EBMにまつわる誤解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/05 17:01 UTC 版)
「根拠に基づく医療」の記事における「EBMにまつわる誤解」の解説
過去のEBM教育ではこのStep 1〜3の方法論を研ぎ澄ませることに重きを置き、またStep 4については必ずしも言葉で説明を尽くされて来なかったことから、医療者の中には「良い臨床研究を見つけて医療をマニュアル化することがEBMである」との誤解が広まった時期がある。また、研修医の教育においても、EBMの考え方を取り入れることが、単にエビデンスをまとめた二次資料を読んでそこに書いてあることをそのまま実行することとして教えられているという憂慮すべき現実もある。 しかし、実際には最も重要でありかつ労力を要するのはStep 4である。手法の優れた臨床研究が見つかっても、そこでの推奨が目の前の患者にとって最善であるかどうかの判断には、個々の患者の特性を見極め、医療環境や医療チームの技術水準を評価し、さらに患者の価値観を適切に把握する必要がある。Step 1〜3までの方法論はほぼ確立し、人によってその結果が大きく異なることがないのに対して、このStep 4には患者や他の医療者との対話・状況判断・統合力といった、引き続き人間である治療者として高度な経験と技術が求められる。 また、100件のエビデンスのうち23件が2年以内に覆され、そのうち7件は出版された時点ですでに覆されていたとの報告を待つまでもなく、臨床研究による知見は常に覆されうる(科学的な結論は常に暫定的である:反証可能性も参照)ものであることを念頭に、最新の情報を当たることも重要である。
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