風俗画としての特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/17 03:14 UTC 版)
当時のオランダの風俗画では、兵士が女性に言い寄ったり酒杯を交わす場面は多かった。一時期デルフトで暮らしていた画家デ・ホーホの1650年代の作品には、場面や登場人物が『兵士と笑う女』に似ている部分がある。ただしデ・ホーホが人物や事物を多く描いてにぎやかな空間を表現したのに対して、フェルメールはより静かな空間を描いた。 『兵士と笑う女』では、登場人物の関係を知る具体的な手がかりが少ない。当時の風俗画では男女関係や教訓の意味を示すために、リュート、コイン、喫煙、犬などを使ったが、フェルメールは本作品でそれらを描いていない。また、身ぶりや視線などの判断材料も少ない。フェルメールは描くものを減らして簡略化するとともに、教訓的意味を希薄にした。そのため、同じく男女とワインを描いた『紳士とワインを飲む女』や『二人の紳士と女』と比べても日常性が強調されている。鑑賞者を誘導する要素が少ないため、2人の関係は決定していない状態にある。同様の傾向は『眠る女』、『音楽の稽古』、『合奏』にも見られる。
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