Western DigitalによるSMRへの予告無き変更
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/23 13:33 UTC 版)
「シングル磁気記録方式」の記事における「Western DigitalによるSMRへの予告無き変更」の解説
2020年4月頃にウエスタンデジタルがネットワークアタッチトストレージ(NAS)向けに製造していたWD REDシリーズがユーザーへの予告無くSMRに変更されていた事が発覚した。 前述の通り、SMRは従来のCMRに比べると書き込み性能に劣るものの、記録密度が上がる事により容量あたりのコストは低減する。また、プラッタの外周の一部にCMR方式の書き込みを行うエリアを設けキャッシュとして利用する等の技術により一般的な使用では従来のCMRと遜色ない使い勝手を実現している。このことから、各社は既存のHDDのラインナップを順次CMRからSMRに変更しており、例としては2018年の時点でシーゲイト・テクノロジーが製造する一般ユーザー向けのBarraCudaシリーズで2TBのプラッタを採用した製品は全てSMR方式であった。 しかし、NASにおいてはRAIDの同期などSMRが苦手とするランダム書き込みが発生し、特にファイルシステムにZFSを利用している場合は大きなパフォーマンス低下が発生する。また、ウェスタンデジタルは2015年の時点でこの事を把握していたにも関わらず、ユーザーへの告知無くNAS向けとされるWD RedシリーズをSMRに変更していたため、大きく批判される事となった。また、NASベンダーにも通知していなかったため、NASベンダーは(CMRと信じて)当該のHDDを互換品リストに加えたままであった。問題発覚後、このベンダーは互換品リストから除外した。 批判を受け、ウェスタンデジタルは公式ブログにて釈明の記事を掲載した。ただし、「当該製品はSOHOなどのロードワークが軽い用途向けである。」「上位機種であるWD Red PlusはCMRであり、2T~6TBのラインナップを追加する。」といった内容であり、謝罪では無かった。また、WD Red以外の製品については詳細が不明であった。さらなる批判を受け4月22日にWD Blackシリーズなどの他のラインナップを含めたリストを公開した。ただし、製品ページに表記は無く、当該ブログを閲覧するかサポートページにアクセスしスペックシートを入手する必要がある。 この件を受け、競合であるシーゲートは全ての機種のリストを公開した。ウェスタンデジタルと異なり、NAS向けのラインアップにはSMRは一切搭載されておらず、また将来においても通知無く変更する事は無いとしている。また、NAS向けのHDDは製品ページにCMRと明記されており、その他の製品も製品ページより比較的簡易にアクセスできるスペックシートから判別可能である。
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