温度 Tex の環境下で純物質を液体状態から気体状態に移行させる等温準静過程について考える。ピストン付きの容器に純物質の液体を満たした後、等温準静的にピストンを引いて容積 V を大きくしていくと、容器内の圧力 P は急激に減少していく。しかし、温度 Tex が臨界温度(カタルーニャ語: temperatura crítica)より低いときには、ある体積 VA を超えるとピストンを引いても圧力 P が変化しなくなる。このとき容器内では気相と液相が共存し、二相が相平衡の状態にある。容積 V をさらに大きくしていくと、圧力 P は一定のままで、相平衡を保ったまま液相の体積が減少し気相の体積が増加する。容器の容積が別のある体積 VB に達すると液相が消失し、その後は圧力 P が再び滑らかに減少していく。気相と液相が共存して相平衡の状態にあるときの圧力、すなわち (∂P/∂V)T = 0 となる圧力をその温度におけるその物質の蒸気圧という。蒸気圧 Pvap(T) は物質の種類と温度で決まる圧力で、物質の体積には依存しない。臨界温度より低く三重点(固相と液相と気相の三相が平衡にある温度)より高い温度では、Pvap(T) は温度 T の滑らかな関数である。
この節では、温度 Tex、圧力 Pvap(Tex) の環境下で、純物質を体積 VA の液体状態から体積 VB の気体状態に移行させる等温過程について述べる。
温度 T および体積 V の関数として表されたヘルムホルツエネルギー F(T,V) は、気相と液相が共存している領域でも体積 V に関して偏微分可能なので、ヘルムホルツエネルギーの変化 ΔF は
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