1度目のドッキング解除とクルス-NA試験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/12 09:48 UTC 版)
「プログレスM-15M」の記事における「1度目のドッキング解除とクルス-NA試験」の解説
M-15Mは3ヶ月間ISSとドッキングを継続し、ドッキング中貨物が下ろされ、廃棄する不用品がつめられた。これらのプログレスの通常業務の完了後、プログレスは改良型クルスドッキングシステムの試験が行われた。 クルスはプログレスのステーションへの自動ランデブーとドッキングに使われるシステムであり、プログレスM-15Mにはこれまでのクルス-Aアンテナに加えてクルス-NAと呼ばれる新しいアンテナが取り付けられた。新しいクルス-NA系が失敗した場合にプログレスの貨物が無駄にならないことを目的に最初のプログレスM-15Mのドッキングは伝統的なクルス-Aによって行われた。クルス-NAはクルス-Aより電力効率がよくなっており、さらに既存の5基のクルス-Aアンテナの能力を1基のアンテナで置き換えることができるため将来の改良で4基のアンテナを取り除くことが可能であった。これらのアンテナの削減は打ち上げ後の全アンテナ展開や展開後も1基がドッキング前にドッキング部の前面の拡張のために引き込まれるという複雑なシステムによるドッキング失敗のリスクを軽減するとされた。 2012年7月22日プログレスM-15Mはピアースモジュールからドッキングを解除し、新しいクルス-NA誘導アンテナの試験のために2日後に再ランデブーの実行を試みた。ピアースからのドッキング解除は20時27分(GMT)ごろに行われた。ドッキング解除はモンゴル頭部上空362kmほどの位置で行われた。再ドッキングは7月24日1時57分(GMT)に計画されていたが、プログレス搭載装置の自動試験の失敗によって中止された。 問題はクルス-NAシステムが作動開始していた1時23分頃に発生した。この問題によってプログレスは安全規定に基づいて設計された受動停止モードに入った。中止時、プログレスとISSは14kmほど離れた位置を飛行していた。中止後、2つの軌道に対して、ロシア飛行管制は情報収集のために自動ランデブー系を再稼動するように命令を行った。2度目の再ドッキング試験はISSに27日に到着するこうのとり3号機との競合のために28日まで遅れた。 ランデブー中止の原因としてはプログレスM-15Mが予想温度よりも低かったことが指摘される。問題の解決策として、ロシア技術者はプログレスで利用可能なすべての暖房器具を入れ、これによってM-15Mの温度は22度に保たれ、クルス-NAの作動に成功し、2回目のドッキングが可能になった。クルス-NAは7月28日の23時丁度(GMT)に作動に成功し、ISSのズヴェズダ (ISS)モジュールの受動式クルス-Pをロックオンした。再ランデブー、ISSを一周、ドッキングの一連の動作は7月29日の1時ごろ(GMT)に成功した。 ドッキング時、ISSとプログレスは地球のニューギニア西部上空を飛行していた。
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