周波数分離フィルタ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/28 15:40 UTC 版)
クロマ信号の主成分が約3 - 4.2MHzを占めている事に着目し、それ以下 (0 - 3MHz) の周波数帯には輝度信号しか含まれていないと見なしてローパスフィルタで輝度信号Yを抽出し、3 - 4.2MHzの領域はクロマ信号Cのみであるとしてバンドパスフィルタで分離する。 利点 部品点数が少なく、最もローコスト。受像機の画面サイズが小さい場合は、これでも十分な画質を提供出来る。 欠点 輝度信号の帯域が削られるため画像の水平解像度が330→240TV本程度に低下し、ぼやける。また現実には3 - 4.2MHzの領域にも輝度信号が含まれており、これを無理やりクロマ信号として処理するとクロスカラーと呼ばれる偽の色が付く現象が発生する。例えばニュース番組のアナウンサーのシャツやネクタイがストライプ柄であった場合、また重なり合う木々の枝を撮影した時などに本来は細かい白黒の縞模様で表示される筈の部分に奇妙にゆがんだ虹状の色が付いて見えてしまう。同様に2.3 - 3MHzの間にも色差信号の高周波部分が含まれており、これを輝度信号として処理すると例えば横方向に色が急激に変化するエッジ部分に粗い市松模様状の妨害が見えてしまう。なお安価にする為に部品点数を削り遮断特性を優先させたバンドパスフィルターはクロマ信号に位相歪みを発生させ、これは色相ずれに直結する。輝度信号のぼやけ対策として2.5MHz付近の増幅率を上げる対策が行われていた。
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