領海・領海基線の定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/16 17:39 UTC 版)
「中華人民共和国領海及び接続水域法」の記事における「領海・領海基線の定義」の解説
当法律第2条1項は「中華人民共和国の領海とは、中華人民共和国の陸地領土及び内水に隣接した一帯の海域をいう」、同法第3条1項は「中華人民共和国の領海の幅は、領海基線から測って12海里とする」と規定し、領海の定義と幅員を明示した。 更に、同法第3条2項は「中華人民共和国の領海基線は、直線基線法を採用して画定し、互いに隣りあう基点の間の直線のつながったものからなる」と規定し、中国が直線基線を採用することを明らかにしている。 他方で、国連海洋法条約第7条1項は「海岸線が著しく曲折しているか又は海岸に沿って至近距離に一連の島がある場所においては、領海の幅を測定するための基線を引くに当たって、適当な点を結ぶ直線基線の方法を用いることができる」と定めている。2001年3月16日、国際司法裁判所は「カタール・バーレーン海洋境界画定及び領土問題事件判決」で「直線基線の方法は、基線の決定における通常基線の例外で有り、多くの条件が満たされた場合にのみ適用されうるものである。この方法は、厳格に適用されなければならない」と判示した。 ウィキソースに中華人民共和国領海基線に関する中華人民共和国政府の声明の原文があります。 1996年5月15日に国務院は「中華人民共和国領海基線に関する中華人民共和国政府の声明」を発布し、中国本土沿岸及び西沙(パラセル)諸島の周囲に直線基線を設定したが、日本の堀口氏は西沙諸島周辺の直線基線の設定は国連海洋法条約の規定に照らし問題があることを指摘している。 ウィキソースに釣魚島及びその付属島嶼の領海基線に関する中華人民共和国政府の声明の原文があります。 2012年9月10日に国務院は「釣魚島及びその付属島嶼の領海基線に関する中華人民共和国政府の声明」を発布し、立法管轄権を行使して尖閣諸島周辺に直線基線を設定したが、米国のローチ氏(J. Ashley Roach)はこの直線基線の設定は国連海洋法条約の要件を満たさないと指摘している。 これらの直線基線の設定によって、その内側により広い内水域を包含することになる。内水は領土と同じ性格を有し、沿岸国の主権が全面的に及ぶ水域であり、沿岸国は原則として外国船舶に対しその水域の通航を規制することができると解されている。もしこの水域で中華人民共和国が外国船舶に対し執行管轄権及び司法管轄権を行使した場合、外国船舶の通航は不当に規制される可能性がある。
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