髄様癌
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/17 23:30 UTC 版)
頻度は1〜2% 。傍濾胞細胞(C細胞)に由来していることから、カルシトニンや、これとともにCEAなどを分泌する。髄様癌は散発性と遺伝性に分類される。およそ1/3を占める遺伝性髄様癌は染色体 10 番長腕に位置する RET癌原遺伝子の機能獲得型変異により発症する。常染色体優性遺伝という遺伝形式により遺伝する。遺伝性のものは多発性内分泌腫瘍症2型 (Multiple Endocrine Neoplasia type 2 : MEN2) といい、 甲状腺髄様がんだけでなく、副腎や副甲状腺などにも腫瘍を発生する遺伝性の病気です。 MEN2 は、MEN2A、MEN2B、FMTC (甲状腺髄様がんのみ) などに分類される。。多発性内分泌腺腫症として出現することが多く、孤発例の場合には結節性甲状腺腫で発症するケースが多いのに対して、家族性発症例の場合には、先行して発症している褐色細胞腫の精査中に発見されるケースが多くなっている。いずれも発育は緩徐で、周辺組織への浸潤もあまり強くない。 超音波検査では、比較的辺縁がスムーズな低エコー域となり、その内部にはしばしば粗い石灰沈着が認められるが、画像診断は困難な場合がある。穿刺吸引細胞診では、ゆるく結合した細胞集団が採取され、間質にはアミロイドが認められる。早期発見すれば、治療の第一選択は手術。放射性ヨード治療、TSH抑制療法は効果がない。全ての甲状腺髄様癌患者に対してRET遺伝学的検査を行うことが推奨されている。実施前には必ず遺伝カウンセリングを行って十分な情報提供を行う必要がある。また、副腎褐色細胞腫や副甲状腺機能亢進症の合併頻度も異なるため、変異の有無だけでなく、変異コドンの部位情報も必要である。誤った解釈は、誤った診断、治療、不必要な血縁者への治療などにつながる危険性がある。2016年にRET遺伝学的検査は保険収載された。
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