Scan Line Correctorの故障
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/04 05:26 UTC 版)
「ランドサット7号」の記事における「Scan Line Correctorの故障」の解説
2003年5月31日、ETM+のスキャン走査線補正装置(SLC)が故障した。SLCは、撮影用の鏡の動きに合わせて軸の周りを回転する1対の小さな鏡で構成されており、その目的は、撮影した画像が互いに平行に整列するように宇宙船が前に進む動きを補償することである。SLC無しでは、撮影した画像はジグザグになり、2度撮影される場所があったり、1度も撮影されない場所があったりすることになる。実際、SLCの機能無しでは、ランドサット7号のデータの22%が失われることになる。 SLCの故障後、USGS、NASA、ETM+の開発を請け負ったHughes Santa Barbara Remote Sensingの代表者から構成されるAnomaly Response Team (ART)が発足した。チームは、考えられる故障のシナリオを書き出したが、そのほとんどはSLC自体の機械的な問題に起因するものであった。SLCのバックアップはなかったため、機械的な故障ということは、問題が恒久的に解決しないことを意味するものであった。チームは電子回路の故障の可能性を排除することができなかったが、そのような可能性はなさそうだと判断された。2003年9月3日、USGSの責任者チャールズ・G・グロートは、ランドサット7号の冗長系の電子回路を使って、ETM+及びその他の機器を再起動することを認めた。 公表によると、NASAのゴダード宇宙センターに本部を置くUSGSの飛行管理チームは、宇宙船に送るコマンドをアップロードして冗長系の電子回路を起動するということであった。この試みは成功し、2003年9月5日にETM+は再起動した。冗長系の電子回路にはSLCに生じた問題が及んでいないことは明らかであった。これに続いて、初期電子回路に戻す装置の再構成も行われた。結局、ARTは、SLCの問題は電子的な不具合ではなく、機械的な故障で恒久的なものであるという結論を出した。 ランドサット7号は、このモードでデータの収集を続けた。データの欠けた部分は、ランドサット7号の撮影した別のデータから、ユーザが選んで埋め合わせるという運用が行われた。ランドサット7号の後継機として、同等のセンサー機能を持つ新しい衛星の研究が行われている。
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