルゼンティーナ アルゼンチン アンドレアス・アイグナー 三菱・ランサーエボリューションIX
3 BP・アルティメイト・アクロポリスラリー ギリシャ アンドレアス・アイグナー 三菱・ランサーエボリューションIX
4 ラリー オブ ターキー トルコ アンドレアス・アイグナー 三菱・ランサーエボリューションIX
5 ネステオイル・ラリーフィンランド  フィンランド ユホ・ハンニネン 三菱・ランサーエボリューションIX
6 レプコ・ラリーニュージーランド ニュージーランド マーティン・プロコップ 三菱・ランサーエボリューションIX
7 パイオニアカロッツェリア・ラリージャパン 日本 ユホ・ハンニネン 三菱・ランサーエボリューションIX
8 ウェールズ・ラリーGB イギリス パトリック・フローディン スバル・インプレッサWRX STI

2009年

ラリー名称 開催国 優勝者 車種
1 ラリー・ノルウェー  ノルウェー パトリック・サンデル シュコダ・ファビアSuper2000
2 ザ・キプロス・ラリー キプロス パトリック・サンデル シュコダ・ファビアSuper2000
3 ボーダフォン・ラリー・ド・ポルトガル ポルトガル アーミンド・アラウージョ 三菱・ランサーエボリューションⅨ
4 ラリー・アルゼンチーナ アルゼンチン ナサール・アルアティヤ スバル・インプレッサWRX STI
5 ラリー・ド・イタリア・サルディニア イタリア ナサール・アルアティヤ スバル・インプレッサWRX STI
6 アクロポリス・ラリー ギリシャ ランブロス・アサナソウラス シュコダ・ファビアSuper2000
7 レプコ・ラリー・オーストラリア オーストラリア マーティン・プロコップ 三菱・ランサーエボリューションIX
8 ウェールズ・ラリーGB イギリス マーティン・プロコップ 三菱・ランサーエボリューションIX

2010年

ラリー名称 開催国 優勝者 車種
1 スウェーディッシュ・ラリー  スウェーデン パトリック・フローディン スバル・インプレッサWRX STI
2 ラリー・メキシコ メキシコ アーミンド・アラウージョ 三菱・ランサーエボリューションIX
3 ヨルダン・ラリー ヨルダン パトリック・フローディン スバル・インプレッサWRX STI
4 ラリー・ニュージーランド ニュージーランド ヘイデン・パッドン 三菱・ランサーエボリューションIX
5 ラリー・フィンランド  フィンランド オット・タナク 三菱・ランサーエボリューションX
6 ラリー・ドイツ ドイツ アーミンド・アラウージョ 三菱・ランサーエボリューションX
7 ラリー・ジャパン 日本 パトリック・フローディン スバル・インプレッサWRX STI
8 ラリー・アルザス フランス アーミンド・アラウージョ 三菱・ランサーエボリューションX
9 ウェールズ・ラリーGB イギリス オット・タナク 三菱・ランサーエボリューションX

2011年

ラリー名称 開催国 優勝者 車種
1 ラリー・スウェーデン  スウェーデン マルティン・セメラド 三菱・ランサーエボリューションIX
2 ボーダフォンラリー・ド・ポルトガル ポルトガル ヘイデン・パッドン スバル・インプレッサWRX STI
3 ラリー・アルゼンチーナ アルゼンチン ヘイデン・パッドン スバル・インプレッサWRX STI
4 ラリー・フィンランド  フィンランド ヘイデン・パッドン スバル・インプレッサWRX STI
5 ラリー・オーストラリア オーストラリア ヘイデン・パッドン スバル・インプレッサWRX STI
6 RACCラリー・ド・エスパーニャ スペイン パトリック・フローディン スバル・インプレッサWRX STI
7 ウェールズラリーGB イギリス パトリック・フローディン スバル・インプレッサWRX STI



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