2007年6月欧州理事会
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「リスボン条約」の記事における「2007年6月欧州理事会」の解説
2007年6月21日、欧州理事会の会合がブリュッセルで行われ、拒絶された欧州憲法条約に代わって新条約を作成することで合意された。会合はドイツが議長国を務めるもとで行われ、ドイツ連邦首相アンゲラ・メルケルが議長として協議を牽引した。会合ではキプロスやマルタのユーロ導入決定など、ほかの分野に関する議論が手早く行われ、その後新条約の協議が6月23日の午前5時まで続けられた。 IGC に付託する16ページにわたる文書に合意がまとまり、その中で欧州憲法条約から「憲法」のような性格を持つ用語や欧州連合のシンボルといったものが除去される内容が盛り込まれた。そのうえで IGC に対して、欧州連合理事会での立法手続や外交政策といった重要な点について欧州憲法条約の規定の修正を求めた。イギリスやポーランドの圧力を受け、潜在的にイギリスに対する例外条項を設けるなど、欧州連合基本権憲章の適用に関して限定的にするよう求めている。また特定分野の立法手続に関しては例外的な対処がなされる余地を含めており、さらに欧州憲法条約で規定されていた新たな議決制度については2014年まで凍結することとされた。 6月の会合において新条約について「改革条約」という名称がつけられ、このため「欧州憲法」という名称は消し去られることになった。正確には改革条約によって欧州連合条約と欧州共同体設立条約の条文を、欧州憲法条約にあった多くの内容に修正することとなるが、両条約を完全に統合するようなものにはなっていない。また実質的に EU法の主要な規定のほとんどが含まれ、また法的に実効性を持つ文書である「欧州共同体設立条約」を「欧州連合の機能に関する条約」に改称することが決められた。さらに、欧州憲法条約では基本的人権条項が含まれていた点とは異なり、改革条約では既存の欧州連合基本権憲章に法的拘束力を持たせることをうたい、独立した文書とすることとなった。修正の多くはアマート委員会が提示した内容となっている。
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