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ティグリニャ語

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/05 00:39 UTC 版)

ティグリニャ語
ትግርኛ tigriññā
発音 IPA: /tɨɡrɨɲa/
話される国 エリトリア
エチオピア
地域 エリトリア
エチオピアティグレ州
話者数 670万人
言語系統
アフロ・アジア語族
公的地位
公用語 エリトリア (事実上)
統制機関 統制なし
言語コード
ISO 639-1 ti
ISO 639-2 tir
ISO 639-3 tir
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ティグリニャ語(ティグリニャ ご、Tigrinya language)は、エリトリア中央部およびエチオピアのティグリニャ人(Tigrinya、エチオピア施政下以降、現代ではティグライ人 Tigrayansと呼ばれる[1])が用いる言語である。アフロ・アジア語族セム語派に属し、アムハラ語や古代のゲエズ語に近い。エチオピアの公用語の1つであり、またエリトリアの事実上の公用語(規定はない)である。ゲエズ文字により表記される。話者数は670万人ほど。

エリトリア(ティグリニャ語地域の北西側)で用いられるティグレ語Tigre language)は、系統的には近いが別言語である。

最も古い記録として、エリトリア南部で発見された13世紀の法律を書いたものがある。エリトリアがイギリスに支配された時代にはティグリニャ語の新聞が発行された。エリトリアではエチオピアとの連邦時代にはアラビア語とともに公用語とされたが、1958年以降アムハラ語のみが公用語とされた。エチオピアでは、アムハラ語オロモ語についで3番目に話者が多く、エリトリアでは最有力言語である。

子音長子音の区別があるが、文字では区別されないため、k'ärräbä(彼は近づいた)とk'äräbä(彼は近くにいた)が区別できない。しかしこのようなペアはごく少なく、実用上の不都合はほとんどない。

音声

子音

ティグリニャ語はアムハラ語と比べ咽頭音など喉を使う音が多いのが特徴である。しかし母音はアムハラ語とほぼ同じである。

子音
両唇音/
唇歯音
歯茎音 後部歯茎音/
硬口蓋音
軟口蓋音 咽頭音 声門音
Plain 唇音化
鼻音 m n ñ [ɲ]
破裂音 無声音 p t č [tʃ] k kw [kʷ] [ʔ]
有声音 b d ǧ [dʒ] g [ɡ] gw [ɡʷ]
放出音 p' [pʼ] t' [tʼ] č' [tʃʼ] k' [kʼ] kw' [kʷʼ]
摩擦音 無声音 f s š [ʃ] (x) (xw) [xʷ] [ħ] h
有声音 (v) z ž [ʒ] [ʕ]
放出音 s' [sʼ] (x') [xʼ] (xw') [xʷʼ]
接近音 l y [j] w
R音 r

母音

母音
前舌母音 中舌母音 後舌母音
狭母音 i ə [ɨ] u
中央母音 e ä [ɐ] o
広母音 a

文法

動詞

ティグリニャ語は他のセム諸語と同じく、子音のみの単語に母音を入れて活用する。

例:(sbr) 「壊す」

完了形: ሰበረ (säbärä) 「彼は壊した」 (この活用形はティグリニャ語では「物語」といった特殊な文脈しか見られない。)

未完了形: ይሰብር (yəsäbbər) 「彼は壊す」

副動詞形: ሰቢሩ (säbiru) 「彼は壊して/彼は壊した」(ティグリニャ語では副動詞形が完了形の役割を果たす。)

文字

文字はアムハラ語と同じゲエズ文字を使う。

  ä u i a e [(ǝ)] o
h
l
m
s
r
s
[š]
k'
[kʷ']
x'
[xʷ']
b
v
t
[č]
h
n
ñ
k
[kʷ]
x
[xʷ]
w
z
[ž]
y
d
[ǧ]
g
[gʷ]
t'
[č']
p'
s'
s'
f
p

ゲエズ語からティグリニャ語への変化

脚注

  1. ^ これはティグレ語を話すティグレ人や、ラシャイダ人等のアラブ系諸族とは別の民族である。

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