シラス (魚)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/10 06:13 UTC 版)
シラスウナギ
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日本において沿岸域に回遊するウナギの稚魚は「シラスウナギ」あるいは「ノウメンコ」「ソウメンコ」という。それ以前の、海中を回遊する幼生はレプトケファルス(葉形仔魚)と呼ばれる。シラスウナギはいわゆる「養殖ウナギ」の元として捕獲された後大切に飼育され、十分に育った後にウナギとして食用出荷されるが、シラスウナギそのものはあまり食用とはされない。近年のシラスウナギ漁獲量自体が少ないことに加え、ウナギ養殖業者間での引き合いもあり、1キログラム当たり数万円以上(2000年頃)という高値で売れるためである。シラスウナギが豊富に漁獲されていた当時は「のれそれ」と呼ばれ食用に供されることもあった。
ただ日本国外ではその限りではなく、例えばスペインでは「アングーラス(angulas)」と呼ばれる名物料理になっているなど、全く食用に供されない訳ではない。
なおレプトケファルスは海中のデトリタスを食べることが20世紀末にようやくわかり、その飼育方法は1990年代末頃に発見されたばかりで、ここからの商業的養殖は依然として発展途上技術である。サメの卵黄を原料とする特殊な飼料を与えるという極めてコストが掛かる方法でもあるために、21世紀初頭の現状ではシラスウナギ養殖が唯一といってよい商業養殖手段である。
各国にみられる稚魚の呼称と料理
- イタリア
ビアンケッティ(リグリア語:gianchetti、シチリア語:neonata)と呼ばれる。ナポリ料理では、チチニエリ(cicenielli)、ブリンディジではchumaと呼ばれるなど、各地で別名で呼ばれている。唐辛子に漬けて発酵させたロザマリーナ[15]、サルディッラ(SARDELLA)や、ピザや料理のトッピング等に使われる。
- ニュージーランド
主にキュウリウオ目ガラクシアス科の稚魚などをホワイトベイトと呼ぶ[16]。高級食材の一つで、オムレツやフリッターにして食す[17]。
脚注
注釈
出典
- ^ トリーター:伊藤 (2017年3月15日). “2017/03/15 シラスサイエンスオープン”. えのすいトリーター日誌. 新江ノ島水族館. 2018年7月30日閲覧。
- ^ しらす干しに混入する生物 静岡県水産・海洋技術研究所
- ^ フグ毒 食中毒を考える しらす干しやチリメンのフグの稚魚は?? 大日本水産会(2023年11月7日閲覧)
- ^ 「ちりめんにフグの稚魚?混入 愛知・尾張旭のスーパーが自主回収」朝日新聞デジタル(2022年6月11日)2023年11月7日閲覧
- ^ a b c 黒木 (2014), p. 606.
- ^ 坂田 (1989), p. 24.
- ^ a b 海野 (2014), pp. 22.
- ^ a b 海野 (2014), pp. 25.
- ^ a b c 岩佐隆宏「4)ちりめんじゃこ成分の製造時期による変化」『平成6年度兵庫県但馬水産事務所試験研究室事業報告』1994年、96-98頁 。
- ^ 清水, 桂一『たべもの語源辞典』東京堂出版、1980年、118頁 。
- ^ 海野 (2014), pp. 21, 23.
- ^ 海野 (2014), pp. 24.
- ^ 【見上げてごらん】北限のシラス/永山悦子『毎日新聞』夕刊2018年9月10日(特集ワイド面)2018年9月12日閲覧
- ^ 農林水産統計 平成28年漁業・養殖業生産統計 農林水産省(2017年6月12日)2017年12月11日閲覧
- ^ La cucina del Bel Paese ISBN 9788836529575 431p
- ^ McDowall, R.M. (1984). The New Zealand Whitebait Book. Wellington, New Zealand: Reed. ISBN 0 589 01533 8
- ^ 『るるぶニュージーランド 2017年版』p.12
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