AVENTURE
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/13 15:18 UTC 版)
『AVENTURE』 | ||||
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大貫妙子 の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
ジャンル | ポップス シンセポップ シティ・ポップ |
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時間 | ||||
レーベル | RCA/RVC | |||
プロデュース | 牧村憲一、宮田茂樹[1] | |||
チャート最高順位 | ||||
大貫妙子 アルバム 年表 | ||||
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『AVENTURE』収録のシングル | ||||
『AVENTURE』(アヴァンチュール)は大貫妙子の5作目となるスタジオ・アルバム。1981年5月21日にRVC(現・Ariola Japan)から発売された[3][1]。
制作
タイトルの「アヴァンチュール」とは、フランス語で ″冒険″ を表す。前作『romantique』、次作の『Cliché』とともにヨーロッパ三部作と呼ばれ、収録曲のいくつかはフランス映画音楽の世界を再現している[4]。
大貫は、前作『romantique』のような湿ったトーンのやや暗いアルバムを作ったあとは、反動でどうしてももう少し明るいものをやりたいという気持になったといい、『romantique』がそれ程暗い訳ではないがかなりモノクロのイメージが強いので、それよりは明るくもう少し色を付けたいという気持ちがあったという[5]。また同じようなものを作ったら、暗いイメージが定着してしまう、そういう世界を音楽で作っているだけで、自分の性格とは関係ないということを示すため、『ROMANTIQUE』で言うと1曲目「CARNAVAL」が暗めの曲であれば、このアルバムでは明るい雰囲気の「恋人達の明日」という具合に、収録されたそれぞれの曲を対比させる形で作ったという[5]。
本作では自分たちが1970年代に失ってしまったものばかりをテーマにしているといい、「みんな目先の楽しみばかり追いかけてそれで満足してしまい、冒険が無くなって来ている。だけど未来を切り開いてきたのは冒険者たちであろうと思う訳です。だからもう一度冒険してみようという事がアルバム全体のテーマにもなっています。」と述べている[6]。また、これ以上暗くなると立ち直れないような気がするため、本来の明るい自分を出した作品となり、テクノポップ・サウンドが前面に出された楽曲も多くなっている[4]。
2018年7月25日には、完全生産限定によるアナログ盤が再リリースされた。再発売に際し、オリジナル・マスターテープからのハイスペック音源データを基に、レコーディング・エンジニアのバーニー・グランドマンによってリマスタリングとカッティングが施され、国内の工場にてプレスされた。さらに大貫自身による最新のライナーノートに加え、プロデューサー牧村憲一による新規ライナー及び、マルチテープと一緒に保管された現存のトラックシートを掲載している[7]。
帯コピー
- 音楽ぐらいは自分で選びたい
- 最先端のサウンドにのせてミニヨンでロマンティークな愛の冒険
- 現在考え得る限りの最高のミュージシャンのバックアップを得てベストセラー・アルバム「ROMANTIQUE」に続く
ヨーロピアンサウンド三部作の第三弾遂に完成。
批評
タワーレコードの商品の紹介ページでは、「前作『ロマンティーク』の世界をよりポップなアプローチで引き継いだアルバム。躍動感あふれるアレンジが心地良い「Samba de Mar」、歌う紀行文といった佇まいの「アヴァンチュリエール」「テルミネ」など、親しみやすいポップ感を全面に打ち出した秀作。」と評されている[8]。
収録曲
LP / CT
全作詞・作曲: 大貫妙子。 | |||
# | タイトル | 編曲 | 時間 |
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1. | 「恋人達の明日」 | 坂本龍一 / コーラスアレンジ: 山下達郎 | |
2. | 「Samba de mar」 | 清水信之・加藤和彦 | |
3. | 「愛の行方」 | 坂本龍一 | |
4. | 「アヴァンチュリエール」 | 坂本龍一 | |
5. | 「テルミネ」 | 坂本龍一 |
全作詞・作曲: 大貫妙子。 | |||
# | タイトル | 編曲 | 時間 |
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1. | 「チャンス」 | 大村憲司 | |
2. | 「グランプリ」 | 前田憲男 | |
3. | 「La mer, le ciel」 | 前田憲男 | |
4. | 「ブリーカー・ストリートの青春」 | 加藤和彦・清水信之 | |
5. | 「最後の日付」 | 坂本龍一 |
CD
楽曲解説
- 恋人達の明日
- Samba de mar
- 愛の行方
- 大貫曰く、音の向こうに絵が見えてくることを意識して作った″映像音楽シリーズ″の1曲とのこと[4]。
- アヴァンチュリエール
- テルミネ
- チャンス
- グランプリ
- La mer, le ciel
- ブリーカー・ストリートの青春
- ″ブリーカー・ストリート″とは、ニューヨークの学生街にある通りの呼称。1976年公開のアメリカ映画『グリニッチ・ビレッジの青春』をモチーフに、若かった頃は仲間同士で何かを作ったり、助け合ったりしたものが、今では失われてしまったという”青春の挫折”をテーマにしている[4]。
- 最後の日付
- 曲自体は前作『romantique』の発売以前に録音されていたが収録が見送られており、本作への収録にあたって坂本龍一が新たにシンセサイザーの音を追加したもの[4]。
レコーディング・メンバー
恋人達の明日
Samba de mar
愛の行方
アヴァンチュリエール
テルミネ
|
チャンス
グランプリ
La mer, le ciel ブリーカー・ストリートの青春
最後の日付 |
発売履歴
発売日 | レーベル | 規格 | 規格品番 | 備考 |
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1981年5月21日 | RCA/RVC | LPレコード | RHL-8507[9] | |
1981年5月21日 | カセット | RHT-8507[9] | ||
1984年11月21日 | CD | RHCD-12[9] | 初CD化 | |
1986年2月15日 | カセット | RHT-2315[9] | 再発版 | |
1986年8月15日 | CD | R32H-1027[9] | 再発盤 | |
1991年8月21日 | BMGビクター | BVCR-2527[9] | ||
1994年10月21日 | BVCR-8006[9] | Q盤 音パレード | ||
1999年6月23日 | BMG JAPAN | BVCK-38011[10] | RCA・CD名盤選書 | |
2006年12月20日 | BVCK-37119[10] | 紙ジャケット仕様 | ||
2008年1月23日 | BVCK-18021[10] | リマスター盤 | ||
2018年7月25日 | Sony Music | LPレコード | MHJL-38[10] | |
2021年11月10日 | CD | MHCL-10150[10] | SACD Hybrid盤 |
カバー
脚注
出典
- ^ a b “5th Album: AVENTURE”. 大貫妙子 Taeko Onuki. 2023年12月1日閲覧。
- ^ オリコン 2006, p. 119
- ^ “ALBUM AVENTURE”. 記憶の記録LIBRARY. 2022年12月7日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l AVENTURE 1999
- ^ a b 大貫 1983, p. 82-83
- ^ 大貫 1983, p. 103-104
- ^ “Aventure (アナログレコード/5thアルバム):大貫妙子”. HMV&BOOKS online. Lawson Entertainment, Inc.. 2025年6月29日閲覧。
- ^ “AVENTURE 大貫妙子”. TOWER RECORDS JAPAN. タワーレコード. 2025年6月29日閲覧。
- ^ a b c d e f g “Taeko Ohnuki = 大貫妙子 – Aventure = アヴァンチュール|Releases”. Discogs. 2023年9月10日閲覧。
- ^ a b c d e “大貫妙子/AVENTURE”. TOWER RECORDS JAPAN. タワーレコード. 2022年12月7日閲覧。
参考資料
- オリコン『ALBUM CHART-BOOK COMPLETE EDITION 1970-2005』オリコン・マーケティング・プロモーション、2006年4月。ISBN 978-4-87131-077-2。
- 大貫妙子・解説『ミュージック・ステディ』ステディ出版〈MUSICIAN FILE 大貫妙子徹底研究〉、1983年9月30日。
- 『AVENTURE』(CD(ライナーノーツの記載より))大貫妙子、RCA、1999年6月23日。BVCK-38011。
外部リンク
- 5th Album:AVENTURE – 大貫妙子 Taeko Onuki
- AVENTURE – Sony Music Entertainment (Japan)
- AVENTUREのページへのリンク