オープンナレッジ財団とは? わかりやすく解説

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オープンナレッジ財団

(Open Knowledge Foundation から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/23 12:55 UTC 版)

オープンナレッジ財団
略称 OKF
設立 2004年5月20日 (20年前) (2004-05-20)
設立者 ルーファス・ポロック
種類 非営利団体
05133759[1]
目的 オープンアクセスオープンコンテントオープンサイエンスオープンデータを含む広範なオープンナレッジの促進
所在地
貢献地域 全世界
重要人物 ルーファス・ポロックレナータ・アビラ・ピント英語版 (CEO)
ウェブサイト okfn.org
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オープンナレッジ財団(オープンナレッジざいだん、: Open Knowledge FoundationOKF)は、コンテンツとデータの両方を含むオープンナレッジの促進を目的とした、グローバルな非営利ネットワークである[1]。2004年5月20日にルーファス・ポロックによってケンブリッジイギリス)で設立された[2]。イングランドおよびウェールズにおいて、保証有限会社として法人化されている[1]。2016年5月から2019年5月までの間、本組織は「Open Knowledge International」と称していた[3]が、2019年5月に「Open Knowledge Foundation」へと名称を戻すことを決定した[4]

目的

オープンナレッジ財団の目的は以下の通りである[1]

  • オープンナレッジの概念とその意義を広める。
  • OKConなどのオープンナレッジ関連イベントを開催する。
  • 「Open Economics」や「Open Shakespeare」のようなオープンナレッジプロジェクトに取り組む。
  • KnowledgeForgeサービスやCKANなど、オープンナレッジプロジェクト、コミュニティ、リソースのためのインフラや拠点を提供する。
  • イギリス、ヨーロッパ、国際レベルでオープンナレッジに関する問題に取り組む。

関係者

レナータ・アビラ・ピント英語版は2021年10月にオープンナレッジ財団のCEOに就任した[5]。2019年2月から2020年8月まではキャサリン・スティラー英語版がCEOを務め、その後クリエイティブ・コモンズのCEOとなった[6]。2015年から2017年の間はパーヴェル・リヒターがCEOを務めており、それ以前にはウィキメディア・ドイツの事務局長を務めていた。

オープンナレッジ財団の諮問委員会には、オープンアクセスオープンデータオープンコンテンツオープンサイエンス、データ可視化、デジタル権の分野の人物が含まれている。2015年時点のメンバーは以下の通りである[7]

  • アンドリュー・ストット
  • ベッキー・ホッジ英語版
  • ベンジャミン・マコ・ヒル
  • カロリーナ・ロッシーニ英語版
  • クリストファー・コービン
  • ダニエル・ディートリッヒ
  • デニス・パルフェノフ英語版
  • ピーター・マレー・ラスト英語版
  • ゼーレン・アウアー
  • グリン・ムーディ英語版
  • ハンネス・ガッセルト
  • リン・M・コームズ=ハード
  • ジョーダン・S・ハッチャー
  • ジョー・ウォルシュ
  • マーク・サーマン英語版
  • メイヨー・フスター・モレル英語版
  • ナット・トーキントン
  • ピーテル・コルパート
  • ハンス・ロスリング
  • ジョン・ノートン英語版
  • ナイジェル・シャドボルト英語版
  • パナギオティス・バミディス
  • ピーター・スーバー英語版
  • ヤソダラ・コルドバ英語版

ネットワーク

2018年時点で、オープンナレッジ財団は11の公式チャプターと38のグループを各国に有していた[8]。2022年11月、オープン・ナレッジ・ネットワークは2つの新たなプロジェクトとともに再始動された[9]

また、19のワーキンググループを支援している。

  • ロビー活動の透明性
  • オープンアクセス
  • オープン・ビブリオグラフィー
  • オープンの定義
  • オープンデザイン運動英語版
  • オープン・ディベロップメント
  • オープン・エコノミクス
  • オープンエデュケーション英語版
  • オープンGLAM
  • オープン・ガバメント・データ
  • オープン・ヒューマニティーズ
  • オープン・リングイスティクス
  • オープン・プロダクト・データ
  • オープンサイエンス
  • オープンスペンディング
  • オープン・サステナビリティ
  • オープン・トランスポート(プロジェクト)
  • パーソナル・データとプライバシー
  • パブリックドメイン

活動

マイケル・バウアー(オープンナレッジ財団元職員)へのインタビュー。場所はバルセロナ現代文化センター英語版[10]

オープンナレッジ財団のプロジェクトの多くは技術的性格を持つ。中でも最も顕著なプロジェクトであるCKANは、世界各国の政府が保有するデータのオープンカタログをホストするために使用されている。

オープンナレッジ財団は、半独立型のプロジェクトが発展できるようなインフラを提供することによって目標を支援する傾向がある。このような組織化のアプローチは、初期のプロジェクトの1つがKForgeプラットフォーム上で動作するプロジェクト管理サービス「ナレッジフォージ(KnowledgeForge)」であったことからも示唆される。ナレッジフォージは、オープンナレッジに関連するプロジェクトを管理するためのスペースを分野別のワーキンググループに提供する。より広い意味では、プロジェクトのインフラは技術的側面と対面的側面の両方を含む。財団は仮想的な議論のために数十のメーリングリストをホストし、リアルタイムでの通信にはIRCを利用し、イベントの開催も行っている。

アドボカシー

オープンナレッジ財団は、オープンエデュケーショナルリソースのような類似分野で活動する団体と積極的に連携している[11]

オープンナレッジ財団は、オープン性に関する用語の曖昧さを明確にしようとする試みであるオープンの定義や、Open Software Service Definitionの作成に携わってきた[12][13]。さらに、オープンデータベースライセンス(ODbL)の開発も支援している[14]

技術分野以外でも、オープンナレッジ財団は広くオープン性の提唱に関わっている。これには、報告書の起草支援、協議の促進[15][16]、およびガイドの作成が含まれる[17]

オープンナレッジ財団の創設者の1人であり現職の理事会書記でもあるルーファス・ポロックは、イギリス政府の公共部門透明性委員会に所属している[18]

Prototype Fundはドイツのオープンナレッジ財団によるプロジェクトであり、ドイツ連邦教育研究省英語版(BMBF)によって資金提供されている。これは、革新的なオープンソースソフトウェアを開発するドイツのソフトウェア開発者向けの、敷居の低い資金援助プログラムである。

技術的側面

スペイン語のGeodataプロジェクトのバナー
OpenGLAMのロゴ

オープンナレッジ財団はオープンソース技術の活用に強い関心を示している。ソフトウェアプロジェクトはGitというバージョン管理ソフトウェアを利用するGitHub上でホスティングされている。以下にいくつかのプロジェクトを示す[19]

  • CKANメタデータを保存するツールであり、政府が自らのデータのカタログを迅速かつ低コストで提供できるようにする[20]
  • Datahub[21] — インターネット上に存在する有用なデータセットの共同管理型カタログ。データの種類と使用条件に応じて、Datahubはデータのコピー保存やデータベースでのホスティング、基本的な可視化ツールの提供も可能である。
  • Frictionless Data[22] — データ公開のための標準とツールの集合体。
  • Open Bibliography — 書誌情報資源のカタログ化およびそれを扱い公開するツールの構築を目的とした広義の取り組み[23][24]。特にパブリックドメインの著作物およびその判定ツールに重点を置いている。例としてBibliographica、Public Domain Works、Open Shakespeare[25]、Open Text Book[26]The Public Domain Review英語版[27]がある。
  • OpenGLAM[28] — GLAM(ギャラリー、図書館、アーカイブ、美術館)が保有するデジタル・ヘリテージ英語版への自由かつオープンなアクセスを推進する取り組み[29]。OpenGLAMは、DM2E(Digitised Manuscripts to ヨーロピアナ)プロジェクトの一環として欧州委員会から共催資金を得ている[30]
  • Open Economics[31]
  • Open Knowledge Forums[32]
  • Information Accessibility Initiative
  • Open geodata[33]
  • オープンデータライセンスに関するガイド
  • Get the Data — データセットの取得方法に関する質疑応答用ウェブサイト
  • POD(プロダクト・オープン・データ)

イベント

オープンナレッジ財団は、多くの関連団体との協働を、自らが主催するイベントを通じて行っている[34]。代表的なイベントは「オープン・ナレッジ・カンファレンス」(OKCon)であり、2007年以降、断続的に開催されている[35]。他にも、データの可視化[36]や自由な情報ネットワークインフラストラクチャに関するイベントも開催されている[37]

オープンナレッジ財団は毎年インターナショナル・オープンデータ・デイを支援している。

パントン原則とフェローシップ(科学におけるオープンデータ)

2010年のパントン原則英語版(科学におけるオープンデータ)は、オープンナレッジの関係者による大きな貢献があった。2011年にはジョナサン・グレイとピーター・マレー・ラスト英語版がOSFからの資金提供を受けて、ソフィー・カーショウとロス・マウンスが担当する2つのフェローシップを獲得した。2013年、OKFはコンピューター通信産業協会英語版からのスポンサーシップを獲得し、3つのフェローシップがローズマリー・グレイブス[38]、サム・ムーア、ピーター・クラカーに授与された[39][40]

その他

D-CENT ロゴ

オープンナレッジ財団は、「Apps for Europe」[41]およびD-CENTも支援している。D-CENTは、7カ国からのデータを共有・整理するために設立された欧州プロジェクトであり、2013年10月から2016年5月まで運営された[42]

関連項目

脚注

  1. ^ a b c d Open Knowledge Foundation. “About Us”. 2011年4月27日閲覧。
  2. ^ Open Knowledge Foundation launched”. Open Knowledge Foundation Weblog (2004年5月24日). 2015年10月25日閲覧。
  3. ^ Open Knowledge International – our new name!”. Open Knowledge Foundation (2016年5月23日). 2025年4月22日閲覧。
  4. ^ For a fair, free and open future: celebrating 15 years of the Open Knowledge Foundation”. Open Knowledge Foundation (2019年5月20日). 2025年4月22日閲覧。
  5. ^ A new CEO for Open Knowledge Foundation – Renata Ávila”. Open Knowledge Foundation (2021年10月12日). 2025年4月22日閲覧。
  6. ^ Catherine Stihler to leave Open Knowledge Foundation to lead Creative Commons”. Open Knowledge Foundation (2020年7月9日). 2025年4月22日閲覧。
  7. ^ Advisory Council”. Open Knowledge. 2014年7月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年10月31日閲覧。
  8. ^ Open Knowledge: The Global Network”. Open Knowledge Foundation. 2018年4月7日閲覧。
  9. ^ Better together than alone: say hello again to the Open Knowledge Network”. Open Knowledge Foundation blog (2022年11月28日). 2022年11月28日閲覧。
  10. ^ Michael Bauer: "Necessitem periodistes per posar les dades en context" - Vídeo”. CCCB LAB (2013年6月3日). 2025年4月22日閲覧。
  11. ^ Open Educational Resources Commons. “About”. 2015年11月1日閲覧。 “Strategic Development and Outreach Partners ... Open Knowledge Foundation”
  12. ^ Open Definition”. Open Definition (2011年6月17日). 2015年11月1日閲覧。
  13. ^ Open Software Service Definition Launched” (2008年7月14日). 2015年11月1日閲覧。
  14. ^ Creative Commons (2009年2月23日). “CC Salon Berlin and openeverything focus – Feb. 26”. 2015年10月29日閲覧。
  15. ^ Open Society Foundations (2010年9月). “Public Feedback Solicited on Access to Information and Open Government Data”. 2011年1月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年11月1日閲覧。 “Information Program grantee Access Info Europe, together with the Open Knowledge Foundation, are holding a public consultation on open government data and the right of access to information.”
  16. ^ Electronic Frontier Foundation (2005年3月23日). “Digital Rights Management: A failure in the developed world, a danger to the developing world”. 2015年11月1日閲覧。
  17. ^ Dietrich, Daniel. “Open Data Manual”. 2013年8月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年11月1日閲覧。
  18. ^ data.govt.uk. “New Public Sector Transparency Board and Public Data Transparency Principles”. HM Government. 2011年9月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年11月1日閲覧。
  19. ^ projects - The Open Knowledge Foundation”. 2015年11月1日閲覧。 Open Knowledge Projects
  20. ^ Feature Tour | ckan - The open source data portal software”. ckan.org (2012年3月28日). 2015年11月1日閲覧。
  21. ^ datahub.io”. datahub.io (2006年6月23日). 2015年11月1日閲覧。
  22. ^ Frictionless Data”. Frictionless Data. 2019年2月2日閲覧。
  23. ^ Open Bibliography”. JISC. 2015年11月1日閲覧。
  24. ^ Open bibliography and Open Bibliographic Data | Open Bibliographic Data Working Group of the Open Knowledge Foundation”. Openbiblio.net. 2015年11月1日閲覧。
  25. ^ Open Shakespeare”. Open Shakespeare (2012年4月27日). 2015年11月1日閲覧。
  26. ^ Open Text Book”. 2015年9月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年11月1日閲覧。
  27. ^ ABOUT”. The Public Domain Review. Open Knowledge Foundation. 2015年11月1日閲覧。
  28. ^ The Open Definition - Open Definition - Defining Open in Open Data, Open Content and Open Knowledge”. opendefinition.org. 2015年11月1日閲覧。
  29. ^ Open Knowledge: Working Groups”. 2016年5月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年5月21日閲覧。
  30. ^ Workpackage 4: Community building”. DM2E (2014年1月31日). 2016年3月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年4月22日閲覧。
  31. ^ Open Economics”. openeconomics.net. 2015年11月1日閲覧。
  32. ^ Open Knowledge Forums”. discuss.okfn.org. 2015年11月1日閲覧。
  33. ^ Open Geodata Community”. OSGeo. 2015年11月1日閲覧。
  34. ^ Holloway, Michael (2008年3月). “Public sector information: officially better when shared”. Digital Rights Group. 2015年11月1日閲覧。 “And if you get excited by material that's free to access, reuse or re-distribute, then please come down to tomorrow's OKCon, for a day of seminars and workshops around the theme of 'Applications, Tools and Services'.”
  35. ^ Open Knowledge Foundation. “About”. 2015年11月1日閲覧。 “The Annual [sic] Open Knowledge Conference (OKCon)”
  36. ^ Gehelenborg, Nils. “Workshop on Open Visualization”. Nature Network. 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年11月1日閲覧。
  37. ^ Doctorow, コリー (2005年9月26日). “Free Information Infrastructure event in London next weekend”. 2015年11月1日閲覧。
  38. ^ Rosie Graves - University of Leicester”. 2015年11月1日閲覧。
  39. ^ Panton Principles: Panton Fellowships” (2012年1月12日). 2015年11月1日閲覧。
  40. ^ ccianet.org”. ccianet.org. 2015年11月1日閲覧。
  41. ^ Apps for Europe | turning data into business”. www.appsforeurope.eu. 2015年10月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年10月29日閲覧。
  42. ^ D-CENT”. dcentproject.eu. 2015年10月29日閲覧。

外部リンク




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