黄体とプロゲステロン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/28 06:54 UTC 版)
排卵によって、卵胞の壁には大きな穴が開き、中にあった卵細胞は流れ出ていく。内圧を失った卵胞はしぼんでしまい、壁の穴からは血液などが流入する。しかし、卵胞の残骸の中に残った細胞は死滅せず、ここで再び細胞分裂が盛んになる。特に、顆粒層の細胞と内卵胞膜の細胞の増殖が盛んで、次第に元の卵胞の内部を埋め尽くすぐらい増えていく。これが黄体である。黄体の細胞は元々は卵胞の顆粒層だった顆粒層黄体細胞と内卵胞膜だった卵胞膜黄体細胞とから構成されている。巨大な細胞のかたまりとなった黄体の内部には血管が発達し、細胞から分泌されるプロゲステロン、エストロゲンが血液中に運ばれる。プロゲステロンは、排卵された卵がもし受精した場合、子宮に着床しやすくなるように、子宮の壁(子宮内膜)を変化させる働きがある。 もし子宮で着床が起こると、そこで卵を囲むように形成される胎盤から、絨毛性ゴナドトロピンやプロラクチンなどのホルモンが分泌され、その作用により卵巣では黄体から引き続きプロゲステロンが分泌され続ける。この黄体は、妊娠中期になるまで活発にプロゲステロンを分泌し、妊娠を維持させる。一方、子宮で着床が起こらないと、黄体は2週間ほどでプロゲステロン分泌をやめ、黄体細胞は萎縮を始める。このことにより血液中のプロゲステロン濃度が急激に減少し、これが引き金になって、子宮では子宮内膜の剥離、月経が起こる。また、卵巣では次の排卵のための卵胞の発達が開始される。
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