面積変化の影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/05/10 04:19 UTC 版)
圧縮性の流れは、ノズルの動作を決定する上で大きな役割を果たしている。断面積の変化に対して亜音速と超音速流とは異なる反応を示す。直径が流れの方向に狭まる先細ダクトを流れる亜音速流れは速度が増加するが、同一のダクトを通る超音速流の速度は低下する。一般に、先細ノズルを通る流れは常にマッハ 1 に向かう傾向がある。面積の縮小が音速に達するのに十分である場合は、チョーク(窒息)と呼ばれる現象が発生する。この場合、流れは窒息し、パイプに流入する流体の流量が制限されるか、最小面積の点(スロート)でのマッハ数が 1 に保たれるようにノズルに衝撃波が形成される。同様に、末広ノズルを通して音速流れは常に減速されるが、超音速流れは加速していく。流れのマッハ数と面積の関係は次式のようになる。 A A ∗ = 1 M [ 1 + ( γ − 1 2 ) M 2 ( γ + 1 2 ) ] γ + 1 2 ( γ − 1 ) {\displaystyle {\frac {A}{A^{*}}}={\frac {1}{M}}\left[{\frac {1+\left({\frac {\gamma -1}{2}}\right)M^{2}}{\left({\frac {\gamma +1}{2}}\right)}}\right]^{\frac {\gamma +1}{2(\gamma -1)}}} ここで A :ノズルの中の点での面積 M :ノズルの中の点でのマッハ数 γ:比熱比 A* :マッハ数が 1 になる面積(ノズルがチョークするところのスロートの面積) したがって、亜音速流れを超音速まで加速するためには、ノズルは流れが亜音速である縮小部と、流速が局所音速に等しいスロート部と、そして超音速流になる拡大部を持つ必要がある。このような構成はラバール・ノズルと呼ばれ、一般にロケットエンジンや超音速ジェットエンジンなどの推進システムで使用されている。 音速は絶対温度の平方根に比例して変化するので、ガスが高温であるときマッハ 1 は非常に高速になる。したがって、ノズルのスロート部での到達速度は標準大気条件下での音速よりもはるかに高くなる。極超音速流れが要求され、さらに音速を上げるために推進剤の混合物が選ばれるロケット工学ではこの事実は広く利用されている。
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