pn接合と発光・受光
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/21 00:48 UTC 版)
順バイアス時に於いて、pn接合領域でキャリアの再結合が発生する。この時、禁制帯幅が光子のエネルギーより大きければ、再結合に伴って光が放出される場合がある(発光再結合またはエレクトロルミネセンス)。これを応用した素子が発光ダイオードや半導体レーザである。 逆にpn接合領域に禁制帯幅よりも大きなエネルギーの光子などが入射すると、価電子帯から電子が励起されて伝導電子となり、内蔵電場に引かれてドリフト電流を増大させる、光起電力効果(内部光電効果)が発生する。これを応用した素子がフォトダイオードやフォトトランジスタ、太陽電池などである。 伝導帯の底と価電子帯の頂上の間を電子が一気に遷移する際に吸収・放出する光の波長との関係は、光子のエネルギーをE、プランク定数h、振動数ν、光速度c、波長λ、電荷素量e、禁制帯幅をEgとして E = h ν = h c λ = E g {\displaystyle E=h\nu =h{\frac {c}{\lambda }}=E_{g}} の関係がある。たとえばキャリアが2.200eV(電子ボルト)のエネルギーを一気に越えて発光再結合した場合、おおよその発光波長は λ = h c E g = 6.626 × 10 − 34 × 3.000 × 10 8 2.200 × 1.602 × 10 − 19 = 5.64 × 10 − 7 m = 564 nm {\displaystyle \lambda ={\frac {hc}{E_{g}}}={\frac {6.626\times 10^{-34}\times 3.000\times 10^{8}}{2.200\times 1.602\times 10^{-19}}}=5.64\times 10^{-7}{\mbox{m}}=564{\mbox{nm}}} の黄緑色と計算できる。実際には、禁制帯から離れた準位からの遷移や、禁制帯中の不純物準位などを介した遷移も起こるため、発光スペクトルは多少の幅を持つ。これを誘導放出によって1つの波長に揃えるのが半導体レーザである。 なお一般に、発光ダイオードなどに光を当てても、ごく僅かだが光起電力が発生する。逆に、一般的なフォトダイオードや太陽電池に電圧を印加しても、禁制帯幅が小さいために赤外域での発光になったり、熱になって殆ど発光しない場合が多い(素子を破壊する可能性が高いので、安易に試すのは避けるべきである)。
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