PPTS計画の始まり
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/10 04:37 UTC 版)
「フィディラーツィヤ」の記事における「PPTS計画の始まり」の解説
2009年の第1四半期に、ロシア連邦宇宙局は次世代有人宇宙船の要求仕様を確定させ、RKKエネルギアとクルニチェフからの提案を受領した。これがPPTS計画の実質的な始まりであった。次世代有人宇宙船の入札に参加したのはRKKエネルギアとクルニチェフの2社のみであり、ロシア連邦宇宙局は発注先の選定に入った。宇宙局は計画そのものについては堅く口を閉ざしていたが、ロシア当局者がいくつかヒントとなる声明を出した。2009年1月21日、ロシア連邦宇宙局局長アナトーリー・ペルミノフはロシア紙ロシースカヤ・ガゼータに対して「ロシアは次世代有人宇宙船の独自開発を進めるだろう」と語った。ペルミノフはさらに、宇宙局とその研究機関であるTsNIIMashは次世代有人宇宙船を含む宇宙輸送システムを検討しており、宇宙船の開発者を選ぶ入札が行われるだろうと述べ、次世代有人宇宙船はアメリカのオリオン宇宙船と同時期に運用が開始されると予想されるが、詳細な開発計画は2010年代半ばには明らかになるだろうと語った。 2009年3月から2010年6月までの予備開発に8億ルーブル(2,400万ドル)の費用がかかると予想されていた。開発作業はまず低軌道型で技術基盤を構築し、続いて月軌道型および火星探査型を開発する形で進められる予定である。 宇宙局は要求仕様として宇宙船の技術水準およびコストを国際標準に適合させることと、既存の技術を可能な限り取り入れることを盛り込んだ。 2016年1月には、新型宇宙船の名称がフィディラーツィヤに決定されたことが発表された。事前にロシア国民を対象として行われた投票では、「フィディラーツィヤ」は1位の「ガガーリン(Гагарин)」や2位の「ヴェークタル(Вектор)」に続いて3位であったが、ロスコスモス内での議論の結果、3位のフィディラーツィヤが採用された。フィディラーツィヤは「連邦」という意味で、「同盟」という意味を持つソユーズ(союз)と合わせた名称となっている。 2019年、ロスコスモスのCEO、ドミトリー・ロゴージンが「宇宙機は女性名詞で呼ばれるべきでない」と発言し、男性名詞に変更する意向を示したが、これは大きな反響を呼び、この動きをジェンダーバイアスであるとみなした女性団体からも反発を受けた。これに対して、ロスコスモスは重複を避けつつ、機能に応じてファミリー化された、組織だった命名をすべきという議論をしているところである、と釈明した。その中で、アメリカがスペースシャトルで行っていたように、歴史的な船舶の名前を付ける(エンデバー、ディスカバリー、エンタープライズ)ことが検討され、17世紀のフリゲート艦オリョールやフラーグ、戦列艦エイストなどが候補に挙げられた。結局、開発プロジェクト名はフィディラーツィヤとし、製造される最初の宇宙機をオリョールと命名することに決定した。
※この「PPTS計画の始まり」の解説は、「フィディラーツィヤ」の解説の一部です。
「PPTS計画の始まり」を含む「フィディラーツィヤ」の記事については、「フィディラーツィヤ」の概要を参照ください。
- PPTS計画の始まりのページへのリンク