リファラルシステム
リファラルシステムは、一般的には「患者紹介システム」や「病診連携システム」と呼ばれ、診療所(保健センター))などの低次医療施設では診療できない重症患者をより高度な医療設備と技術を有する高次医療施設(病院)へ紹介・搬送するためのシステムを指す。単なる搬送のみならず、紹介状(リファラル用紙)や電話などによる患者情報の提供を伴う。また、高次医療施設での診療後、逆に低次医療施設に紹介されることをカウンターリファラル(逆紹介)と呼び、紹介と情報には二方向性がある。その目的は主に医療資源の適正な使用と配分であり、医療システムの効率性とアクセス改善により最大限の効果(健康の向上)を得ることである。
途上国においても各レベル医療施設の基準が設定され、機能分化と紹介の仕組みが考えられているが、現実には医療資源の絶対的不足から、各レベル医療施設はその機能を果たしておらず、上位の施設に直接、受診する(バイパスする)患者が多いことが一般的である。つまり制度としてリファラルシステムはあるものの、適切に運用されていない国が多いのが現状である。
途上国でのリファラルシステムを考える上では、患者紹介システムという狭義のリファラルシステムに加え、その機能を地域(コミュニティ)末端まで延長させ、人々が医療サービスにアクセスできる体制や情報・知識・技術の伝達までを含めた広義のリファラルシステムを考えることもできる。(三好知明)
参考:JICAテーマ別評価「リファラルシステム」報告書、2007年
- リファラルシステムのページへのリンク