シラス (魚)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/10 06:13 UTC 版)
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キュウリウオ目シラウオ科のシラウオ(白魚)、スズキ目ハゼ科のシロウオ(素魚)とよく混同され、シロウオのことをシラスと呼ぶ地方もあるが、ここでは稚魚について述べる。
概要
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シラスは、様々な魚の仔稚魚の総称であるが、白子干しなどの形で積極的に食用とされるのは、イワシ(主にカタクチイワシ)の仔稚魚がほとんどである。ただ、捕獲方法の都合(シラス網と呼ばれる網を打って捕獲する)にもより、様々な魚の仔稚魚が混入することも珍しくない。このため時には魚類だけではなくタコやイカの幼生、エビやカニのゾエア幼生(動物性プランクトンの一種)なども混入する[2]。
加工品
あまり食用に適さない混在物を除き、食用に適するものを塩茹でにして干したものがいわゆる白子干しとして販売されている。よく見ると明らかに形の違う生物が混じっていることもある。大抵の場合は食べても問題ない。毒魚であるフグの仔稚魚が漁獲時に混じることもあり、一匹程度なら致死量には遠く及ばないと考えられるが、混入させたままの販売は禁じられており、消費者が見つけて食べる場合もフグは取り除くことが望ましい[3][4]。
幼魚はまだ骨格があまり発達しておらず、白子干しなどは様々な食品にまぶして丸のまま食べられる。ごはんの上にふり掛けたり(しらす丼)、大根おろしと和えて醤油で味付けしたりして食べられる。蛋白質やカルシウムが豊富な食品である。また一部地域ではシロウオのように、生きたままのシラスを酢醤油など調味料にくぐらせ、そのまま食べる「踊り食い」と呼ばれる食べ方も好まれる。
塩茹でして加工されるものがほとんどだが、水分含有量の違いで区別され、茹で上げ後、水きりされて製品となるものが釜揚げと呼ばれ85%前後の水分含有量となる[5]。
塩茹でを半乾燥品としたものが(広義上の)「しらす干し」だが[6]、狭義ではやわらかめ(水分率50-85%[5])に乾燥されたのものを「しらす干し」(関東干し)といい[注 2]、固め(水分率30-50%弱程度[5][9])になるまで乾燥させたちりめん(関西干し)と区別される[注 3]。
関東の軟らかめの「しらす干し」は、関西では「やわ干し、やわ乾」[9]や「太白[要出典]」とも呼ばれ、ちりめんじゃこは、関西では「
それ以外の加工方法として、塩ゆでせず水洗いした生のシラスを板海苔のように加工した
かつては関西以西ではちりめんが主流、静岡県周辺は釜揚げが主流、関東以北はシラス干が主流となっていたが、現在は流通事情も変わり昔ほどの地域性はなくなった。
漁獲
漁場は主に太平洋沿岸で、瀬戸内海、伊勢湾、駿河湾、相模湾などでも多く漁獲される。現在の北限は東日本大震災の復興支援の一環として解禁された宮城県南部とされ、閖上では「北限のシラス」とPRしている[13]。
2016年の日本におけるシラス漁獲量は、62900トンである。県別に見ると、兵庫県が12300トン (19.6 %) で第1位、以下に静岡県(8900トン、14.1 %)、愛知県(8400トン、13.4 %)と続く[14]。
注釈
出典
- ^ トリーター:伊藤 (2017年3月15日). “2017/03/15 シラスサイエンスオープン”. えのすいトリーター日誌. 新江ノ島水族館. 2018年7月30日閲覧。
- ^ しらす干しに混入する生物 静岡県水産・海洋技術研究所
- ^ フグ毒 食中毒を考える しらす干しやチリメンのフグの稚魚は?? 大日本水産会(2023年11月7日閲覧)
- ^ 「ちりめんにフグの稚魚?混入 愛知・尾張旭のスーパーが自主回収」朝日新聞デジタル(2022年6月11日)2023年11月7日閲覧
- ^ a b c 黒木 (2014), p. 606.
- ^ 坂田 (1989), p. 24.
- ^ a b 海野 (2014), pp. 22.
- ^ a b 海野 (2014), pp. 25.
- ^ a b c 岩佐隆宏「4)ちりめんじゃこ成分の製造時期による変化」『平成6年度兵庫県但馬水産事務所試験研究室事業報告』1994年、96-98頁 。
- ^ 清水, 桂一『たべもの語源辞典』東京堂出版、1980年、118頁 。
- ^ 海野 (2014), pp. 21, 23.
- ^ 海野 (2014), pp. 24.
- ^ 【見上げてごらん】北限のシラス/永山悦子『毎日新聞』夕刊2018年9月10日(特集ワイド面)2018年9月12日閲覧
- ^ 農林水産統計 平成28年漁業・養殖業生産統計 農林水産省(2017年6月12日)2017年12月11日閲覧
- ^ La cucina del Bel Paese ISBN 9788836529575 431p
- ^ McDowall, R.M. (1984). The New Zealand Whitebait Book. Wellington, New Zealand: Reed. ISBN 0 589 01533 8
- ^ 『るるぶニュージーランド 2017年版』p.12
- 1 シラス (魚)とは
- 2 シラス (魚)の概要
- 3 シラスウナギ
- 4 参考文献
- 5 関連項目
- 6 外部リンク
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