ビュブロスのフィロン
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/16 14:29 UTC 版)
ビュブロスのフィロン(ヘレニウス・フィロン、60年頃 - 141年)は、文法、辞典、歴史に関する著作をギリシア語で書いた古典的著述家である。ヘレニウスという名前から見て、フィロンは補充執政官ヘレニウス・セウェールスの庇護民であり、その仲介でローマ市民権を取得した可能性がある。
人物・業績
フィロンは、同義語辞典、科学者とその著作をカテゴリー別に編集した著作集、各都市の有名市民を記載した都市目録、皇帝ハドリアヌスの伝記を書いた。フィロンの著作にはタイトルしか知られていないものもあるが、いくつかはキリスト教徒の著作者による断片的な引用の形で今日に伝えられている。
フィロンがギリシア語で編纂した『フェニキアの歴史』は、4世紀のカイサリアのエウセビオスが『福音の備え(準備)』の中で幅広く引用しており、それらの断片的引用は再編集・翻訳されている(参考文献参照)。しかし、エウセビオスの引用は、いつもフィロンの本来の意図とは反する目的をもって行われた。例えば、フェニキアの宗教に関する記述は、単に誹謗の目的で引用されており、誤ってゾロアスター教と混同されている。また、タートス(トート)いう鷹の頭がついたエジプトの神は、4世紀のキリスト論において広く主張されていた「永遠で、生まれたものではなく、分割ができない」という性質が与えられており、ヘビ崇拝や文字の発明との混乱も見られるが、これはおそらくフィロンの元々の記述ではなく、エウセビオス自身によるものであろう。
エウセビオスによれば、フィロンは、サンキュニアトン(架空の人物と思われる)が ビュブロスの寺院の柱から書き写して編纂したという古代フェニキア神話の秘本を発見したと主張したとされる。おそらくフィロンは、自分が収集した伝承から資料を構築し、自分の目的に合うように編集した上で、もっともらしい名前を付して信憑性を高めようとしたのであろう。サンキュニアトンはポーフェリーによる引用でも知られている。ポーフェリーによれば、サンキュニアトン(ここでもビュブロス生れとされている)は Jevo神(すなわちヤハウェ、エホバ)の司祭 ヒエロンバル (Hierombal、すなわちJeruba'al)から得た情報に基づいて、ユダヤ人の歴史を記述し、それベリタス(Berytus)の王アベルバル(Abelbal)またはアビバル(Abibal)に献呈したとされる。この話はおそらくまったく架空のものである。たいていの歴史家ならこのようなでっちあげを使うより、歴代の王の一覧で済ませる方を選んだだろうが、それではエウセビオスの計画にはそぐわなかったのだろう。
断片的に引用されたフィロンの記述から窺われるフェニキアの神の序列・系図は、長い間、ヘシオドスの『神統記(神統譜)』の一般的体系を裏付けるものと認識されていた。 ウガリト(ラス・シャムラ)にある楔形文字の銘板に刻まれている神々の名前も、同じようなパターンとなっている。w:Sanchuniathon#The_history_of_the_gods(英語版サンキュニアトンの項)に記載の系統表を参照のこと。
参考文献
- Albert I. Baumgarten, The Phoenician History of Philo of Byblos, 1981
- Harold W. Attridge and Robert A. Oden, Philo of Byblos: Phoenician History, Introduction, Critical Text, Translation, Notes, Catholic Biblical Quarterly Monograph Series, 1981
外部リンク
- Philo Byblius(ドイツ語)
「Philo of Byblos」の例文・使い方・用例・文例
- Microsoftがβ版をランチするのは「NetShow streaming server」で動画や音声をオンデマンドで提供する。
- 《主に米国で用いられる》 = 《主に英国で用いられる》 an admiral of the fleet 海軍元帥.
- 篏入的 r 音 《英音の India office /ndiərfɪs/の /r/の音》.
- =《口語》 These kind of stamps are rare. この種の[こういう]切手は珍しい.
- (英国の)運輸省. the Ministry of Education(, Science and Culture) (日本の)文部省.
- は of の誤植です.
- を off と誤植する.
- あいまい母音 《about, sofa などの /ə/》.
- 副詞的小詞 《on, in, out, over, off など》.
- 迂言的属格 《語尾変化によらず前置詞によって示す属格; たとえば Caesar's の代わりの of Caesar など》.
- çon of garlic [humor]. それにはガーリック[ユーモア]がちょっぴり必要だ.
- 《主に米国で用いられる》 = 《主に英国で用いられる》 the Speaker of the House of Commons 下院議長.
- 《主に米国で用いられる》 = 《主に英国で用いられる》 the Committee of Ways and Means 歳入委員会.
- 初めて読んだ英文小説は“The Vicar of Wakefield”
- (違法罪―a sin of commission―に対する)怠惰罪
- 『each』、『every』、『either』、『neither』、『none』が分配的、つまり集団の中の1つのものを指すのに対し、『which of the men』の『which』は分離的である
- 『hot off the press(最新情報)』は『hot(最新の)』の拡張感覚を示している
- 『Each made a list of the books that had influenced him』における制限節は、リストに載った本を制限節で定義された特定の本だけに制限する
- 臨床的鬱病を治療するのに用いられる三環系抗鬱薬(商品名ImavateとTofranil)
- 『sunshine-roof』は『sunroof(サンルーフ)』に対する英国の用語である
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