甲板船とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 甲板船の意味・解説 

甲板 (船)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/21 17:56 UTC 版)

甲板かんぱん、またはこうはん、英:deck デッキ[1]とは、の上部にある平らなのこと[2]。甲板は、船側と船側の間に渡した構造材(梁など)の上に貼られた板であり、甲板の上側から見下ろすとに相当するが、甲板の下すなわち船室側から見上げると屋根に相当する。

木甲板の一例

素材による分類では「甲板」「甲板」「FRP甲板」などに分類される。

歴史と材質

もともと船は木材で造られる木造船であったので(→船#歴史)、甲板は当然すべて木製であった。

19世紀から鉄製の船が登場した。正確に言うと1819年に建造されクライド運河で客船として使用されたバルカンが最初の鉄製の船であり[3]、その後、多くの船で船体の素材として強度の高い鉄のほうをを採用するようになり、炭素との合金である鋼(軟鋼)で船体を作るようになった[3]。こうして甲板を鋼材で造るようになった。

ただし、船体が鋼で造られるようになっても、甲板を鋼材で造った上に木材を貼り詰める(敷き詰める)ということは行われた。木甲板は分を含み、耐久性に優れ、高級感を演出できるとされ、今でも客船などではよく使用される[4]。また、日本丸海王丸などの練習船でも、甲板は鋼板の上に木材を貼っており、たとえば練習船日本丸の場合は構造部材としての鋼製甲板の上にチーク材の木甲板を張り詰めている[5]。 軍艦においても、日本海軍の「大和型戦艦」や航空母艦赤城」、アメリカ海軍の戦艦「アイオワ級戦艦」その他多数の艦にて使われていた例がある。

とはいえ現代では、海洋交通の世界で「本船」と呼ばれる大型船では鋼甲板は一般的であり、タンカー貨物船の甲板などの他、軍艦飛行甲板などは鋼甲板である。軍艦では甲板の表面に特定の種類の塗料(滑り止め効果があり、対油性や耐久性もある塗料)を塗る[6]

一方、小型の船舶に関しては、1960年代からFRP船が大量に生産されるようになり、漁船プレジャーボートの大半がFRP製になり、その甲板もFRP製になった。FRP漁船の甲板はFRP製であり、その上を歩き回っても滑って転んだりしないように滑り止めの塗装をほどこしてある。ただし高級なセーリングクルーザーの一部は、FRP製の甲板の上に木材、通常チーク材、を貼っている。その理由は、客船と同様で、高級感を演出できることであり、また裸足で歩き回る時にも感触が良く、高級セーリングクルーザーを購入する富裕層はそうした違いにもこだわるからである。セーリングクルーザーの造船業者は、チーク材の木目の違いにまでこだわることもあるという[7]

脚注

注釈

出典

  1. ^ 「甲板」「甲板員」の読み方は?NHK放送文化研究所
  2. ^ 第2版,世界大百科事典内言及, 精選版 日本国語大辞典,デジタル大辞泉,ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典,百科事典マイペディア,世界大百科事典. “甲板(かんぱん)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 2023年11月16日閲覧。
  3. ^ a b 木船から鉄船へ”. 日本船舶海洋工学会. 2025年1月22日閲覧。
  4. ^ 木甲板”. kinomemocho.com. 2023年11月16日閲覧。
  5. ^ 日本丸の船体構造と経年劣化への対応. https://www.jstage.jst.go.jp/article/conf/22/0/22_11/_pdf/-char/ja 2025年1月22日閲覧。. 
  6. ^ 防滑特殊床材・プライマー”. 2025年1月22日閲覧。
  7. ^ チーク クルーザーヨット甲板用”. 2025年1月22日閲覧。

関連項目


「甲板 (船)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「甲板船」の関連用語

甲板船のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



甲板船のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの甲板 (船) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS