高速化の停滞
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/29 10:07 UTC 版)
EF58形・EF15形以前の戦前の基本設計に基づく「旧型」電気機関車は、歯数比の違いにより高速性能重視の旅客用と牽引力重視の貨物用の区別があった。しかし、ED60形以降の直流用新性能電気機関車は、旅客専用としてEF61形が少数製造されたのを除くと「貨客両用」として設計された。とはいえ、これらは貨物用途に重きを置いた牽引力重視の歯数比であった。これは、同時期の国鉄が動力近代化計画の一環として、旅客列車を長距離列車も含めて機関車牽引による動力集中方式から、電車・気動車による動力分散方式に移行したためである。例外的に静粛性の問題から寝台夜行列車のみ、動力集中方式の客車の新形式が登場してEF60形やEF65形などがその牽引に当たるも、運転速度を確保のため弱め界磁制御を多用したことにより、主電動機の故障の頻発やメンテナンスサイクルの短縮に繋がった。この結果、構造的には戦前型に属するEF58形が新性能機のEF65形と並んでJR化直前の後年まで特急牽引も含めた旅客列車牽引の主力として残り、先述のクイル式の問題もあってEF60形の方が先に淘汰されるという事態に繋がった。
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