GNU Core Utilities
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/13 08:29 UTC 版)
| 作者 | GNUプロジェクト | 
|---|---|
| 最新版 | |
| リポジトリ | |
| プログラミング 言語  | 
     C | 
| 対応OS | Unix系 | 
| 種別 | Miscellaneous Utilities | 
| ライセンス | GPL | 
| 公式サイト |  www | 
    
GNU Core UtilitiesまたはCoreutilsはUnix系のOSで中核をなすcat、ls、rmなどのユーティリティのプログラム群、ないし、その開発とメンテナンスを行うGNUプロジェクトのサブプロジェクトである。以前はfileutils、textutils、shellutilsに分かれていた。
特徴
Coreutilsのプログラムはシェルに入力する事で利用できる。一例としてrmコマンドは引数で与えられたファイルを削除する。これらプログラムは単一でも動作可能だが、パイプで複数組み合わせる事で、複雑な処理も可能である。 
オプション
Coreutilsに含まれるコマンドに共通のオプションとして、以下のものがある。
- --help そのコマンドのヘルプを表示する
 - --version バージョンを出力する
 - -- これ以降の引数をオペランドとして扱う。
 
Coreutilsコマンドは、環境変数POSIXLY_CORRECTが定義されていないかぎり、引数がどのような順序で書かれていても、オプションを先に解釈し、オペランドを後で解釈する。例として "ls /usr -l" と "ls -l /usr" は同じ結果を返す(UNIXのツールでは、このような場合のふるまいはまちまちであることが多い)。 
コマンド
Coreutilsにはバージョン5.2.1の段階で以下のコマンドが含まれる:
File Utilities
- chgrp ファイルの所有グループを変更する
 - chown ファイルの所有者を変更する
 - chmod ファイル、またはディレクトリのアクセス権を変更する
 - cp ファイル、またはディレクトリをコピーする
 - dd ファイルのコピーと変換を行う
 - df ディスクの空き容量を表示する
 - dir lsと同等
 - dircolors lsの表示色を設定する
 - install ファイルをコピーし、属性を設定する
 - ln リンクを作成する
 - ls ディレクトリに含まれるファイル一覧を表示する
 - mkdir ディレクトリを作成する
 - mkfifo FIFO(名前付きパイプ)を作成する
 - mknod 特殊ファイル(デバイスファイルなど)を作成する
 - mv ファイルを移動する
 - rm ファイルを削除する
 - rmdir 空のディレクトリを削除する
 - shred ファイルの内容を破壊し、復旧できなくする
 - sync ファイルのキャッシュを物理的に書き込む
 - touch ファイルの時刻を変更する
 - vdir 詳細なディレクトリ内容を表示する(ls -lと同等)
 
Text utilities
- cat ファイルの中身を表示する、またはファイルを連結して表示する
 - cksum ファイルのチェックサムとファイルサイズを計算する
 - comm 2つのファイルについて行ごとに比較する
 - csplit ファイルを文脈ベースで分割する
 - cut 各行から選択した部分を表示する
 - expand タブをスペースに変換する
 - fmt テキストを段落に整形する
 - fold 入力行を指定された幅にあわせて折りたたむ
 - head ファイルの最初の部分を表示する
 - join 二つのファイルを読み、フィールドが共通な行を結合する
 - md5sum MD5 ハッシュチェックサムを計算・チェックする
 - nl 行番号を付けてファイルを出力する
 - od ファイルを 8 進数 (または他の形式) で出力する
 - paste ファイルを行単位でマージする
 - pr 印刷用にファイルのページづけ・段組みを行う
 - ptx 整列済み索引を作成する
 - sha1sum SHA-1 ハッシュチェックサムの計算と検証を行う
 - sort テキストファイルを行単位でソートする
 - split ファイルを決まった大きさに分割する
 - sum チェックサムとブロック数を表示する
 - tac ファイルを結合して逆順に表示する
 - tail ファイルの末尾の部分を表示する
 - tr 文字の変換・削除や、連続する文字の圧縮を行う
 - tsort 有向グラフのトポロジカルなソートを行う
 - unexpand スペースをタブに変換する
 - uniq ソートされたファイルから重複する行を削除する
 - wc ファイルのバイト数・単語数・行数を表示する
 
Shell utilities
- basename ファイル名からディレクトリと拡張子を取り去る
 - chroot ルートディレクトリを変更する
 - date 現在のOS日時を表示、または変更する
 - dirname パスからディレクトリ名以外の部分を除去する
 - du ファイルのディスク使用量を見積もる
 - echo 1行のテキストを表示する
 - env 環境変数を一時的に設定、または表示する
 - expr 式を評価する
 - factor 数値を素因数分解して素数の約数を表示する
 - false 何もせずに失敗の値を返す
 - groups ログインしているユーザーのグループを表示する
 - hostid 現在のホストの識別値を表示する
 - id 現在のユーザID名とグループID名を表示する
 - link ファイルの新しい名前を作成する
 - logname ユーザーのログイン名を表示する
 - nice プロセスの優先度を変更する
 - nohup ログアウト後もコマンドの実行が継続することを許可する
 - pathchk ファイル名の可搬性 (portability) をチェックする
 - pinky fingerコマンドの軽量版
 - printenv 環境変数の全部あるいは一部を表示する
 - printf データの表示形式を変換して表示する
 - pwd カレントディレクトリの名前を表示する
 - readlink シンボリックリンクの値を表示する
 - seq 通し番号を表示する
 - sleep 指定された時間休止する
 - stat ファイルの状態を得る
 - stty 端末の行設定を変更、表示する
 - tee 標準入力から読んだ内容を標準出力とファイルとに書き出す
 - test ファイル形式のチェックや値の比較を行う
 - true 何もせずに成功の値を返す
 - tty 端末名を表示する
 - uname システムの情報を表示する
 - unlink 名前を削除し、場合によってはそれが参照しているファイルも削除する
 - users 現在ログインしているユーザーを表示する
 - who 現在ログインしているユーザーを詳細に表示する
 - whoami ユーザーのログイン名を表示する
 - yes killシグナルが送られるまで文字を表示し続ける
 
他に、UNIXの慣例により、testの別名として [ がある。シェルのコマンドとして if [ expression ] といったように書くためのものである。
関連項目
- BusyBox - (Coreutilsと直接の関連は全く無い、汎用のシステムであるが)多数のプログラムを単一のバイナリに「詰め込む」システム。
 - GNU Binutils
 
外部リンク
- GNU Core Utilitiesのページへのリンク