周波数分配とは? わかりやすく解説

周波数分配

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/20 23:54 UTC 版)

US frequency allocations chart, 2016

周波数分配(しゅうはすうぶんぱい、英語: frequency allocation)またはスペクトル分配英語: spectrum allocation)とは、電磁スペクトル周波数帯への分配と規制であり、通常、国の政府によって行われている[1]電波伝搬は国境を超えるため、各国政府は周波数帯の割り当てとその標準化を協議により決定している。

ITUによる定義

国際電気通信連合(ITU)は無線通信規則(RR)において、周波数分配を「特定の条件の下で、1つ以上の地上・宇宙の無線通信業務または電波天文業務に使用するための周波数帯を指定すること」と定義している[2]

周波数分配は国家による周波数行政で使われる特別な用語である。似たような言葉に以下のものがある(日本語訳は情報通信振興会刊行の無線通信規則日本語版による)。

周波数管理に関するITU用語
周波数
分配の対象
ITUの公用語 日本語 ITU RR
(条数)
フランス語 英語 スペイン語 アラビア語 中国語 ロシア語
無線通信業務英語版 attribution
(attribuer)
allocation
(to allocate)
atribución
(atribuir)
划分(劃分) распределение
(распределять)
分配 1.16
国・地域 allotisement
(allotir)
allotment
(to allot)
adjudicación
(adjudicar)
分配 выделение
(выделять)
区域分配 1.17
無線局 assignation
(assigner)
assignment
(to assign)
asignación
(asignar)
指配 присвоение
(присваивать)
割当て英語版 1.18

概要

いくつかの団体が周波数分配の基準を定めており、その中には以下のようなものがある。

周波数利用の整合性を高めるために、ほとんどの無線業務への分配が、適切な国の行政の責任の下で、国の周波数分配表に組み込まれている。無線業務への分配は、以下の3種類に分けられる。

  • 一次業務
  • 二次業務
  • 国の行政の責任の範囲内で、独占的または共有的に利用

軍事利用への分配はRRに従う。NATO諸国では、軍用移動利用は、NATO民間軍事周波数協定英語版(NJFA)に基づいて行われる。

周波数分配の例

以下にリストされている周波数帯の中には、連続的な分配ではないものもある(例:アマチュア無線の1.8-29.7MHz帯)。

Common frequencies [3]
種別 周波数 (MHz) 一般的な放射電力 (kW)
長波放送 (EU) 0.150–0.285 320
AM放送 (EU & J) 0.525–1.605 500
AM放送 (US) 0.530–1.710 50
アマチュア無線 1.8–29.7 0.16 (mobile)
市民バンド 26.9–27.4 0.004
アマチュア無線 28–30 0.2 (mobile)
陸上移動局 29–54 0.1
アマチュア無線 50–54 0.2 (mobile)
TV low VHF 54–88 100
陸上移動局 (EU) 65–85 0.1
FM放送 (J) 76–90 44
FM放送 (US & EU) 88–108 105
航空局 108–136 1
陸上移動局 (EU) 120–160 0.1
陸上移動局 132–174 18–100
陸上移動局 (J) 142–170
アマチュア無線 144–148 0.2 (mobile)
TV high VHF 174–216 316
陸上移動局 216–222 0.2
アマチュア無線 222–225 0.1 (mobile)
陸上移動局 (J) 335–384
陸上移動局 406–512 0.1
陸上移動局 (J) 450–470
アマチュア無線 430–450 0.1 (mobile)
TV UHF 470–806 5000
陸上移動局 806–947 0.035
Cellular AMPS 806–947 0.003
アマチュア無線
陸上移動局
GPS
1200–1600
Cellular PCS 1700–2000 0.003
ISMバンド
Bluetooth
Wi-Fi
2400–2500 0.0000025

関連項目

脚注

  1. ^ Haim, Mazar (2008-08-01). An Analysis of Regulatory Frameworks for Wireless Communications, Societal Concerns and Risk: The Case of Radio Frequency (RF) Allocation and Licensing. Middlesex University. http://www.moc.gov.il/new/documents/frequences/MazarThesisOct08.pdf 
  2. ^ ITU Radio Regulations, Section IV. Radio Stations and Systems – Article 1.16, definition: allocation (of a frequency band).
  3. ^ EMC Design Guide for PCB”. Ford EMC (2003年). 2020年4月25日閲覧。

外部リンク


周波数分配

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/27 01:14 UTC 版)

ISMバンド」の記事における「周波数分配」の解説

無線周波数の分配は、RR2012年版)の第5条に従って提供されている。 周波数帯種類中心周波数利用可能地域6.765 MHz 6.795 MHz A6.78 MHz 地域での受け入れ条件とする 13.553 MHz 13.567 MHz B13.56 MHz 世界中 26.957 MHz 27.283 MHz B27.12 MHz 世界中 40.66 MHz 40.7 MHz B40.68 MHz 世界中 433.05 MHz 434.79 MHz A433.92 MHz ITU第1地域のみ。地域での受け入れ条件とする 902 MHz 928 MHz B915 MHz ITU第2地域のみ(一部例外を除く) 2.4 GHz 2.5 GHz B2.45 GHz 世界中 5.725 GHz 5.875 GHz B5.8 GHz 世界中 24 GHz 24.25 GHz B24.125 GHz 世界中 61 GHz 61.5 GHz A61.25 GHz 地域での受け入れ条件とする 122 GHz 123 GHz A122.5 GHz 地域での受け入れ条件とする 244 GHz 246 GHz A245 GHz 地域での受け入れ条件とする Type A : RR 脚注5.138によってISM分配されたもの。各国主管庁が影響を受けるおそれがある無線通信業務有する主管庁の同意得て、さらにITU-R無線通信部門)の勧告尊重し、特別の承認与えることを条件として分配するものとしている。日本では周波数割当計画脚注J29でITU-R研究結果をふまえISM装置にも使用するType B : RR 脚注5.150によってISM分配されたもの。この周波数帯運用される無線通信業務は、ISM機器によって生じ得る有害な混信容認しなければならないITU第3地域ロシアを除くアジア、オセアニア)にある日でも、総務省告示周波数割当計画脚注J37でそのまま割り当てている。 433.05-434.79MHz(中心周波数433.92MHz)については、RR 脚注5.280によって、ドイツオーストリアボスニア・ヘルツェゴビナクロアチア北マケドニアリヒテンシュタインモンテネグロポルトガルセルビアスロベニアスイス限り脚注5.138に関わらずType B同様の指定となっている。 また、オーストラリア第3地域属しており、433.05-434.79MHzはITUバンドではないが、国の法律により、この周波数帯の低電力デバイス動作は、LIPDs(low interference potential devices)クラスライセンスにより保証されている。

※この「周波数分配」の解説は、「ISMバンド」の解説の一部です。
「周波数分配」を含む「ISMバンド」の記事については、「ISMバンド」の概要を参照ください。

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