UDデジタル教科書体の開発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 15:41 UTC 版)
「UDデジタル教科書体」の記事における「UDデジタル教科書体の開発」の解説
小学校の教科書では、フォントによる字形の差異によって字の学習に混乱を与えないよう、学習指導要領の学年別漢字配当表に示された字形に合わせた教科書体が使用されることが多い。従来の教科書体は線に強弱があり、ロービジョンの児童にとって見えにくいものであった。一方、一般的なゴシック体は線の太さは基本的に一定ではあるが、画数が分かりにくく、教科書体の字形とは異なる部分が多い。既存のゴシック体を部分的に変更して学習指導要領に準拠した字形に変えた学参フォントが使われることもあるが、従来のゴシック体の要素を強く残していて、手書きの字の学習には向かない。 UDデジタル教科書体では、ロービジョンの人に限らず、発達性ディスレクシアなどによる読み書き学習に困難がある児童・生徒にも配慮している。開発の段階では、ロービジョンや障害児心理学について研究をしている慶應義塾大学教授中野泰志が協力して、ロービジョンの生徒や教員に対してエビデンス取得のための検証実験を行い、従来の教科書体や明朝体に比べて読みやすいことなどが実証された。読み書き学習に困難がある小学生を対象に、大阪医科薬科大学LDセンターの奥村智人が行った研究の中でも、他の教科書体と比べて読みやすいと答える児童が多くいて、読み書きに困難がある児童にも効果があることが確認された。 UDデジタル教科書体は、2016年6月20日、買い切りライセンスTypeBank Select Pack 1/5による販売を開始した。
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