溶剤精製
【英】: solvent refining
溶剤精製とは溶剤の炭化水素に対する溶解能の差を利用して、石油中のある種の炭化水素を選択的に分離して精製する物理精製で、主として潤滑油の精製に用いられ、高粘度指数の油が得られる。溶剤抽出法、溶剤脱瀝法{ようざいだつれきほう}および溶剤脱蝋法{ようざいだつろうほう}の総称である。 (1) 溶剤抽出(solvent extraction):この方法は潤滑油の精製だけでなく、灯油留分から芳香族炭化水素を無水亜硫酸で抽出し燃焼性の良い灯油を製造するエデレアヌ法、軽油から芳香族、ナフテン系炭化水素を抽出しセタン価の高い軽油を得るフルフラール抽出法、接触改質ガソリンからジエチレングリコールを溶剤として芳香族炭化水素を抽出するユーデックス法など多数の方法が種々の目的で行われている。潤滑油の精製の場合は、粘度指数、安定性、油性などの高い性質を有するパラフィン系炭化水素を分離して採取するのが目的である。潤滑油留分中のナフテン系、芳香族および不飽和炭化水素、有色物質、樹脂などを選択的に抽出除去することにより、パラフィン系炭化水素に富む潤滑油留分を得る。これに使用する溶剤はフルフラール、フェノール、メチルピロリドンなどがあるが、わが国ではフルフラール抽出法が最も多く採用されている。なお、溶剤によって抽出除去される油分をエキストラクト(extract)といい、溶剤に抽出されない油分をラフィネート(raffinate)という。エキストラクトは重油調合材、ゴム製造用のプロセス・オイルなどに使用される。 (2) 溶剤脱れき(solvent deasphalting):潤滑油の安定性、色相などの障害となるアスファルテンや樹脂分を潤滑油留分中からプロパンなどの溶剤を用いて除去する方法である。 (3) 溶剤脱ろう(solvent dewaxing):パラフィン基原油から得られた潤滑油は高い粘度指数をもつ優れたものであるが、ろう分が多いと流動点が高くなるので、脱ろうしなければ製品とはならない。そのため、ベンゼン、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)の混合溶剤、プロパン溶剤などを用いてろう分を抽出除去する方法が溶剤脱ろうである。わが国では、MEK 脱ろう法が最も普及している。 |

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