TMSの原理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/08 13:50 UTC 版)
TMSがどのようにして脳に影響を与えるかに関する正確な詳細は、いまだ研究の途中である。しかし、TMSの効果に関してはその刺激の方式によって以下のように分けられている。 単発経頭蓋磁気刺激法、または、2連発経頭蓋磁気刺激法(Single pulse TMS または Paired pulse TMS) パルス刺激によって、大脳新皮質にある神経細胞集団を脱分極させ、活動電位を引き起こす。この刺激法を一次運動野に使用した場合、筋電計 (EMG) によって計測可能な運動誘発電位 (MEP) を引き起こす。また、後頭葉に使用した場合、“眼内閃光”が被験者によって観察される。皮質の他の領域のほとんどでは、被験者が自覚可能な効果は観察されない。しかし、その行動(例えば、認知課題に対する反応時間の変化)や、ポジトロン断層法や fMRI によって計測される脳活動は微妙に変化する可能性がある。このような効果は、刺激を行っている時間以上に長続きすることはない。TMS に関する総説は、"the Handbook of Transcranial Magnetic Stimulation" に存在する。 反復経頭蓋磁気刺激法(rTMS、Repetitive TMS) 刺激後も効果が持続する刺激法である。rTMS は刺激の強度やコイルの向き、刺激の周波数などに従って、皮質脊髄路や皮質間経路の興奮性を増加、または減少させることができる。rTMSのこのような効果は、長期増強 (LTP) や長期抑圧 (LTD) と同種な、シナプス荷重の変化を反映しているものと考えられているが、そのメカニズムはまだ明確には分かっていない。近年の rTMS に関する総説にフィッツジェラルド (Fitzgerald) らによる2006年のものが存在する。 このように通常の刺激法と反復刺激法 (rTMS) では方式によって異なる効果が存在するので、区別する必要がある。
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