BitTorrent (ソフトウェア)とは? わかりやすく解説

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BitTorrent (ソフトウェア)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/07 08:48 UTC 版)

BitTorrent
作者 ブラム・コーエン
開発元 Rainberry
初版 2001年7月2日 (23年前) (2001-07-02)[1]
最新版
Windows7.11.0.46555[2]  / 2022年11月22日 (2年前)
macOS7.4.3.45549[3]  / 2020年5月20日 (4年前)
Android8.2.1[4]  / 2024年3月20日 (13か月前)
対応OS Windows, macOS, Android, Linux
プラットフォーム IA-32, x64, ARM
サイズ
  • Windows: 3.16 MB
  • macOS: 2.74 MB
  • Android: 16.03 ~ 19.84 MB
対応言語 66言語
種別 BitTorrentクライアント
ライセンス アドウェア
公式サイト www.bittorrent.com
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BitTorrentは、BitTorrentプロトコルを用いてファイルアップロードおよびダウンロードすることができるBitTorrentクライアントである。プロプライエタリアドウェアであり、ブラム・コーエンおよびRainberryによって開発された[5]。このソフトウェアはBitTorrentプロトコルのために最初に書かれたクライアントである。開発者の間では、公式な起源を示す意味でしばしばメインラインという愛称で呼ばれている。バージョン6.0以降、BitTorrentクライアントはμTorrentのリブランド版となり、それに伴いオープンソースではなくなった。現在、Microsoft WindowsMacLinuxiOSAndroidで利用可能である。現在のソフトウェアには、「BitTorrent Classic」(旧来のバージョン番号を継承)と「BitTorrent Web」(独自のバージョン番号を使用)の2つのバージョンが存在する。

歴史

プログラマーのブラム・コーエンは2001年4月にこのプロトコルを設計し、2001年7月2日にBitTorrentクライアントの最初の実装を公開した[1][6]。現在はコーエンの会社であるRainberryによって保守されている。

バージョン6.0以前のBitTorrentはPythonで書かれており、自由ソフトウェアであった。2001年12月30日以前に公開されたごく初期のバージョンは、ライセンスなしでパブリックドメインとして公開されていた。バージョン3.4.2までのものはMITライセンスの下で配布されていた。バージョン4.xおよび5.xのソースコードは、Jabber Open Source Licenseを修正したBitTorrent Open Source Licenseの下で公開された。バージョン4.0および5.3はGPLの下で再ライセンスされた。

クライアントのバージョン4.20は、BitTorrent Inc.によって『Allegro』と名付けられた。これは、ダウンロード性能とISPによる管理性を向上させるために同社が開発したプロトコル拡張に由来する名称である[7]

クライアントのバージョン5.30は、インターネットアーカイブにスナップショットが保存されており[8]、これは最後のオープンソース版である。

2007年9月18日にリリースされたバージョン6.0以降、BitTorrentクライアントはμTorrentのリブランド版となり、もはやオープンソースではなくなった[9]

機能

BitTorrentクライアントは、メインウィンドウにある内蔵検索ボックス(Search for torrents)を使用して、ユーザーがTorrentファイルを検索・ダウンロードすることを可能にしており、検索結果はユーザーのデフォルトのウェブブラウザでBitTorrentのトレント検索エンジンページを開くことで表示される。

現在のクライアントには、複数の並列ダウンロードを含むさまざまな機能が搭載されている。BitTorrentには、ユーザーがバックグラウンドで何が起こっているかを把握できる統計的、表形式、グラフ形式のビューが複数用意されている。ピアおよびシードに関する情報を表示する多数のビューがあり、各ピアからどれだけのデータがダウンロードされているか、また各ピアにどれだけのデータがアップロードされているかを確認できる。不適切なシャットダウン後に処理されたすべてのデータを検査する自動回復システムも搭載されている。また、クライアントは自身、ソースファイルサーバー(トラッカー)、他のクライアントとの間でピアリングを仲介することで、配信効率を高めている。さらに、ユーザーがトレントファイルを作成および共有することも可能である。

リリース履歴

凡例
サポート終了
サポート中
現行バージョン
最新プレビュー版
将来のリリース
プロプライエタリライセンスの下でリリースされたバージョン
バージョン リリース日 変更点
サポート終了:6.0.0 2007年9月18日
  • BitTorrentクライアントがμTorrentをリブランドしたバージョンとなった。BitTorrent DNA(BitTorrent Delivery Network Accelerator)プログラムが追加された。ライセンスはプロプライエタリライセンスに変更された。
現行バージョン:7.4.3 2019年10月16日
  • BitTorrentクライアントは2つのバージョンが存在する。本バージョンは「BitTorrent Classic」である。
プロプライエタリライセンスの下でリリースされた「Web」バージョン
バージョン リリース日 変更点
現行バージョン:1.2.8 2022年6月2日
  • BitTorrentクライアントは2つのバージョンが存在する。本バージョンは「BitTorrent Web」である。
Mac OS X バージョン履歴[10]
バージョン ビルド リリース日 機能/変更点
サポート終了:7.1.0 (22093)
  • 初回リリース
サポート終了:7.2.0
  • ディレクトリ設定とファイル選択が可能なトレント追加ダイアログを追加
  • Growlサポートを追加
  • Dockアイコンのバッジ表示を追加
  • トレントの保存先変更機能を追加
  • プライバシー設定を追加
  • 高度なディレクトリ設定とルールを追加
  • UTP帯域幅サポートの改善
  • シード比率制限の修正
  • トレント完了時のトラッカー通知の修正
  • 自動追加ディレクトリ設定の修正
  • HTTPSサポートの改善
  • 帯域幅設定の変更時にReturnキーを押す必要があった問題を修正
サポート終了:7.2.1
  • utWEBサポートを追加
  • RSSサポートを追加
  • スケジューラーを追加
  • UIを更新
  • セキュアトラッカーのサポートを修正
  • 転送速度制限機能の改善
サポート終了:7.3.1
  • 自動読み込みフォルダー内のサブディレクトリを無視するオプションを追加
  • スマートRSSフィードを複製するオプションを追加
  • Mac起動時にBitTorrentを自動起動するオプションを追加
  • Dockアイコンに完了したトレント数を表示
  • 終了時のハングアップを修正
  • DHTの有効/無効切り替えの修正
  • ダウンロード先変更時のファイル拡張子の修正
  • スマートRSSフィードの一致項目表示の修正
  • プロキシサポートを追加
  • 通信量制限機能を追加
  • Lionのフルスクリーンモードに対応
  • その他UIおよびバグ修正
サポート終了:7.3.5 (27628) 2012年7月25日
現行バージョン:7.4.3 2020年5月19日
  • BitTorrentクライアントは2つのバージョンが存在する。本バージョンは「BitTorrent Classic」である。
Mac OS X「Web」バージョン履歴[11]
バージョン ビルド リリース日 機能/変更点
現行バージョン:N/A
  • BitTorrentクライアントには2つのバージョンが存在する。これは「BitTorrent Web」バージョンである。公開されているバージョン番号やリリース日は存在しない。

BitTorrent DNA

BitTorrent DNA(BitTorrent Delivery Network Accelerator)は、ビデオ・オン・デマンドの視聴、ソフトウェアのダウンロード(BitTorrentプロトコルの有無を問わない)、オンラインゲームのプレイを高速化するために設計されたプログラムである。これは、エンドユーザー間でダウンロードを分散させることによって実現されている。この方法により、開発者はコンテンツプロバイダのサーバー負荷を軽減し、エンドユーザーがより高速にコンテンツを受信できるように意図している[12]。このプログラムは、オペレーティングシステムが稼働している間、バックグラウンドで常に実行される[13]

BitTorrent DNAは従来のBitTorrentとは異なり、パブリッシャーに対して最低限のデータ配信速度を保証するために、パブリッシャーのHTTPサーバーに依存している。また、コンテンツ配信に対する制御(ピアは他のピアに接続する前にオリジンサーバーに接続する必要がある)をパブリッシャーに提供し、配信情報を収集してパブリッシャーと共有することも可能である。ファイル転送の品質は、データにおける長期的な平均ビットレートおよびストリーミング時の期限遵守によって規定されている。また、DNAは他のTCPトラフィックやその他の通信にも帯域を割り当てることができる。

DNAはまた、従来のBitTorrentとは異なり、UDPベースのプロトコルであり、従来のTCPベースの帯域制御に代わって、より繊細な帯域管理技術を採用している。

このプログラムは、サードパーティのウェブサイトやソフトウェア企業によってインストールされることに加えて、公式BitTorrentクライアントがインストールされる際にも導入される(ブランド変更されたバージョン6.0以降)。ただし、個別にアンインストールすることも可能である。

DNAの最初のバージョンでは、DNAアプリケーションをインストールしたまま、一時的に次回のシステム再起動まで停止させることが可能であった(Windows XPのコントロールパネルを通じて[13])。DNAのGUIは、公式BitTorrentバージョン6.1および6.1.1で完全に削除されたが、バージョン6.1.2で再導入された。

2007年10月以降、BitTorrent DNAはBitTorrent, Inc.によって、コンテンツプロバイダが購入可能な商用サービス(価格は非公開)およびエンドユーザー向けの無料バックグラウンドプログラムとして提供されている[12]。同社社長のアシュウィン・ナビンは、本製品の発表に際して「従来のインフラ上にBitTorrent DNAを実装することで、ユーザー体験の向上、高品質な動画、より高速なソフトウェアダウンロードが、マネージドサービスのセキュリティと信頼性のもとで可能となるという大きな効果がある」と主張した[14]

ナビンはポッドキャストでのインタビューにおいて、2005年1月にBitTorrent DNAの販売を試みたと語っている。しかし、BitTorrentのブランドが潜在顧客にとって賛否が分かれるものであることが判明し、ローンチは延期された。その後、約50社のメディア企業とBitTorrent Entertainment Networkで提携を結んだことで、同社は十分な社会的信頼を得て、2年半後にBitTorrent DNAを正式にローンチするに至った[15]

このサービスの最初の顧客はブライトコーブ英語版社であり、ストリーミング動画ファイルの配信にDNAを利用することを選択した[16][17]

2009年5月時点で、ASUSのサポートウェブサイトは、従来の複数の国際的に分散したHTTPサーバー、コンテンツ配信ミラー、リダイレクション機構に加えて、大容量ファイルの追加ダウンロード手段としてBitTorrent DNAを使用している。現在、DNA形式のダウンロードには「Global」「Chinese」といった位置情報付きサーバーの横に「P2P」アイコンが表示されている例が確認できる[18]

関連項目

脚注

  1. ^ a b Cohen, Bram (2001年7月2日). “BitTorrent - a new P2P app”. decentralization : Messages : 1985-3160. Self-published. 2008年1月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年4月15日閲覧。
  2. ^ https://www.bittorrent.com/blog/releases/windows/; 閲覧日: 2022年12月14日.
  3. ^ https://www.bittorrent.com/de/downloads/mac/; 閲覧日: 2020年8月7日.
  4. ^ "BitTorrent- Torrent Downloads"; 閲覧日: 2024年3月21日; 出版日: 2024年3月21日.
  5. ^ BitTorrent Customer Support (2013年12月25日). “Removing Partner Offers”. BitTorrent. 2018年11月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年7月8日閲覧。 “We are among many products that support the production and distribution of our free software through advertising.”
  6. ^ McCullagh, Declan (2001年7月16日). “Defcon Keeps Hackers Hooked”. Wired.com. 2001年9月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年5月2日閲覧。
  7. ^ BitTorrent 4.20 Released”. slyck.com (2006年6月22日). 2019年4月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年1月29日閲覧。
  8. ^ Internet Archive” (2010年5月30日). 2010年3月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年8月31日閲覧。
  9. ^ uTorrent Relaunched as Official BitTorrent Client * TorrentFreak”. torrentfreak.com. 2025年3月23日閲覧。
  10. ^ BitTorrent for Mac release notes”. macupdate.utorrent.com. 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年12月7日閲覧。
  11. ^ BitTorrent for Mac release notes”. macupdate.utorrent.com. 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年12月7日閲覧。
  12. ^ a b Official site”. 2008年9月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年3月19日閲覧。
  13. ^ a b The official FAQ”. 2009年3月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年3月19日閲覧。
  14. ^ “BitTorrent's Delivery Network Accelerator (DNA) Service Improves the Online Experience for Streaming Video, Downloadable Software and Video Games”. businesswire.com. オリジナルの2009年5月25日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20090525025958/http://www.businesswire.com/portal/site/google/index.jsp?ndmViewId=news_view&newsId=20071009005561&newsLang=en 2010年12月15日閲覧。 
  15. ^ “Delivering a Digital Torrent”. edcorner.stanford.edu. オリジナルの2008年6月11日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20080611102712/http://edcorner.stanford.edu/authorMaterialInfo.html?mid=1822 2010年12月15日閲覧。 
  16. ^ Andy Greenberg (2007年10月9日). “Brightcove Unleashes A BitTorrent Stream”. Forbes. オリジナルの2007年10月11日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20071011062454/http://www.forbes.com/technology/2007/10/08/brightcove-fox-paramount-tech-cx_ag_1009bittorrent.html 2007年10月27日閲覧。 
  17. ^ Jim Finkle (2007年10月9日). “BitTorrent Moves to Video Streaming”. PC World. オリジナルの2007年10月13日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20071013034123/http://www.pcworld.com/article/id%2C138210-page%2C1/article.html 2007年10月27日閲覧。 
  18. ^ “example download section for Asus M2N-LR mainboard product”. Asus. オリジナルの2012年7月15日時点におけるアーカイブ。. https://archive.today/20120715190422/http://support.asus.com/download/download.aspx?model=M2N-LR&os=20&SLanguage=en-us 

外部リンク




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