キー配列 論理配列

キー配列

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/11 03:16 UTC 版)

論理配列

アルファベット

アルファベットの配列は、タイプライターの伝統もあり、国・言語によってきわめて多種多様である。また、入力の効率化のため特に工夫されたものも存在する。ここでは主なもののみを示す。

記号類

日本で簡単に手に入るキーボードでは、欧文記号類の配列は大きく分けて次の2種類に分類できる。アルファベット部分はどちらもQWERTY配列である。

  • タイプライターペアリング(タイプライタ配列、US配列、米国配列、英語配列)
  • ロジカルペアリング(テレタイプ配列、JIS配列、JP配列、日本語配列、英国168配列)
    • 2019年現在、日本でもっとも普及している配列。シフトした「2」が「"」になるのはこのタイプ。

ロジカルペアリング(en:Bit-paired keyboard)は、シフトキーによってASCIIコードの下位4ビットが変化しないという特徴があり、タイプライタペアリングを文字コード順に並べ直したような設計になっている。

なお、これは大きく分けた分類であり、実際にはそれぞれいくつかのバリエーションがある。

2019年現在では、タイプライターペアリングは英文用ということでカナが配列されておらず、ロジカルペアリングにはカナもJIS配列されていることが多い(JISキーボード)。しかし、1990年代の初めぐらいまでに発売されていたMacintoshは、記号類がタイプライターペアリングでカナがJIS配列という折衷型が標準だった。古いUNIXワークステーションも記号類はタイプライターペアリングのものが多い。いずれも2019年現在標準で売られているものは記号類もロジカルペアリングになっているが、当時からこれらの機種を使っていた人にはタイプライターペアリングのキーボードを好む人が多い[要出典]

なお、タイプライターペアリングのことを、ASCII配列と呼ぶことがある。これは、タイプライターペアリングを規定した最初の規格であるANSI X4.14-1971が、『American National Standard Alphanumeric Keyboard Arrangements Accommodating the Character Sets of ASCII and ASCSOCR』というタイトルだったからである[要出典]。ただし、この規格を改訂したANSI X4.23-1982(のちにANSI X3.154-1988を経て、現ANSI INCITS 154-1988)のタイトルに「ASCII」は含まれていない。

  • タイプライターの配列(手動タイプライター、機械式タイプライター)
    • アンティークな英文タイプライターの配列。シフトした「2」が「"」になる。

日本語入力方式とキー配列

かな入力#キー配列も参照

カナ系

JIS配列のMacBook Proキーボード

カナ系は、基本的に1打鍵で1つのカナを入力する方式。キーが足りない分はシフトで補う。漢字はカナ読みを入力してかな漢字変換を用いるのが一般的。日本工業規格が制定したJIS配列(JIS X 6002情報処理系けん盤配列)をベースにしたものがデファクトスタンダードになっている。

全ての打鍵が1キーによってなされる配列を順次打鍵配列と呼び、JISかな入力が代表的である。一方で、1打鍵で複数キーの同時押しを要求することのある配列を同時打鍵配列と呼び、NICOLAなどの親指シフト系配列が属する。後者では同時押しを判定するためのソフトウェア、または専用キーボードが必要となる。厳密に同時押しすることは困難であるので、複数キーが押されたタイミングのずれをどれほど許容するのか設定する必要もある。許容幅は大きいほど同時打鍵は認められやすくなるが、高速の順次2打鍵を同時押しと誤認するリスクも高まる。

2打鍵系・行段系

多段シフト形漢字キーボード

2打鍵系は、いくつかに分類可能である。

  • 子音母音の2打鍵で1つのカナを入力する方式。→2タッチ入力(ローマ字型、ローマ字規則拡張型、左右分離型)
  • 子音と母音ではなく、他の手がかりを持っている、もしくは手がかりが存在しない方式。→行段カナ系型(ポケベル入力など)、漢字直接入力

いずれの方式においても、常に二打鍵で入力することを保証しているわけではない。

ローマ字型
ローマ字型は、アルファベット配列を用いてローマ字を入力する方式。QWERTY配列Dvorak配列など英語用の配列を用いることが多いが、ローマ字入力向けに改良したものや、ローマ字入力で用いないアルファベットを定義していないローマ字専用の配列も存在する。漢字の入力方法はローマ字でカナ読みを入力してかな漢字変換を用いるのが一般的である。
左右分離型
左右分離型は、子音と母音が右手と左手に分かれているものをいう。Dvorak配列も左右分離型に含まれる。実質的にはローマ字入力がほとんどであり、行段系に属する。

テンキー

数字の配列

テンキーのキー配列は、電卓型と電話型に大別される。なお、電卓型のキー配列は、1913年にグスタフ・デイビッド・サンドストランドが発明した手動卓上計算機(アメリカ特許第1198487号)が起源であり、電話型のキー配列は、1960年にリチャード・デイニンジャーが発表した論文[7]が基となっている。

電卓型では電卓で使用頻度の高い「0」や「1」を手前に配置したもので、これは国際標準化機構(ISO)によって規格化された[8]。これに対して、電話型は初期のパルス式の電話においてキーの数字に対応した個数のパルスが割り振られ、「0」には10が割り振られたために左上から順に1から数字が並べられ、これは国際電気通信連合(ITU)によって規格化された[8]

電卓型

電話型

アルファベットのテンキー配列

1939年のダイヤル式電話機。電話番号「LA-2697」にはニュージャージー州レイクウッドの電話交換局名「LA」が含まれている。

元来、米国では電話番号がアルファベットの電話交換局名と数字で構成されていたため、電話機の各数字キーにアルファベットが割り当てられていたことに由来する。QとZは局名としては使われていなかったため実装方法が統一されず、他国の製品には米国のデファクトスタンダードと異なるキーにQとZが割り当てられていたものがあった[9]。電話のキー配列はITUのE.161英語版およびISO/IEC 9995-8:2009で標準化されている。

テンキーでの日本語入力

日本向け携帯電話のキー

日本語の入力方法としては母音子音の組合せを選んでカナを入力するのが一般的であるが、操作方法に以下の種類があり、そのキー配列は標準化されていない。


  1. ^ 安岡孝一、安岡素子『キーボード配列 QWERTYの謎』、東京、NTT出版、2008年3月、ISBN 978-4-7571-4176-6
  2. ^ 安岡孝一「ことばの疑問 パソコンのキーボードは,なぜABC順・五十音順ではないのですか」『国立国語研究所 ことば研究館』、大学共同利用機関法人人間文化研究機構 国立国語研究所 、2018年6月15日
  3. ^ IBM Personal Computer - IBM PC/XTの鍵盤について
  4. ^ 101 Key no LED (1390120) - IBM PC/XTの鍵盤について101 Key (1390131) - IBM PC/XTの鍵盤について
  5. ^ a b Announcement Letter Number 186-052 : IBM PERSONAL COMPUTER AT (R) 5170 MODELS 319 AND 339”. IBM (1986年4月2日). 2018年6月1日閲覧。
  6. ^ 写真で見る速記(ステノワード)(速記道楽)
  7. ^ R. L. Deininger: "Human Factors Engineering Studies of the Design and Use of Pushbutton Telephone Sets", The Bell System Technical Journal, Vol.39, No.4 (1960年7月), pp.995-1012.
  8. ^ a b 平川陽一編『今さら誰にも聞けない500の常識』廣済堂文庫 p.294 2003年
  9. ^ Phone Key Pads”. Dialabc.com (2012年12月11日). 2015年3月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年6月4日閲覧。





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「キー配列」の関連用語

キー配列のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



キー配列のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのキー配列 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS