F1交配種
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 06:09 UTC 版)
タマネギは、トウモロコシに次いで雑種第一代(F1品種)が開発された作物である。大部分のタマネギの花には、雄の部分と雌の部分があるが、1924年にアメリカ合衆国カルフォルニア州デイビスにある育種場で、雄性不稔のため自家受粉できないイタリアンレッドという品種の赤タマネギが発見された。 この品種は、様々なF1品種の親となり、別の雌株と交配して常に予想通りの結果を生み出すことから、良い種子が取れる株が選抜されて、品種改良が行われた。その結果、べと病、黒穂病、紅色根腐れ病、病害虫に対する耐性などに優れた商業的に価値がある雄株も開発され、DDTなどの農薬の使用も減らすことができた。 1950年代は、安全で耐病性があり、収穫量が多いF1品種が初めて開発された時代であり、農業の未来を明るく照らすものと思われていた。だが現代においては、二代目ができないF1品種の使用は種の遺伝基礎を脅かし、栽培品種が1部だけの品種へと縮小して、単一栽培に進んでいくことにつながるのではという懸念が、科学者の間で広がっている。 実際に、商業目的で栽培されているアメリカの品種は大きく分けて、大きくて甘い鱗茎をつける品種と、乾燥が早くて色が白い加工用の品種、および長期保存ができる品種の3種類である。栽培品種が減少することによって、未知の新しい病気が発生して、広く栽培されている品種に耐性がなかったときに、世界のタマネギが壊滅しかねないことも懸念材料になっている。
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