アマゾン川 アマゾン川の概要

アマゾン川

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/05 15:11 UTC 版)

アマゾン川
コロンビアレティシアにおけるアマゾン川の夕焼け
延長 6,516[1] km
平均流量 209,000[2] m³/s
(河口)
流域面積 7,050,000[3] km²
水源 ミスミ山
水源の標高 5,597 m
河口・合流先 大西洋
流域 ブラジル (62.4%)
ペルー (16.3%)
ボリビア (12.0%)
 コロンビア (6.3%)
エクアドル (2.1%)
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概要

アマゾン川流域

アマゾン川は世界最大で最長(諸説あり)の河川である。特に流域面積では世界最大であり[4]、2位以下のコンゴ川ナイル川ミシシッピ川のそれぞれ2倍程度、オーストラリア大陸の面積に匹敵する705万km2(平方キロメートル)にわたる[3]。1973年から1990年の平均流量は毎秒209,000t(トン)と推定される[2]。水深も深く、河口から4,000km(キロメートル) 上流まで遠洋航海用の船が航行できる。平均水深は雨季で40m(メートル)である。

名称としてのアマゾン川は、アンデス山脈のミスミ山スペイン語版英語版を源流とするウカヤリ川と、ラウリクチャ湖スペイン語版英語版から流れ出たラウリクチャ川スペイン語版英語版/マラニョン川イキトス付近で合流する所からの川を指す。ただしブラジルに入るとこの川はソリモンエス川ポルトガル語版英語版と呼び名が変わる。ブラジル国内を約2000 km 下ったネグロ川との合流地点から、ふたたびアマゾン川と呼ばれるようになる[4]。このアマゾン川には、支流では最大の流量・流域面積を持つマデイラ川と、次いでタパジョース川シングー川トカンティンス川などの大きな河川が南側から合流しながら河口まで続く[4]

アマゾン川の標高河口から1,600 km 遡っても32 m 、3,800 km 遡っても80 m しかない。アマゾニアと呼ばれる広い大湿原の低地が広がっている。新生代以降にアンデス山脈が隆起するまでは太平洋側に流れていた。

世界主要河川の比較
アマゾン川 ナイル川 ミシシッピ川 長江 ヴォルガ川 コンゴ川
長さ(km) 6,516
(諸説あり。次節参照)
6,650 3,779 6,300 3,700 4,700
流域面積
(100万km2)
7.05 2.9 3.2 1.8 1.3 3.7
平均流量
(1000m3/s.)
209(1973-1990年の平均) 2-3 18 21 8 39

規模

アマゾン川の源流 ペルーのミスミ山山麓。木製の十字架が立てられている (2006年)
アマゾン川の水源

長さの論争

南米大陸の北部を大きく流れるきわめて巨大な水系を持ち、いくつもの支流に分かれる。このため、アマゾン川の定義は下記のように複数存在する。規模についても出典により、複数の値が示されている。しばしば「アマゾン川本流論争」が持ち上がる[4]

  • 6,299 km - 『アマゾン 生態と開発』
    流量が多いラウリコチャ湖を源流とするマラニョン川からの長さ[4]
  • 6,400 km - 理科年表 2006年
    The Water Encyclopedia, Second Editionなどに基づくものであり、アマゾン川の源流として支流のウカヤリ川、さらにウカヤリ川の支流としてアプリマック川を採用したもの。
  • 6,516 km - 理科年表 2006年
    The Times Atlas of the World, 2004などに基づくものである。

これらの値は、ナイル川の長さである 6,650 km ないし 6,695 km に近い。さらに、アマゾン川の流路は複雑であり、より長い支流が存在するとして、アマゾン川が世界一長い河川であるという主張も存在する。例えば、2007年6月22日に共同通信は、ミスミ山の奥深くで新たな源流が発見されアマゾン川の全長は 400 km も伸びて 6,800 km となりナイル川を超えると報道した [5][6][7]

2008年7月3日には、アマゾン川とナイル川の衛星写真を比べてアマゾン川の長さは 6,992 km になりナイル川よりも長いと報道された[8]

アマゾン川の上流部分はアンデス山脈の奥深く入り込んでいる。ナショナルジオグラフィック協会などによる調査では、ペルー南部のボリビアチリ国境近くにあるミスミ山 (Nevado Mismi, 5597 m) が最も遠い水源と考えられ[9]。主要な支流全体の長さは延べ 50,000 km にもなり、赤道を一周した長さよりも長い。

流域面積

アマゾンの流域面積も、様々な数値が示されている。資料により、580万km2から600万、650万、705万、750万とばらついている。その中で、ブラジル地理統計局 (IBGE) は750万km2を採用している。いずれの数値を取っても、世界2位のコンゴ川(370万km2)と比べれば、突出した世界1位の流域面積を誇る[4]

流量と水量の収支

オビドスにおけるアマゾン川の流量(m3/s)
(1928年から1996年の69年間の平均データ)[10]

アマゾン川の流量は何度も計測・試算されているが、資料によってまちまちである。ある資料によると175,000トン/秒と計算されたが、この流量は世界第2位にあるコンゴ川の4-5倍に相当し、全世界の河川流量の15-18%を占める[4]。この流量は季節によって変化し、流域の降雨量変化をやや遅れて追うように推移する。河口から537kmさかのぼったパラ州のオビドスでの計測によると、毎年11月頃から水位上昇が始まり、翌5-6月に最高位に達する。ここから低下を始めた水位は10-11月に最低となる。したがって上昇には7-8ヶ月、下降には4-5ヶ月というサイクルを持つ[4]。この変化による水面の高低差は約5-6mとなる[4]

アマゾン川は支流だけでも規模が巨大で、最大の支流ネグロ川の年平均流量マナウスで毎秒28,400 t、マデイラ川の年平均流量は合流点で毎秒31,200 tある。タバチョス川は毎秒13,500 t、シングー川は毎秒9,700 t、トカンチンス川の年平均流量は 11,800 tある[2]

アマゾン川流域の年間平均降雨量は2300 mm 前後であり、流域面積750万 km2 に一様に降るとすると、総量は15兆トンになる。一方、河口流量を175,000トン/秒とすると年間5.5兆トンである。この差異から、アマゾン川流域で蒸発蒸散される水は年間9.5兆トン、単位面積で割ると約1460mmとなる。アマゾン川流域の蒸発・蒸散量試算はこの他にも様々あり、1000-1905mmの間と言われる[4]。ブラジル国立アマゾン研究所のシミュレーションによると、流域降雨の50%は川や湖水からの蒸発に土壌や植物等から蒸散したアマゾン川由来の水が蒸発したもので、残り50%は大洋の蒸発水である[4]

その他

河口は大きく広がっており、どこからどこまでを河口と考えるかにより大きく異なるが、その幅は東京から名古屋大阪までの距離に匹敵する 300 km とも 500 km ともされる。一般的には、九州より僅かに広い面積を持つマラジョ島中州と考えられている。水量、流出物の量が莫大なため、河口から約 400 km 沖合いまで大西洋は海水の塩分濃度や、海面の色が変化している[11]

アマゾン川の水深は極めて大きい。本流は通常でも50-60 m であり、場所によっては120 m ほどの深さを持つ。このため、かなり上流まで大型の船が航行できる。マナウスまでは、1万トンクラスの外航船も常時航行が可能で[12]喫水 4 m 程度の船ならブラジルを超えペルーのイキトスにたどり着ける。なお、河口からイキトスまでの距離は3500 km あるが、標高差は100 m 程度であり、アマゾン川は非常に流れが緩やかな点も特徴である[13]

2012年5月16日、ネグロ川上流域における水位が、1902年に観測が始まって以来の最高となる29.79 m に達した[14]。上流域で降り続いた豪雨が原因とみられている。その一方で、ブラジル北東部の高地では過去50年間で最悪とされる干ばつに見舞われた。


注釈

  1. ^ ただし、支流のネグロ川には、アマゾン川に合流するすぐ手前の位置に橋がかけられた[20]

出典

  1. ^ 理科年表 2006年
  2. ^ a b c Moliner et al. (1993年11月24日). “Hydrologie du Bassin de L'Amazone” (PDF). Grands Bassins Fluviaux. p. 340. 2018年7月1日閲覧。
  3. ^ a b 山から海へ 川が作る地形” (PDF). 国土地理院. 2018年7月1日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j k 西沢・小池、p.55-65 川の素顔と水の循環
  5. ^ 世界最長はアマゾン川?ペルー奥地で源流発見山陽新聞 アーカイブトゥデイより 2018年7月20日閲覧。
  6. ^ [1][リンク切れ]
  7. ^ Amazon river 'longer than Nile'”. BBC (2002年6月16日). 2018年7月1日閲覧。
  8. ^ 「世界最長はアマゾン川」 ブラジル国立機関が発表”. 産経新聞 (2008年7月3日). 20008/07/06時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月1日閲覧。
  9. ^ ナショナル ジオグラフィック協会がアマゾン川の水源を確定”. ナショナルジオグラフィック日本版 (2002年6月3日). 2018年7月1日閲覧。
  10. ^ GRDC - Amazon Basin - Station: Obidos
  11. ^ 「流系の科学 山・川・海を貫く水の振る舞い」p285 宇野木早苗 築地書館 2010年9月10日初版発行
  12. ^ マナウス案内”. 在マナウス日本国総領事館. 2018年7月1日閲覧。
  13. ^ a b c d 西沢・小池、p.38-44 アマゾンの誕生
  14. ^ 地球が変だ! アマゾン水位、過去最高に”. 産経新聞イザ! (2012年5月17日). 2012年6月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月1日閲覧。
  15. ^ a b c d e f g h 西沢・小池、p.66-74 白い川・黒い川・緑の川
  16. ^ 「概説ブラジル史」p55-60 山田睦男 有斐閣 昭和61年2月15日 初版第1刷
  17. ^ 「ラテンアメリカを知る事典」p399 平凡社 1999年12月10日新訂増補版第1刷
  18. ^ 「概説ブラジル史」巻末資料13頁 山田睦男 有斐閣 昭和61年2月15日 初版第1刷
  19. ^ 「ラテンアメリカを知る事典」p405 平凡社 1999年12月10日新訂増補版第1刷
  20. ^ First Amazon bridge to open world's greatest rainforest to development”. The Gurdian (2010年8月5日). 2018年7月1日閲覧。
  21. ^ a b c d e f g h 西沢・小池、p.94-100 魚と魚にまつわる話
  22. ^ a b Complejo de humedales Lagos de Tarapoto | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2018年6月14日). 2023年3月26日閲覧。
  23. ^ Central Amazon Biosphere Reserve, Brazil” (英語). UNESCO (2019年2月18日). 2023年3月26日閲覧。
  24. ^ Mamirauá | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (1998年1月1日). 2023年3月26日閲覧。
  25. ^ Amazon Estuary and its Mangroves | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2018年6月13日). 2023年4月6日閲覧。
  26. ^ Tom Sterling: Der Amazonas. Time-Life Bücher 1979, 8th German Printing, p. 20
  27. ^ 西沢・小池、p.72
  28. ^ Greatest River”. Extremescience.com. 2011年2月13日閲覧。
  29. ^ Madeira (river)”. Talktalk.co.uk. 2011年2月13日閲覧。
  30. ^ Purus River: Information from”. Answers.com. 2011年2月13日閲覧。
  31. ^ Japura River (river, South America) – Encyclopædia Britannica”. Encyclopædia Britannica. 2011年2月13日閲覧。
  32. ^ Private Tutor”. Infoplease.com. 2011年2月13日閲覧。
  33. ^ Araguaia River (river, Brazil) – Encyclopædia Britannica”. Encyclopædia Britannica. 2011年2月13日閲覧。
  34. ^ Juruá River: Information from”. Answers.com. 2011年2月13日閲覧。
  35. ^ Negro River: Information from”. Answers.com. 2011年2月13日閲覧。
  36. ^ Tapajos River (river, Brazil) – Encyclopædia Britannica”. Encyclopædia Britannica. 2011年2月13日閲覧。
  37. ^ Xingu River”. International Rivers. 2011年2月13日閲覧。
  38. ^ HowStuffWorks "The Ucayali River"”. Geography.howstuffworks.com (2008年3月30日). 2011年2月13日閲覧。
  39. ^ Guapore River (river, South America) – Encyclopædia Britannica”. Encyclopædia Britannica. 2011年2月13日閲覧。
  40. ^ The Nation, Volume 50






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