TT-1930の機構・デザイン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/28 09:19 UTC 版)
「トカレフTT-33」の記事における「TT-1930の機構・デザイン」の解説
トカレフの設計した拳銃は、アメリカのコルト M1911(いわゆる「コルト・ガバメント」)のメカニズムを多く取り入れながら、極限まで単純化を図ったものである。コルトの特徴であるショートリコイル撃発方式は、強力な弾丸を安全に発射でき、しかも、比較的簡素なことから多くの大型拳銃に模倣された。トカレフもこれを踏襲し、コルト同様に銃身全体をカバーする重いスライドを備え、外見はコルトM1903やFN M1903に近くなった。 多くの部品を極力一体化し、可能なら省略することで、部品点数と組立工数を削減している。直線形状のグリップはネジではなくレバーで留め、ハンマーからシア、ディスコネクタに至る機関部はアッセンブリー化されているなど、生産性を高め、工具無しでもたやすく分解できる設計になっている。 多くの自動拳銃は、スライドの脱着時に位置を固定する「スライドストッパー」を側面に備えている。これは、通常ならフレーム内側からパーツを充てて留められているが、トカレフは、スライドストッパーの軸をフレーム反対側まで貫通させ、露出した小さな板バネ状の割りピンで留めて、脱落を防ぐ単純な構造にしてコストと工数を削減した。後にこの構造を参照した拳銃も多い。 他の共産主義国家の軍用拳銃にも見られるように、鋼板プレスの縦筋入りグリップ中央には、円で囲まれた星のマーク(☆)が入っている。これは、共産圏国家でライセンス生産やコピー生産された多くのトカレフ系拳銃にも共通する外見的特徴となっている。スライド後部側面の指掛け部分は、細溝と太溝を交互に組み合わせたデザインで、厚い手袋をしたままでもスライドを引きやすいように作られている。トリガーガードも、大柄なソ連兵士が革手袋を填めて射撃する状況を考慮して、かなり大きめに作られている。
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